見晴らし抜群LDK|久友設計(株)|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2019年4月26日更新

見晴らし抜群LDK|久友設計(株)

[お住まい拝見|豊かな眺め生かし建て替え]北中城村の丘の上。緑と海を望む眺めを生かして、実家を建て替えたHさん(45)。見晴らしのいい2階にLDKを設け、趣味スペースも充実。家で過ごす楽しみが増えた。


2階のLDK。白壁にタイル張りの床で爽やか。幅約4.8メートルの大開口からは緑の先に広がる海、花火や夜景も見え、バルコニーは家族の憩いの場に
 

趣味と夕景を満喫

Hさん宅
RC造/自由設計/家族4人

晴れた日には渡嘉敷島まで見える高台の住宅地。家づくりにあたりHさん夫妻が重視したのは、眺めと趣味が楽しめることだった。

西側に大きな開口部を設けた2階建ての住宅。1階は趣味を楽しむ場。玄関を入ると、正面に大きな窓のある約14畳のホールが広がる。夫人(47)と長女(16)がタヒチアンダンスを練習するために設けた。「家族4人で流行のダンスを練習することも。友人も、何かと理由をつけて家に来たがるんですよ」と夫人は笑う。

玄関脇から出入りできるガレージの一角には、バイクやメンテナンス道具が整然と並ぶ。こちらはモトクロスレースにも出場するHさんと長男(14)のためのスペースだ。

生活の中心は2階。キッチンは海に沈む夕日が見える特等席。「大好きな夕日を眺めながら食事が作れるなんて、すごくぜいたく。以前の家はキッチンが1階で、夕日を見るために料理を中断して2階へ上がっていたほどだったので、うれしい」と夫人。

LDKからつながるバルコニーではハンモックで休んだり、お酒を飲んだりと家族が思い思いにくつろぐ。Hさんは「景色が良いので、飲めなかったお酒も気持ちよく飲めるようになりました」と楽しげ。


キッチンからリビングダイニングとバルコニーを見る。「夕日の沈む角度で季節が分かるんです」と夫人。テレビを掛けた壁の色は、ソファーの色を基準にシックなグレーを選んだ


1階ホールから玄関を見る。鉄骨製の階段で洗練された印象に。写真右手のドアから寝室へ、左手奥のガラス戸からガレージへ出入りできる。大きなダークミラーはスライド式で、開けると裏は収納になっている


1階ガレージ。一角にはHさんと長男が楽しむモトクロスバイクや部品、メンテナンス道具をディスプレー


物を選ぶのも楽に

一家が暮らしていたのは、Hさんの実家だった築40年の2階建て住宅。老朽化が進み、建て替えを決めた。「通勤路で見かけ、夫婦で気に入った住宅を建てた建築士事務所に設計を依頼しました」

夫人は設計図面から室内の色彩イメージが膨らみ、着工前に青色のソファーを購入。「ソファーの色とデザインに合わせて、LDKの壁や和室の畳の色を決めました」

家の雰囲気に合うかどうかが物をそろえる基準に。「無駄買いが減って、物選びも掃除も楽になりました」と夫人。お気に入りをそろえたシンプルな空間で、心地よく暮らす。

和室は建具と畳をグレーで統一し、モダンな雰囲気。階段側の仕切り壁がガラスになっているので、キッチンからも様子が一目で分かる


ここがポイント
西に開き、ひさし深く

北側に前面道路があり、東側と南側には隣家、西側はがけになっているHさん宅の敷地。夫妻が希望した眺望と趣味の場を実現するため、建築士の久田友一さんは、見晴らしのいい西側に大きく開き、2階を生活空間、1階を趣味の空間に分けるプランを提案した。

LDKや和室、水回り、子ども室など、2階に必要な部屋数と広さを決め、それに合わせて1階の面積を決定した。

「1階は所有する車の長さ、持ち込むベッドや家具のサイズなどからガレージと寝室に必要な広さを割り出して、残った分をホールに当てました」と久田さんは説明する。

コンクリートの壁で荷重を支える壁式構造で、柱や梁の出っ張りがないスッキリとした空間に。上下階で空間構成が異なるため、「1階の壁は、2階の荷重バランスを考慮して位置を調整しました」。

西日対策として、2階LDKの大開口と1階寝室の掃き出し窓には、太陽の熱負荷を低減するLow‐Eガラスを使用。室内へ西日が差し込む時間を短くするため、「2階のバルコニーはひさしを約2メートルと深く取り、掃き出し窓の高さは2.2メートルと低く抑えました」と、建築士の三井康介さんは説明する。

1階の趣味スペースは、ホールとガレージの間に設けた収納にもひと工夫。ガレージ側から使える棚とホール側から使える棚を交互に設けることで、面積を抑えながら両側から使えるようにした。


外観。ガレージのシャッターを右斜め上にスライドさせたような打ち放しの壁は、2階バルコニーの目隠し兼用

キッチン背後のドライルームは、愛犬のためのスペースでもある。天窓、高窓から光を取り込み、エアコンも備える



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:308.80平方メートル(約93.41坪)
1階床面積:100.57平方メートル(約30.42坪)
2階床面積:103.42平方メートル(約31.28坪)
建ぺい率:37.85%(許容60%)
容積率:52.83%(許容200%)
用途地域:指定なし(市街化調整区域)
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
企  画:アーキテクツスタジオジャパン
設  計:久友設計(株) 久田友一、三井康介
構  造:田中構造設計
施  工:LSD design (株)
キッチン:クッチーナ
タイル:(有)パンテックコーポレーション



[問い合わせ先]
久友設計(株)
098‐974‐4327
http://www.hisatomo-p.com


撮影/高野生優(フォトアートたかの) 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1738号・2019年4月26日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

キュレーター
比嘉千賀子

これまでに書いた記事:147

編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

TOPへ戻る