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2017年8月25日更新

庭で広がる楽しみ|アトリエ・RAI

[お住まい拝見・賃貸併用でもプライベート感]「豊見城市の高台。代々受け継ぐ土地に、3階建ての賃貸併用住宅を建てたAさん(44)。住居は1階。賃貸部分とは出入り口を分け、念願だった庭のある暮らしを楽しむ。


庭から住宅を見る。1階リビングダイニング=写真左手=から右奥の寝室まで続くデッキは木目調磁器タイルを使い、メンテナンスの手間を省いた
 

やりたいこと満喫中

Aさん宅
RC造/自由設計/家族5人

「小学生、中学生、高校生と子どもも3人いるし、せっかく家を建てるなら庭がほしかったんです」と夫人(44)。3階建ての建物の1階に住居を構えたのは、その思いをかなえるため。庭の西側、LDK正面には樹齢約70年のクロキが枝を伸ばす。敷地内にもともとあった一本をシンボルツリーとして残したものだ。
庭に面した南側にLDKと和室、寝室が並び、北側に子ども室がまとまる。「公私の空間を分けたい」と、将来、仏壇を置くことを考慮して設けた和室は、玄関脇に独立させた。
家族が大半を過ごすのはLDK。夫人は「アパートではキッチンが壁付けで、家族に背を向けていたので孤立感があった。だからキッチンは対面式で、リビング越しに庭が見えるようにしたかった。今はとても快適」とにっこり。リビングの壁は、Aさんのこだわりでプロジェクター用クロスに。「週末はプロジェクターを壁に投射して、子どもたちと映画鑑賞。人が集まったときも重宝しています」とうれしそうに話す。



キッチンからはリビング越しに庭のクロキが見え、開放的。リビングには間接照明を設け、シーンに合わせたライティングも楽しめる

 

集いもますます

「敷地が広かったので、予算面も考慮して賃貸併用にしました」と赤嶺さん。数社に見積りを取り検討する中、「打ち合わせやプラン調整のしやすさもあり、姉に設計をお願いしました」
打ち合わせやインテリア選びには長女(7)も同行。システムキッチンは娘の意見を取り入れ、マグネットやマーカーペンが使えるダイニングパネルを選んだ。「お友だちが集まると、みんなでお絵かき大会です」と夫人。
リビングの先にあるテラスで、プール遊びや食事をするのが子どもたちの楽しみ。庭ではバーベキューをしたり、七輪で焼き鳥を焼いたり、「家を建てたらやってみたかったことをいろいろ試しています。きょうだいや友人も呼びやすくなりました」。念願の愛犬も迎え入れ、家族は一層にぎやかに暮らしを楽しんでいる。


キッチン西側にある洗面・脱衣室。洗面台はアイロン掛けもできるよう広々。収納も天井までたっぷり設けられている


玄関ホール脇に独立して設けた6畳の和室。中央奥の扉の向こうにLDKがある。畳は夫妻の希望で、ダニ対策にもなる和紙製を使用。目が細かくサラリとした使用感で夏も涼やか


ここがポイント
動線分け独立性高める

北側と南側の2面が道路に接するAさん宅の敷地。1階の住居は南側に開いた造りになっている。共同住宅を併設するにあたり設計を手掛けた一級建築士の赤嶺早苗さんは、プライバシーを重視した外構動線を計画。北側を共同住宅用、南側をAさん宅専用とし、駐車場とアプローチを明確に分けて住居の独立性を増した。
「アパートの住人の方と顔を会わせることがなく、プライベート感がある。お互い気を使わずに済みます」と夫人は話す。敷地には北から南に向けて下る約2メートルの傾斜があったことから、北側の高さに合わせて地盤を上げた。赤嶺早苗さんは「庭と住居が前面道路より高くなったことで、道路からの視線や音を遮る効果も。プライバシー保護にプラスになった」と説明する=下写真。


庭と住宅は南側の道路より2メートル高い。既存の井戸とクロキを生かして植栽計画した


室内は、リビングと和室、寝室を日当たり、風通しのよい南側に設け、北側に子ども室を配置。「子ども室との間にあえて廊下をつくり、公私のゾーンをしっかり分けました」。
また、キッチン脇に水回り、背後にはパントリーと物干し場を設け、家事のしやすさと収納にも配慮した。Aさん夫妻が希望した「各部屋とつながり、使い勝手のいい庭」は、室内からの眺めなども考慮し、植栽を計画。既存の井戸とクロキを生かし、アプローチにも動きをつけるなど工夫した。



庭に面して明るい寝室。掃き出し窓のそばにはAさんのためのワークスペースがある

引き戸で仕切れば2部屋になる子ども室。カーテンなどインテリアは長女が選んだ



[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども3人
敷地面積 :553.18平方メートル(約167.34坪)
1階床面積:151.34平方メートル(約50.89坪)※住宅部分は125.01平方メートル(約37.81坪)
2階床面積:151.34平方メートル(約45.78坪)
3階床面積:151.34平方メートル(約45.78坪)
建ぺい率 :33.13%(許容50%)
容 積 率:85.13%(許容100%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設  計 :一級建築士事務所 アトリエ・RAI 赤嶺早苗
構  造 :imagine一級建築士事務所
施  工 :(株)りゅうせき建設
電  気 :大里電気
水  道 :正設備興業



[問い合わせ]
アトリエ・RAI
098-996-2721
 


写真/比嘉秀明 編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1651号・2017年8月25日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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