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2017年9月8日更新

団らんは海と共に|LSD design(株)

[お住まい拝見・[宮古島編①]眺望求め 2層のスキップフロア]伊良部大橋を望む景色にほれ込み土地を購入。より良い眺望を求め、LDKや水回りは敷地から1.5メートル持ち上げ、2層のスキップフロア住宅にした。海も家族の顔もよく見える。


リビング側からテラスを見る。LDKは敷地より1.5メートル持ち上がっており、眼下のサトウキビ畑を超えて伊良部大橋が望める​
 

景色にほれ込み

Oさん宅
RC造/自由設計/家族4人

土地を探して1年。見つけたのは、サトウキビ畑のそば。すくっと伸びる葉の向こうで空と海が溶け合う。伊良部大橋まで望める景色にほれ込んだ。
一番の希望は、「海を見て暮らしたい」。実現するには、目前のサトウキビより高い位置に家を建てる必要があった。
「だけど、敷地は広いから平屋で良い。家造りは、私のワガママから始まった」とOさん。
土地を購入した後、オープンハウスなどを巡り、「ワガママを面白がって聞いてくれた」建築士に依頼した


テラスに面したキッチン。写真右側に見える食器棚は造り付け。「事前に収納する物を伝えた上で、造ってもらったからとても使いやすい」と夫人。テレビ台やダイニングテーブルも造り付けだから統一感が取れている
 

高さ生かし遊び心

完成したのは、1階と1.5階を有する2層のスキップフロア住宅。
敷地から約1.5メートル持ち上がった1.5階にあるのはLDKと和室、浴室などの水回り。敷地通りの高さの1階には寝室や子ども室がある。階段にしてわずか6段の差が、空間にメリハリをつける。
LDKは、海側(北西側)のフルオープンにできる大開口と、仕切りの無い造りのおかげで、「どこに居ても景色が楽しめる」。思わず深呼吸したくなる開放感が魅力。
逆に、子ども室と寝室は、開口部を必要最小限にとどめた。階段を下りていくため「半地下」のような感覚。少しの圧迫感が「寝る時は落ち着く」。
子ども室とその半階上の和室は、階段のほかにも登り棒を伝って、1メートル×1メートルの小窓から出入りできる=下写真。Oさんは「ノリで言ったことも、建築士さんは形にしてくれた。だから、家造りはとっても楽しかった」と語る。


和室側から、半階下がったところに子ども室と寝室がある。子ども室と和室は登り棒を伝って、写真中央の小窓から出入りできる

その「ノリ」は外壁にも。テラスのそばの壁には、クライミングウォールがある=下写真。子どもたちは、ひっきりなしに棒や壁をよじ上り「どうだ!」と言わんばかりの笑顔を見せる。
「海を見て暮らしたい」から成ったスキップフロア。平屋より高さがあるおかげで、登り棒やクライミングウォールが造れた。Oさんのワガママがオリジナリティーあふれる楽しい家を生んだ。


テラスの脇はクライミングウォールがある。子どもたちはひょいひょいと屋根まで登っていく。テラスや庭へ続く階段は、Oさんの「まめに洗い流せるように」との要望でタイル張り

Oさんがほれ込んだ景色。サトウキビ畑の向こうに伊良部大橋が見える。取材時はサトウキビの収穫時期でさっぱりした状態になっていたが通常は緑が生い茂っているそう



ここがポイント

上げる部分絞って
長い目でコスト減



外観。右側の階段を上ると玄関に続く。左側は物干し場へ。物干し場にはシャワーが設置されていて、海で遊んだあとはそこで潮を流し、台所へ続く勝手口から出入りする。持ち上げたLDKや水回りの下は自転車やアウトドア用品の収納場所になっている


最大のポイントは、サトウキビ畑の向こう側、北西に見える海を「どう暮らしに取り込むか」。
手掛けたLSD designの比嘉幹さんは、まず「サトウキビに邪魔されず、海を望める高さ」を割り出すことから始めた。
カメラを使い、さまざまな高さから景色の見え方を撮影。「サトウキビが伸びきった時期でも、約3メートルの高さがあれば海は十分見えた。身長を150センチと考えると、家は1.5メートル程持ち上げれば十分」。
家全体を上げるのは予算が掛かるため、家族の集うLDKと水回りに絞った。「あえて上げない部分を残したのは、将来のコストも考慮した。敷地に余裕がある分、増築の可能性もある。全体を上げると増築部分も上げて造らないといけなくなる」。
また、住宅は光や風の入る南に開くのが一般的だが、海を望むためには主となる開口部を北西側に設けなくてはならない。そのデメリットは「あちこちに天窓や高窓を設けることで、カバーした」。仕切りの無いLDKは、限られた光・風を効率的に巡らせる。西日は「隣の家が遮ってくれるほか、水回りを西側に集めることで対策した」。
北側開口にはメリットもある。直射日光が入らない、時間や季節に左右されず安定した光が取り込めるなど。「メリット・デメリットをよく話し合い、Oさん家族が心地良く過ごせる形にした」と話した。





断面図



[DATA]
家族構成 :家族4人
敷地面積 :430平方メートル(約130.3坪)
1階床面積:90.34平方メートル(約27.38坪)
建ぺい率 :19.72%(許容60%)
容 積 率:18.19%(許容60%)
用途地域 :無指定
躯体構造 :鉄筋コンクリート壁式
設  計 :LSD design(株) 比嘉幹
構  造 :(株)アサヒ建築設計研究所 本間真生
施  工 :LSD design(株)
電  気 :東光電気(株) 上地勝則
水  道 :アルファ―産業 塩川達也



[問い合わせ先]
LSD design(株)
098-894-4282
http://www.lsd-design.co.jp/


写真/比嘉秀明 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1653号・2017年9月8日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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