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2022年7月8日更新

[沖縄・お住まい拝見]生活感消し直線美生かす|(有)真玉橋設計事務所

[設備や家具まで「真っすぐ」]「シャープなデザインが好き」という新垣夫妻。内装や家具、キッチンやシャワーなどの設備まで真っすぐなラインで構成。直線美が映えるよう、生活感を排除したモダンな家を訪ねた。

グレーを基調にしたスタイリッシュなLDK
グレーを基調にしたスタイリッシュなLDK。テレビ背面の壁は、夫人たっての希望で60センチ×120センチの大判タイルを用いた

表に出す物を厳選

新垣さん宅
RC造/自由設計/家族3人

夫妻のこだわりから徹底的に物を出さず、建具や家具などの直線を強調した新垣邸は、どこを切り取ってもスタイリッシュ。

グレーを基調にしたLDKで、高級感を放つのはテレビ背面の壁だ。大理石調の大判タイル(60センチ×120センチ)を用いた。面が広い分、大理石風の柄が映える。

オーダーメードのキッチンも、まるでオブジェのよう。レンジフードを手元に納めることで生活感をなくした。夫人は「シャープなデザインやすっきりした空間が好きなんです。インスタなどで、いいなと思った造りや設備は積極的に取り入れた」と話す。

テレビボードすらないが、ホームシアター設備も導入している。テレビ上部のルーバーの裏にスピーカーやスクリーンが隠れているほか、AVアンプやウーハーは対面の壁側にまとめて収納。「見た目を重視したけど、やりたいこともしっかり詰め込んだ」と新垣さんは満足げに語る。

表に出すものを厳選し、すっきりとしたLDK。天井高は3.6メートルあり、広々としている
表に出すものを厳選し、すっきりとしたLDK。天井高は3.6メートルあり、広々としている。ホームシアター用のAV機器は見えないように設置。テレビ上部のルーバー部に3台のスピーカーやスクリーンを設置しているほか、対面の壁側の収納(写真左側の黒い扉)にプロジェクターやウーハー、ブルーレイレコーダーなどを収納
 

新居には念願のリビングシアターを設置。スクリーンは120インチ

新居には念願のリビングシアターを設置。スクリーンは120インチ。スピーカーなどは上部のルーバーの裏に隠れている


細部まで直線的に

実家の2階に住みながら新築を考えていた際、タイミング良く実家そばの土地を購入できた。「せっかく理想の土地を手に入れられたのだから、理想の住まいを建てたかった」。あちこちの建築士事務所をリサーチし、デザイン性が好みで、「最初の打ち合わせで、私たちの要望を丁寧に聞いてくれた」という事務所に依頼した。

夫妻で施工現場へも頻繁に足を運び、細部までこだわりを反映させた。設備や照明も一つ一つ吟味した。「シャワーヘッドも直線的なものにしたくて。ようやく四角い製品を見つけて、変更してもらった」。

食器まで新居に合うものに買い替えた。「どこも妥協していない。だから、家にいるのがすごく楽しい」と満面の笑みで話した。
 

生活感を表に出さないよう、ランドリールームを設置

生活感を表に出さないよう、ランドリールームを設置。洗濯・乾燥機やタオルも同ルーム内に置くことで、洗面・脱衣室が常にすっきり。希望通りホテルライクな空間を実現
 

ここがポイント
施主が契約「分離発注」
現場に直接要望伝え


細部までスタイリッシュな住まいを実現するため、施主自ら建材や設備まで徹底的に吟味した新垣邸。設計を手掛けた真玉橋設計事務所の野里雅樹さんは「施主の思いを形にしようと、現場が一丸となって造り上げた。分離発注のメリットが生きた」と話す。

分離発注とは、施主が大工や電気、内装工事などの各業者と直接契約する方式だ。一般的には建築士やハウスメーカーが間に入って一括契約をするが、分離発注だと「現場に要望が伝えやすいし、中間マージンが省けて建築コストも抑えられる」と説明する。

デメリットは打ち合わせや調整事項が増え、手間がかかること。しかし「新垣さんは、かなり家づくりに積極的で、分離発注に向いていた。常に新しい情報をインプットしてきて、頻繁に現場に足を運び『これを使いたい』『こう変えたい』といった要望を伝えてくれた。それを現場で話し合い、コストを鑑みながら反映させていった」。

また、「理想の空間を細かく話し、写真などでイメージを共有してくれたので、こちらも提案がしやすかった。好きそうなデザインの家具店を紹介したら気に入ってくれ、食器までそこでそろえたと聞いた。とてもうれしかった」と話すのは、設計を手掛けた同社の比嘉美幸さん。

建築士や職人に任せっきりにするのでなく、要望を丁寧に伝えて設計士や職人としっかり意思疎通をすることで、理想の住まいをかなえた。

水回りは「ホテルライク」を希望。高級感漂う建材を使用した
水回りは「ホテルライク」を希望。高級感漂う建材を使用した。「直線的なものが好き」という夫人のこだわりから、シャワーヘッドまで四角いものを設置した

外観もシャープ。道路側から見えないよう1.8メートルの塀を設けた
外観もシャープ。道路側から見えないよう1.8メートルの塀を設けた
 

その内側はタイル張りのテラス。友人を招いてバーベキューをするときのために長いベンチも設けた

その内側はタイル張りのテラス。友人を招いてバーベキューをするときのために長いベンチも設けた

 

夫人こだわりのキッチン。モノトーンを分断する斜めのラインがスタイリッシュ

夫人こだわりのキッチン。モノトーンを分断する斜めのラインがスタイリッシュ。通常、コンロ上部に付くレンジフードを手元に納めたことでスッキリ


[DATA]
家族構成:夫婦+子ども1人
敷地面積:184.03平方メートル(約55.66坪)
1階床面積:105.15平方メートル(約31.80坪)
建ぺい率:59.94%(許容60%)
容積率:49.13%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式構造
設計:(有)真玉橋設計事務所 野里雅樹、比嘉美幸
CM(コンストラクションマネジャー):(有)真玉橋設計事務所 大城達人
構造:与儀建築工房
施工:(株)孝建設
電気:一光エンジニア
水道:(有)西里設備工業
キッチン:(有)カーサ
AV機器:アバック沖縄店

問い合わせ
(有)真玉橋設計事務所
電話098・937・2777
http://www.madanbashi.com/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1905号・2022年7月8日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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