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2017年7月28日更新

シンプルで多機能な家|(株)クロトン

[お住まい拝見・仕事場も貸店舗も併設]Tさん(41)は、沖縄県南風原町津嘉山に4階建ての賃貸併用住宅を建てた。1階は貸事務所で、2階は自身の店舗。3階の住居は、シンプルかつ自由度の高い間取りが特徴だ


南側(写真正面)の窓から光と風がたっぷり入る3階のリビング・ダイニングは、家具も最小限で広々。「床に近い暮らしが心地いい」と妻のMさん。
 

空間広々、使い方自在

Tさん宅
RC造/自由設計/家族3人

Tさん宅は、南側と西側が商業店舗の駐車場に面した角地に建つ。1階は貸事務所で、2階店舗はTさんが塾長を務める空手道場。そして3階が住宅だ。
玄関はゆったりとスペースが取られ、その奥には靴のまま出入りできる土間張りの倉庫。妻のMさん(37)は、「自転車やアウトドア用品が直接入れ込めて便利。物をまとめて置ける場所があるとすっきり暮らせます」と話す。
夫妻が最もこだわったのは、「広々として自由度の高い間取り」だった。東西に細長い敷地。家の中心に24畳のLDKを据え、西側には引き戸で仕切れる2部屋の洋室と寝室、キッチンの背後、南東側に水回りがまとまっている。
間取り決めにあたっては、近くの公園にロープを張って実寸を再現。友人も呼んで意見を聞いた。Tさんは、「図面だけでは広さや使い勝手がつかめない。友だちも面白がって私たちよりも真剣に考えてくれて、的確な意見がもらえたのが良かった」と実感する。
リビング・ダイニングは、「日当たりも風通しも抜群で気持ちがいい」とMさん。一体的につながる北側のバルコニーはTさんお気に入りの場所で、「夜が一番気持ちいい」とにっこり。デッキに座り、夜風を感じながら一杯傾けるのが楽しみになっている。


リビング・ダイニングからキッチンを見てもスッキリ。中央左側の扉の奥は夫妻の書斎

 

次世代に残す思い

いつかはマイホームをと思っていたが、敷地周辺の開発が進む中、「周りにどんな建物が建つかで、家の向きや造りも変わってくる。あせらずじっくり待って建てようと考えました」とTさん。立地を生かし、収益も得られるよう賃貸併用住宅を計画。Mさんが仕事を通して知り合った建築士に、収支シミュレーションから依頼した。「ノリがよく、発想の面白い人。いい家を造ってくれると思った」。
2階の道場は、天気の悪い日は長男(2)の遊び場に変わる。「息子は飛んだり跳ねたり楽しそう。後々は大型スクリーンとスピーカーを付けて、シアタールームとしても使えるようにしたい」と構想する。
4階のバルコニーは将来、増築が容易にできる造りになっている。「息子がやりたいことをできる場所を残したかった。増築すれば住まいにも仕事場にもできる。孫の代まで生かせる建物になれば」とTさん。愛情と空間を息子につなぐ。


Tさんお気に入りのバルコニー。Mさんが長年愛用するちゃぶ台を出して、のんびりくつろぐ



ここがポイント

将来の増築を容易に


将来の増築を見据え、屋根や柱を設けた4階のバルコニー。道場生と稽古をしたり、バーベキューを楽しんだりと、コミュニケーションの場として活用する


周辺にスーパーや商業店舗が立ち並ぶ、利便性の高い地域にある桃原さん宅。立地の良さを考慮し、1、2階を収益の得られる貸事務所・店舗にして、住居は3階のワンフロア。4階のバルコニーを将来、増築がしやすい構造にし、床面積として組み込んでいる点が一番のポイントだ。
4階は柱と梁、屋根を設けることで、建築基準法上の床面積として計算されているため、将来増築する際の申請は不要になる。設計を手掛けた建築士の下地鉄郎さんは構造上の工夫について、「屋上スラブは、将来、壁を設けて増築した際の積載荷重を想定して厚くしています。配筋もほかの階より5センチ狭めた15センチ間隔にし、太い径の鉄筋を使っています」と説明する。
北から南へなだらかに傾斜する屋根は高さが最大3メートル超あるため、ロフトを設けることも可能な造りになっている。
建築基準法上は床面積として組み込まれている4階だが、登記簿上では原則3面が壁で囲われていなければ床面積とはみなされない。その造りが、住宅ローン選びを左右する。「建物の登記簿上の床面積で3分の1以上が住宅なら、金融機関によっては賃貸併用住宅ローンが利用できる。アパートローンよりも安い金利で借り入れができるのが大きな利点です」(立面図参照)。
総工事費は、税込み約6,600万円。テナント収益をローン返済に充てられるため、無理なく支払いができる。「施主の望む暮らしを実現しながら、資産形成もお手伝いができる建物になりました」。


<青いライン>建築基準法上の床面積
<赤いライン>登記簿上の床面積
建築基準法と登記簿では、床面積の考え方が異なる。登記簿上は4階のバルコニーが床面積には含まれないが、建物に占める住宅の面積は3階部分のみで3分の1となっている。



西側の洋室は、子どもの成長やライフスタイルの変化に対応しやすいよう引き戸で仕切るスタイルにした


2階フロアは、Tさんが塾長を務める空手道「琉心塾」の道場(Tさん提供)


北側の外観。1階は3店舗が入居する



[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども1人
敷地面積 :261.48平方メートル(約79.2坪)
1階床面積:107.16平方メートル(約32.4坪)
2階床面積:120.96平方メートル(約36.6坪)
3階床面積:114.00平方メートル(約34.5坪)
4階床面積:97.92平方メートル(約29.6坪)
建ぺい率 :53.32%(許容70%)※角地適用
容 積 率:168.29%(許容200%)
用途地域 :準住居地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設  計 :(株)クロトン 下地鉄郎、涌井領
構  造 :(有)建築設計 庵
施  工 :(株)丸洋建設
電  気 :(有)大謝名電工
水  道 :(株)永山組



[問い合わせ]
(株)クロトン
098-877-9610
http://www.croton.jp


写真/高野生優(フォトアートたかの撮影) 編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1647号・2017年7月28日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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