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2017年5月5日更新

空間つなげ親戚集う家|(株)安永建築

【梁見える高い天井で開放感】沖縄県宜野湾市の住宅街に建つ木造2階建てのKさん(32)宅。築約30年の家を建て替えた2世帯住宅で、高い天井に梁が見える開放的な空間に、親戚が集まりにぎやかに暮らす。

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Kさん宅
木造/自由設計/家族6人


高い天井に太い梁が通り、開放的な空間が広がる2階子ども室。区切ることもできるが、普段は奥のリビングとつなげて使う。Kさんが取り付けたブランコや、ままごとで使う夫人手作りの屋台=写真左=など、子どもを楽しませたいという思いを感じる

 

伸び伸び遊べる2階

南側中央、2世帯が共同で使う玄関を入り、左に行くと両親世帯、右に行くとKさん(32)が営む整体院とKさん世帯が暮らす2階への階段がある。
太鼓梁が目を引く両世帯のリビングや2階子ども室の天井高は、最大5メートル近くあり、足を踏み入れると一気に視界が開ける。さらに、それぞれ隣接する部屋の戸を開放すれば、ひとつの空間として使用可能だ。Kさんは「親戚が50人くらい集まったときでも圧迫感を感じなかった」と話す。

夫婦、両親とも仕事をしており、「互いの家事の負担を軽くする」ためにも、Kさん家族は朝食から夕食後の団らんまで1階で過ごすことが多い。日常的に広々とした空間が役立っている。

夫人(32)好みの北欧風の雑貨で装飾された2階では、Kさんが子ども室の太い梁に縄を掛けてブランコを設置。リビング壁面には「落書き用に」と、幅2メートルほどのホワイトボードを取り付けた。

5歳と3歳の娘のほか、近くに住むおいやめいらも毎日のように遊びに来て、遊び疲れた子どもたちは小上がりになった和室で昼寝する。「キッチンで作業していても、すべての様子が見えるので安心。伸び伸び過ごす様子を見ると幸せな気持ちになる」と夫人。



13畳の1階リビング。たくさんの親戚が集まったときに、6畳の和室=写真奥=と一体化して使える。写真左上、奥から手前へと掛かる太鼓梁はKさん宅で最も長く、1本で約5メートルの長さがあり迫力満点/写真左。2階和室は小上がりになっているため、カウンターの奥にあるキッチンで作業する人と、同じ目線で会話できる/写真右
 

建て替えを機に同居

3年前、アパートに住んでいたKさんは家を建てようと土地を探していた。ちょうどそのとき、両親が暮らす築30年ほどの鉄筋コンクリート造の実家を建て替える話が出て、2世帯住宅にすることに。見学会で、梁が見える開放的な空間などを気に入った木造専門の建築会社に依頼した。

住み始めて1年が過ぎ、父(64)は「夏でも外から帰ってきたときにモワッとした感じがしない」と喜ぶ。母(62)は「毎日にぎやかだけど、孫の成長を身近に感じられるのがいいね」と同居を楽しむ。

昔から親戚が集まることが多かったというKさんは「子どもたちが大きくなっても、親戚のつながりを大切にし、気軽に集える家になれば」と期待を込めた。



ここがポイント

寝室小さく LD広く

Kさん家族が要望したのは「たくさんの人が集える広い空間」。(株)安永建築営業部の牟田一貴部長は「寝室は眠るだけというライフスタイルも踏まえ、寝室は小さく、その分リビング・ダイニング(LD)を広くすることを提案した」と話す。LDは隣室と一体化できる造りや5㍍近い天井高で開放感があるほか、玄関は大勢が同時に使えるよう、一般的な幅の倍となる約3.6メートルになっている。
元病院勤務で「高齢の患者の家をたくさん見てきた」というKさんの意見から、1階は全面フラットのバリアフリーに。浴室とトイレは、車イスや介助が必要になる将来を見据えて2階より1.5倍ほど広くした。さらに寝室の隣に配置したので、夜でも安心して行き来できる。
屋根には、鉄分が少なく酸化しにくい島根県産の石州瓦を採用。「台風が多く、塩害の影響を受けやすい沖縄では、長い目で見たときにメンテナンス費を抑えることにつながる」と牟田さん。床材も傷つきにくい無垢のヒノキを使っている。
小上がりになった2階和室の畳の下など収納も随所に設置。2.5畳と広い2階納戸には食器から冷蔵庫まで入るので、キッチン回りはすっきりしている。そのほか、道路に面した南側と東側は細長い縦すべり窓で、外からの視線を遮りつつ、夏場には東南から吹く風を取り込む。



2階和室から見あげたリビングの小屋組み。梁は大工が向きなどを考慮しながら手作業で加工した。「和室に寝転びながら木目を見ると落ち着く」とKさんのお気に入りの景色だ


白い外壁に黒い瓦がよく映える外観。中央に住宅の玄関、右奥に整体院の玄関がある


大勢で使えるよう、幅が広い1階の玄関/写真左
青い壁紙がアクセントの2階洗面室。見学会で見たタイルを気に入った夫人が、自宅でも取り入れ、タイルに合う鏡を探して取り付けた/写真右



落ち着いた雰囲気にするため、1階和室は畳、天井、床の間の壁を黒くした




[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども2人、両親
敷地面積 :307.73平方メートル(約93.08坪)
1階床面積:102.27平方メートル(約30.94坪)
2階床面積:76.59平方メートル(約23.17坪)
建ぺい率 :36.19%(許容50%)
容 積 率:58.13%(許容100%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :木造軸組み
設   計:(株)安永建築
構   造:(株)安永建築
施   工:(株)安永建築
電   気:ボルテューム
設   備:(有)石原設備


[問い合わせ先]
(株)安永建築
0120-693-702
http://yasunaga-k.co.jp/


写真/高野生優(フォトアートたかの) 編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1635号・2017年5月5日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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