お住まい拝見
2018年11月23日更新
25坪6LDKで快適|間+impression
[お住まい拝見・小さくまとめて機能的に]「広いLDKと必要な部屋を厳選し、コンパクトにした」と話す建築士の儀間徹さん(50)の自邸は、2階建ての2階部分。約25坪の6LDKで機能性と快適さとデザインを追求した。
2階、儀間さん宅のLDK。天井高は最大4メートル。南側の大きな高窓が視線の抜けと光をもたらし、開放感たっぷり。半階上にある子ども室への階段は、テレビボードを兼ねる
気配感じてリラックス
儀間徹さん宅
RC造/自由設計/家族4人
読谷村の住宅地に建つ、シックでモダンな外観が目を引く2階建ての2階部分。1階に親世帯が暮らす。
2階の儀間さん宅の床面積は約25坪。夫婦と大学生の長男(21)、高校生の長女(16)の4人が生活する上で、「必要最低限の面積でも最大限の快適さが得られ、コミュニケーションも取れるよう設計しました」と儀間さん。
約20畳のLDKを中心に、和室と2部屋の子ども室、寝室、ウオークインクローゼット、屋内物干し場の6室がコンパクトにまとまる。夫人(48)は、「手の届く範囲でいろいろなことができるから、家事も掃除も楽にできます」と話す。
LDKの天井は吹き抜けで、南側に設けた大きな高窓が開放感を高める。儀間さんは、「家族の意見で高窓を透明ガラスにしたのですが、ソファに腰掛けながら月や星、流れる雲が見え、自然が身近に感じられてよかった」。
LDKの隣にスキップフロアで設けた子ども室は3畳。半階上がった位置にあるため、「娘の部屋は常にオープン。気配を感じられるから安心みたい。勉強中、キッチンにいる私に声をかければ、窓越しに飲み物を手渡しできる便利さも気に入っているよう」と夫人。
子ども室の下部は大容量の倉になっているため、「収納にも余裕があります」。
2階のテラス側からLDKを見る。正面奥には仏壇を設けた2.7畳の和室があり、その上部は、長男の部屋からつながるロフトになっている
2階キッチンの脇に設けられた約7畳の倉で収納も十分。上部は長女の部屋
遊び心もプラス
色彩や照明選びは、二級建築士の資格を持つ長男・達紀さんが担った。「天井の黒を軸に、全体的にシックで落ち着いた色合いにまとめました」。
達紀さんのお気に入りは、ロフトのある自室とLDKからつながる「足水テラス」。ゴム栓で止水すれば5センチほど水がたまるテラスは、夏場にバーベキューをする際も涼しく、来客の子どもたちが水遊びを楽しむ。
「テラス上部からつり下がるハンモックにのんびり座っているのが好き。涼しくて気持ちがいい」と達紀さん。遊び心もプラスされた空間で、くつろぎとコミュニケーションが育まれる。
2階の長男の部屋。ベッドスペースの3畳に加え、和室上部のロフトを活用する。「友達が数人泊まりにきても、十分にくつろげます」と達紀さん。内装は黒とカーキの組み合わせで落ち着いた雰囲気
2階の長女の部屋。カウンターを造り付け、ベッドを入れ込んだ。LDKとの仕切りは折れ戸とロールスクリーン
2階南側の水がためられるテラスは、親戚の小さな子どもたちの格好の遊び場に
2階浴室。ホテルの大浴場をイメージし、浴槽も在来工法のタイル張りで仕上げた2階
ピロティや横長の窓が連なる外観は、近代建築の巨匠、ル・コルビジェの建築も意識
ここがポイント
スキップフロアでゆとりと開放感を
幹線道路に近く、利便性が良い敷地は、南と西が道路に接するL字型。2階建ての2世帯住宅を建てるにあたり儀間さんは、「親世帯とライフスタイルが全く異なるため、玄関を二つ設け、外階段で動線を完全に分ける設計としました」と話す。
建築単価の高騰を受け、床面積を抑えながら快適に暮らせるようにプラン。1階より2階の床面積が広くなった分、西側にせり出した建物下部をピロティにして屋根のある駐車スペースを作り出した。
約25坪の儀間さん世帯は、LDKを20畳確保するため寝室は4.5畳、子ども室は3畳ずつとコンパクトに。子ども室はベッドと机、小さな収納が収まる広さ。スキップフロアを採用することで、「LDKからの視線がずれる。プライバシーを確保しながら家族の気配が感じられ、程よい距離感でコミュニケーションが取れます」。
高低差を生かして子ども室下部には約7畳の収納スペース、和室上部には長男の部屋からつながるロフトを作り、空間にゆとりを持たせた。
室内は塗装仕上げ。天井には店舗設計でよく使われる黒を選んだ。圧迫感をなくすポイントは、天井高と光の取り込み方。「LDKを吹き抜けにし、幅約5メートルの高窓を設けることで、シックで落ち着きがありながらも開放感のある空間になりました」。
[DATA]
家 族 構 成:夫婦、子ども2人
敷 地 面 積:191.62平方メートル(57.96坪)
1階床面積:49.38平方メートル(15坪)※親世帯
2階床面積:83.57平方メートル(25.27坪)※子世帯
建 ぺ い 率:54.22%(許容60%)
容 積 率:80.34%(許容150%)
用 途 地 域:第1種中高層住居専用地域
躯 体 構 造:壁式鉄筋コンクリート造
設 計:間+impression 儀間徹、儀間達紀
構 造:建築設計 庵 長間大輔
施 工:(株)沖秀建設 池原元勝
電 気:丸嘉電気工事社 嘉陽宗整
水 道:(有)ライフ工業 高山佳晃
キ ッ チ ン:(有)ファイン 比嘉美奈子
[問い合わせ先]
間+impression
098‐892‐3635
http://ma-impression.com/
撮影/矢嶋健吾 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1716号・2018年11月23日紙面から掲載
この記事のキュレーター
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- 比嘉千賀子
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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。