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2015年10月23日更新

古家具生かす造り 親子で気兼ねなく|Studio Code一級建築士事務所

建築士の屋良朝和さん(44)宅は沖縄本島中部、読谷村長浜の海が見える丘陵地にある。自身で設計した鉄筋コンクリート(RC)造2階建てで、長年集めてきたアンティークの家具が打ち放しの壁によく映える。寝室を離すなどの工夫によって、生活リズムの違う夫婦と義母が、思い思いに過ごしている。

家族・個人 居場所自由に

屋良朝和さん宅 (家族3人 自由設計 RC造)


2階LDK。約4・3メートルの天井高と、高窓からの光が相まって開放感が漂う。夫妻の好きな赤色を基調とした、あでやかな和柄のいすがコンクリート打ち放しの空間によく映える。左側の和室は通路とカーテンで仕切ることができ、客間としても使える


1階には夫婦の寝室に、自身の設計事務所と妻の陽生子さん(45)が営むジュエリーショップを併設。2階にはLDKと、同居する義母の宮田芳子さん(75)の寝室がある。犬2匹、猫1匹も共に暮らす。
外観は窓が少ない印象だが、室内は天窓や高窓、スリット窓などから光が差して明るい。
随所に夫婦で集めた日本や中国、チベットなどのアンティーク家具が置かれ、コンクリート打ち放しの壁によく映える。以前の住宅では、それらをインテリアだけでなく収納としても使用。「新居でも生かしたい」という夫婦の考えから、以前と同様に食器棚や靴箱として活用している。
30年以上前の水屋だんすがあるLDKは、高さ約4・3メートルの吹き抜けで開放的。たんすに入りきらないものや食品類などは、広さが7畳ある隣の納戸にしまうため、生活感を感じない。屋良さんは「家にいながら非日常的な雰囲気を味わえるので、外に飲みに行くことが減った」と笑顔。

模様替えを楽しむ
家造りは、屋良さんが父から土地を譲り受けたのを機に開始。既に夫妻と芳子さんは同居していたため、互いの生活リズムの違いを把握。その点などに配慮し自身で設計した。
夫妻の寝室は1階北側、芳子さんの寝室は2階南側と離れている。どちらの寝室にも洗面台があり、夫妻の部屋には冷蔵庫やトイレもある。「夜、テレビの音量など細かいことを気にしなくていい」と喜ぶ陽生子さん。芳子さんは「県外から来た孫と、自分の部屋で一緒に眠ったこともある」と広さや居心地の良さにも満足げだ。
さらに夫婦は、それぞれの事務所と店舗を書斎のように使用。その間にある応接室は、打ち合わせだけでなく、飲み会の場にもなるという。屋良さんは「家族一人一人が独立した『個』として好きな場所で、好きな時間を過ごせる」。
模様替えの頻度も多いという屋良さん。昨年末に住み始めてから、すでに5回ほど、家具の配置を変えたという。「今度来たときは、違ったレイアウトになっていると思いますよ」と常に新しい暮らし方を楽しんでいる。


キッチン側から見た2階LDK。30年以上前の水屋だんすをテレビ台とその隣の棚として二つに分けて活用しており、棚には食器を入れている


玄関。右の赤い中国家具は設計する前から玄関に置くことを決めていた


1階、陽生子さんのジュエリーショップにもアンティーク家具がたくさんある


ここがポイント
生活リズムの違い 配慮

設計の際、屋良さんが考えたのが夫婦と義母の生活のリズムの違い。まず、日当たりの良さを望んだ芳子さんの寝室を2階の南側に配置。「夜の物音はストレスになるから」と、互いに気兼ねせず過ごせるよう、夫婦と芳子さんの寝室を離した。洗面台が各寝室にあるのもそのためだ。
さらに、LDKを2階に設け、義母が2階で生活の全てを完結できるようにした。
夫婦が趣味で集めたアンティーク家具もプランに大きく関わった。家具が映える空間にするため、無機質なコンクリートを使いシンプルに仕上げた。家具を収納として活用するため、納戸とウオークインクロゼット以外に細かい収納はほとんど設けていない。
「模様替えの際、家具をどこにでも置けるように、掃き出し窓などの大きな窓もあえて設けなかった」。そのため、開口部は必要最低限とした。台風被害の軽減や、周囲からの視線を遮る狙いもある。
ペットが滑らないようにと、床にはタイルを使用。「多少傷がついても気にならず、水を吸わないので、ペットが排泄してしまったときも掃除しやすい」。天井に塗られた調湿や消臭効果のある塗料も、ペットとの共生に一役買っている。
「10年近く、自宅兼事務所を構えてきたので、住宅と職場を分けないのが自然」と屋良さん。住宅側から事務所、応接室、陽生子さんの店舗まで行き来できる。しかし、外からのドアは住宅、応接室、店舗と三つに分け、将来テナントとして貸せるようにした。


広々としたアイランド型のキッチン。芳子さんは「3人で立っても作業しやすい」と話す。20人ほど集まったときには、ダイニングテーブルや和室の座卓と合わせて、シンクのあるコンクリートの台も食卓として使ったという


1階、夫婦の寝室。写真中央の洗面台があることで、同居する芳子さんの部屋には、夜でも水の音が響かない


階段の手すりは、降りるときに体重をかけても滑り落ちにくい、ユニバーサルデザインの「クネット手すり」を使用。将来、昇降機を取り付けられるよう、踏み板の幅も1・3メートルと広くした


西側から見た外観。窓が少なく、西日が入りにくい


屋良 朝和さん

[DATA]
家族構成:夫婦、義母、犬2匹、猫1匹
敷地面積:300.99㎡(約91坪)
1階床面積:105.88㎡(約32坪) 2階床面積:105.88㎡(約32坪)
建ぺい率:37%(許容60%) 容積率:70.35%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:Studio Code一級建築士事務所 屋良朝和
構 造:若宮建築設計室 若宮篤志
施 工:N建設工房 仲眞豊
電 気:エスケイ電気 喜久山勝盛
水 道:第一設備 新垣真一
設備機器:(株)共立太陽住器、(株)創新工業
キッチン:TOYO KITCHEN(メーカー)

[設計・問い合わせ先]
Studio Code一級建築士事務所
098-989-6851
http://www.studio‐code.com
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1555号・2015年10月23日紙面から掲載

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