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2019年6月21日更新

動線バツグン 23坪の家|(有)武一建設

[お住まい拝見|どこにいても動きやすい]「掃除しやすく、家族の顔が見える住まいに」とMさん(39)一家が建てたのは23坪の平屋。行き止まりのない回遊動線で、コンパクトながら「どこにいても動きやすい」と喜ぶ。


子ども室から見たLDK。キッチン脇に引き戸があり、その先は玄関。玄関からはリビングにも行き来でき、キッチンを中心に回遊が可能。キッチン裏手は水回り
 

家族の顔が見える家に

Mさん宅
壁式構造/自由設計/家族4人
白く小さな箱型の外観がかわいらしいMさん宅。スモーキーブルーの玄関ドアを開けた先は二手に分かれており、正面はキッチンへ、右手はリビングへと続く。「玄関の目の前にキッチン」と聞くと驚くが、実はこの動線こそがMさん宅の暮らしやすさのポイント。キッチンを中心に回遊できるLDKが東側に、一直線につながる水回りは西側に、個室は北側にまとまっている。

「これなら、子どもが大きくなって生活リズムが変わっても、帰った時に顔を合わせられるかなと思って」と夫人。「実際、料理しながらまだ小さい子どもたちの様子に目が届くし、生活する人のことが考えられた造りで動きやすい。家でこんなに変わるなんて」と驚きを隠せないようだ。

特に助かっているのが室内物干し場。Mさんは「洗濯しながらお風呂場もチェックできるし、雨が続いても乾燥機と併用すれば問題なし。洗濯はここで完結できる」と喜ぶ。


寝室側から見たキッチン。正面の引き戸の先が玄関で、引き戸を開けておけばキッチンに居ながら帰宅した家族を出迎えることができる


玄関ホール。写真手前はキッチン、左手はリビングへ。上がりかまちやリビング入り口の曲線が柔らかな印象

自然素材を使いたい
土地は以前から探していたものの、「建築条件付きがほとんどで、クロスを使っていたり、間取りも賃貸とそう変わらない。建てるなら、そこはこだわりたくて」と夫妻。住むところや食べるもので体は作られるから体に優しい自然素材を使いたいこと、好きな絵やジャケットを飾って楽しみたいこと、掃除しやすく、家族が集まれる家にしたいなど、イメージを膨らませた。

そんな折、夫人の妹が建てた家が「漆喰(しっくい)で仕上げられていてイメージにぴったり。シンプルに仕上げれば予算内に収まりそうと聞き、お願いすることにしたんです」。旗竿地ながら夫婦の実家近くに土地が見つかったことも、家づくりを後押しした。3人だった家族は建築中に4人に増えることが判明。「急きょ、寝室を仕切れば子ども室が増やせるよう対応してもらい助かりました」。


子ども室。北側一面は、淡いブルーの漆喰で仕上げ、アクセントにした

新居に暮らし1年半。「壁・天井に漆喰を使っているので帰ると室内がひんやり。木は季節によって多少収縮することもあるけれど、それも日々の変化を感じることにつながるし、建築士が対処法を教えてくれるので安心。家は道具ではなく家族。大満足です」とMさんは話した。


ここがポイント
入り口分け生活しやすく
「帰宅した家族をキッチンから迎えたい」との要望を受け、武一建設の伊波豪さんはキッチンを中心に玄関やLDKを配置。「ただし、キッチンからしか入れないと来客時に気になる。そこで、玄関からリビングにも行き来できるよう入り口を分けることで、プライバシーも確保しつつ生活しやすい動線にした」と説明する。


リビングからダイニングを見る。写真左手の玄関から直接リビングに案内でき、キッチンも見えにくいので、来客時に気をつかわずにすむ

キッチン側には引き戸も設置。開ければ家族の出入りに目が届くだけでなく、駐車場から荷物を運びこむ際も重宝。閉めれば人目は気にならない。室内はキッチンを中心に行き止まりのない回遊動線になっており、キッチン裏手にまとめた水回りも2カ所から出入り可能。こうした動線計画でどの部屋にもアクセスしやすくなる上、体感的に広さを感じる効果もあるというわけだ。


家事室。室内物干し場も兼ねており、勝手口は通風可能な窓になっているため、天気を気にせず洗濯が可能。左手奥の扉の先は脱衣室、浴室につながっている

敷地は住宅街の旗竿地で出入り口につながる南以外は隣家が近接しているため、リビングのある東側は塀を設けた。

限られた予算内で要望を満たすには、その配分もポイント。「型枠の寸法に合わせて建物高を決め、形もシンプルにすることで無駄を省いて施工しやすく。室内は、ダイニングキッチンや水回りなど配管が必要な部屋のみ天井を張り、それ以外は省くことで、コストを削減しつつ約2.9メートルの天井高を実現した」。一方、家の顔となる玄関周りにはスペインタイルやステンドグラスを入れ、床は自然塗料仕上げの天然木を使用。システムキッチンも導入するなどコストをかけ、こだわりを反映した。

Mさんが希望した自然素材、特に漆喰については、「躯体はすべて自社で輸入するスペイン漆喰を採用しています。調湿、断熱効果があり、夏でも室内はひんやり。使っているのは水と漆喰だけなので、静電気が起こりにくくホコリも付きにくい」と話した。


真っ白な箱状の外観に、スモーキーブルーの玄関扉や足元のスペインタイルがアクセント。写真手前には植栽スペースもある


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:203.97平方メートル(約61坪)
1階床面積:75.91平方メートル(約23坪)
建ぺい率:38.3%(許容60%)
容積率:37.22%(許容200%)
用途地域:第1種住居地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式
設  計:(有)武一建設  伊波豪
施  工:(有)武一建設



[問い合わせ先]
(有)武一建設
098-965-3001 
http://takeichikensetsu.com/


撮影/ララフィルム・泉公 編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1746号・2019年6月21日紙面から掲載

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