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2017年8月18日更新

リビング広く家事楽に|(株)琉球住樂

[お住まい拝見・3代住み継げる木造2階建て]「リビングが広く家事が楽な3代住み継げる家を」と南城市に新築したTさん(31)夫妻。こだわりの木造2階建てには、湿度の高い沖縄で家も人も健やかに暮らせる工夫が詰まっている。


玄関側から見たLDK。「広々としたリビングが好き。木の香りや木目、大黒柱などは見ていて飽きない」と夫妻。杉の床は足触りもサラリ。漆喰壁と相まってあたたかみのある空間に

 

毎日使う所にこだわる

Tさん宅
木造/自由設計/家族6人

約40畳の大きな吹き抜けのLDKを中心に、東西で明快に公私を分けた木造2階建て。「掃除が大変じゃない? と言われるけど、広いリビングと効率のいい家事動線は譲れなかった。アパート時代から友人を招くのが好きで、家ができたらなおさらと夢を膨らませていましたからね」とTさん。夫人も「ここなら子どもも走り回れるから気兼ねなく集まれる。みんなでワイワイできるのがいい」と喜ぶ。結婚当初は多少不便でもデザイン重視。コンクリートのモダンな家に憧れていたが、Tさんいわく「子どもができて、いかに家事ストレスを減らすか考え方が変わった」結果だ。
予算も「毎日使う物、場所にこそお金をかける」と明確。玄関、浴室は広く、トイレは男性小便器も取り付け、狭さを感じさせないタイルの張り方や水洗金具にもこだわった。
中でも目を引くのは広々とした洗面スペース。あえて小上がりの畳敷きにした家事スペースは効率良く家事が進められるよう配置を決定。夫人は「風呂あがりに下の子のオムツを替えたり、隣のウッドデッキから取り込んだ洗濯物を畳んだり使い勝手抜群」と満足そう。アイランドキッチンも「どこに何を入れるか、何が不要か、高さや寸法、取っ手や扉のデザインまで」夫婦で細かく検討。使いやすさに徹底的にこだわった。



キッチンから見たリビングダイニング。ダイニングテーブルの足を低いタイプに替えソファー側のテーブルとつなげれば居酒屋のような雰囲気に早変わり

 

みんな伸び伸び

結婚当初から資金をため、家造りの構想を練ってきた夫妻。「ローンを返し終わったらすぐ建て直しではもったいない。60年、100年と息子や孫の代まで住み継げれば、結果的に建築費も安くなる」と考えてきた。
そのため当初はRCを検討。木造にしたのは兄が勤める設計事務所の見学会に訪れたのがきっかけ。「残暑の厳しい時期でしたが30坪の家がクーラー1台でこんなに涼しいんだと驚いて」。何度も足を運び台風やシロアリへの対策についても納得「これなら大丈夫」と踏み切った。
住み始めて1年余。「基本的に空調は24時間使っているが電気代は思ったほどかからない。梅雨時はサラッと、夏は冷房による嫌な寒さがなく快適」とTさん。「収納もたっぷり設けてもらったので片付けも掃除もしやすい。みんなアパート時代より伸び伸び」との夫人の言葉通り、家族に笑顔があふれていた。


玄関。オープンな造りでも見え過ぎないようにと、正面にヒンプンを設け室内を目隠し。裏はテレビボードになっている。左手は雨具や掃除道具などの物入れも兼ねた大きな靴箱


ここがポイント
外断熱と空気循環 湿度コントロール
目指したのは「家も人も健康で長持ちする家」。建築士の伊良皆盛栄さんは「年間を通して気温差が小さく湿度が高い蒸暑地域でカギとなるのは、冷房効率を考えた断熱と結露を防ぐ湿度コントロール。湿気の少ない春や秋は心地よい風を取り入れ、湿気の高い梅雨時や夏場は高効率のエアコンで人も家も健やかな家造りを心掛けた」。
まず壁や屋根には外断熱を施し、開口部は断熱効果の高い樹脂サッシと遮熱Low-Eガラスで、外気温の影響を受けにくくし冷房効率をアップした。「部屋によって気温差があると体に負担が掛かる上、家にとっては壁内結露が起こりやすくカビの原因になる」とも。そこで家全体がつながるよう上下階は吹き抜けで結び、水回りや個室、収納の建具類は足元に通風用のスリットを入れることに。その上で計画換気とシーリングファンを生かし,吹き抜けの高い位置と玄関先に設置したエアコンからの冷気を家中に循環させることで,6畳用エアコン2台でも快適な室温・湿度を保っている。
メンテナンスしやすく飽きのこない素材使いも大切だ。杉やしっくいなど手に入りやすく、経年変化で趣を増す自然素材を使っているのはそのため。室内の湿度調整にも一役買っている。
間取りはTさんのイメージを元に広いLDKを確保しつつ公私を区分。客間を兼ね、和室は玄関脇に配置した。寝室は水回りに近く、縁側にスロープを設ければ庭先から直接出入り可能。バリアフリーや引き戸を含め、将来を見据えた造りとした。



配膳や調理がしやすいよう天板を広くとったアイランドキッチン。コンロは掃除がしやすいラジエントヒーターを取り付けている。天板をステンレスにしたことで、家電好きなTさんが選んだスタイリッシュなアイテムもしっくりなじむ



洗面室。正面の家事スペース下は下着類を収める収納。洗面台の蛇口は二つ。伸縮するシャワーヘッドで掃除もしやすい(写真左)
トイレ。壁のスペインタイルはメーカーまで行って選んだもの。床も清掃性を考えタイルを採用。斜め張りで広く見せた(写真右)


外観。台風時はサトウキビが根こそぎ倒れる強風が吹くため、軒を低くし対策。夏の日差しも防いでくれる



[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども4人
敷地面積 :444.94平方メートル(約134.59坪)
1階床面積:148.47平方メートル(約44.91坪)
2階床面積:28.98平方メートル(約8.77坪)
建ぺい率 :37.2%(許容70%)
容 積 率:39.88%(許容200%)
用途地域 :区域区分非設定都市計画区域
躯体構造 :木造
設  計 :(株)琉球住樂一級建築士事務所 伊良皆盛栄
大  工 :真内装(内)、孝技建(外)
電  気 :テルヤ電業
水  道 :(有)海西工業
屋  根 :(有)八幡瓦、スカイルーフ
建  具 :(株)エクセルシャノン(外建具・樹脂サッシ)、(有)照屋木工所(内部木製建具)
左  官 :(有)仲松左官工業
外  構 :金勢造園



[問い合わせ]
(株)琉球住樂
098-852-6936
http://10raku.co.jp/


写真/比嘉秀明 編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1650号・2017年8月18日紙面から掲載

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