お住まい拝見
2017年3月24日更新
傾斜生かし地下車庫も|(株)朝日ホーム21
『伸び伸び居室&4台分の駐車場』人を招くことが多いUさん(39)宅。あえて傾斜地を購入し、約40坪の敷地に、オープンな住居と掘り込み式の車庫を含め4台分の駐車場を確保。集いやすい家をかなえた。
Uさん宅 RC造/自由設計/家族4人
浦添市の傾斜地に建つUさん宅。高低差は最大3メートル。一番低い場所に地下車庫を設け、土地造成のコストを削減。西側(写真左側)にも2台分の駐車場がある
集いやすい家に
浦添市の住宅地、坂道を下る途中にあるUさん宅。
敷地内の高低差は最大3メートル。道路と接する一番低い場所には掘り込み式の車庫があり、2台(約6坪)が止められる。
西側にも2台分の駐車場があり、約41坪の敷地に4台分の駐車スペースと、1・2階合わせて約31坪の家が建つ。「人を招くことも多いから、家の面積を削らずに駐車スペースを確保したかった」とUさん。その願いがしっかりかなえられたわが城に満足顔だ。
「そろそろ自分の家を持ちたい」と、住み慣れた浦添市で「3~4年かけて」土地を探した。予算との兼ね合いもあり「過度な広さは必要ない。効率的に駐車場を設けたい」と、あえて傾斜地に絞ったと言う。
立ち寄った建設会社に紹介されたのが現在の場所。変形地ということで少し安めの価格だったこともあり、「即決しました」。
玄関を入ると、ワンルームのように一体的なLDKがある。モノトーンの家具や壁がシックな雰囲気。キッチンのタイルもおしゃれ。南東側の開口部からさわやかな風と光が入ってきて心地よい。リビングのテレビ後ろの壁はタイル張り。Uさんが「記念に自分で貼った」そうだ
夫人お気に入りのL字型キッチン。つり棚を設けなかった分、下部収納がたっぷりあるものを選んだ
ワンルーム的な1階
住まいは4LDK。うち三つの個室は2階にあり、1階はワンルームのような開放的な造り。料理をしながらも子どもや来客に目が配れる対面式のキッチンに、ふすまを開ければひと続きになるリビングと和室。「人が集いやすく」「子育てしやすく」がうまく調和している。
夫人(38)が「唯一こだわった」のがキッチン(上写真)。収納は欲しかったが、つり棚は設けずに見通しを優先した。L字型なのも、お気に入りだと言う。「コーナーが直角ではなく、なだらかなカーブなのがポイント。デッドスペースになりがちだけど、ウチでは最も活用度が高いんです」。
2階は寝室と、子ども部屋などがある。開放的な1階とは一変、プライバシーに配慮。今は物入れとして使用している場所は、ゆくゆくはトイレにする予定で上下水道管を配してある。
土地探しの段階から要・不要を念頭に置いていただけあり、「今の利便性」と「将来の住み心地」をしっかり両立させている。
リビングと和室は直線状にあり、一体的に使える。大勢の人を招いた時はテーブルを連ねて「ここで大宴会です」とUさん。普段は2歳の長女と7カ月の長男の遊び場になっている
オープンな1階とはうって変わり、2階は個室を連ねプライバシーを確保。「今はまだ子どもたちが小さいからほとんど使っていない。将来、上手に活用していきたい」と夫人
ここがポイント
車庫設けつつ高さ抑え
Uさんの要望から、掘り込み式の車庫を設けることは大命題だった。
傾斜地において、地下階を設ければ擁壁や盛り土などの造成工事が削減できる。コストダウンにつながるため、要望は理にかなっている。
だがクリアしなければならない問題もあった。(株)朝日ホーム21の設計担当者は「地下車庫を設けると建物が高くなる。Uさん宅の用途地域は『第一種低層住居専用』のため、建てられる高さに大きな制限があった」と話す。
高さ制限がある中でも、希望する空間を確保するために採用したのが、逆梁工法(イラスト参考)。通常のラーメン構造では、梁の上にスラブ(天井や床)を乗せるが、同工法では梁にスラブをつり下げる。逆梁工法にすることで、「天井高を抑えつつ、広々とした住居空間も確保した」と説明する。
地下車庫を設けた分、居室が道路より高くなったことは、間取り面でうまく活用した。「高低差が大きい分、外からの視線を気にせず窓を開け放つことができる。差が最も大きい南東側にテラスやリビングを配して=左立面図参考=家族も来客も開放的に過ごせるようにした」。
駐車場の確保以外にも、掘り込み式車庫のメリットを存分に引き出し、心地よい住まいを生み出した。
逆梁工法
一般的な工法
南東側立面図
テラスの内側にリビングがある。道路との高低差が一番大きいところにリビングを配したことで、外の目線を気にせず開け放てる
[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:135.48平方メートル(約40.98坪)
1階床面積:59.28平方メートル(約17.9坪)
2階床面積:43.18平方メートル(約13坪)
地下駐車場:19.86平方メートル(約6坪)
建ぺい率:32.73%(許容50%)
容積率:75.66%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設計・施工:(株)朝日ホーム21
電気:久貝電気
[設計・問い合わせ先]
(株)朝日ホーム21
098-877-3286
http://www.asahihome21.co.jp
写真/泉公/ララフィルム撮影 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1629号・2017年3月24日紙面から掲載