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2015年8月28日更新

色カタチに遊び心 思い思いに楽しむ|S.EEE.D(シード)

沖縄本島中部、嘉手納町のIさん一家は3世代6人家族。補強コンクリートブロック造2階建てに住む。三角柱に三つの箱を組み合わせたような形で、室内も各部屋のドアの色を変えるなど遊び心満載。家族はほどよい距離感で思い思いの暮らしを楽しむ。

距離感ほどよく

Iさん宅(家族6人/自由設計/補強CB造)


1階LDKを南のデッキ側から見る。ロフトのように使える2階の壁には鮮やかな黄色でIさんのイニシャルを表現。約5メートルの天井が開放感をもたらしている。食事は座卓でとるのが習慣だったことから、LDKの一角に畳スペースを設けリビングと一体的に使えるようにした

隠れ家のような2階
Iさん宅は嘉手納町の古い住宅街にある。建物の中央にあるLDKは収納の引き戸やタイルがカラフルで、天井の高い開放的な空間。そこを中心に西側はIさん(39)と長男(14)の個室や水回り、南東は姉(42)と妹(36)、北東は父(77)と母(74)の個室が囲む。
Iさんは「杉の床材がスルスルして気持ち良く、はだしでいることが多い」。床の上で直接昼寝することもあるという。
デッキへ続く掃き出し窓からは南風がよく通る。姉は「朝は特に涼しく、新聞を読みながらコーヒーを飲むのが一日の始まり。そのために早起きするようになった」と笑う。
LDKの上、ロフトのように使える2階のフリースペースは長男の特等席。「リビングやキッチンにいる家族の様子が全部見える」と笑顔。友人と遊ぶこともあり、まるで「隠れ家のよう」だ。

建築士が要望くみ取り
以前は借地で、築50年以上の瓦屋根の家に住んでいたが老朽化。両親の「住み慣れた嘉手納がいい」との思いと、叔父から土地を譲り受けたことから、約5年前、この地での家づくりを開始。建築士は姉の知人から紹介された。
道路敷設の調整などに時間が掛かり、完成したのは昨年末。「こうして欲しいという要望は無かったが、何度も建築士に会った分、僕たち家族にどんな家が合うのかをくみ取ってくれた」とIさんは喜ぶ。
印象的なのは個室のドア。長男の部屋は黄緑と茶のチェック柄でにぎやかに、姉の部屋は水色一色で爽やかに仕上げるなど、それぞれが好きな色を選定。扉の表と裏で色が違うのもおもしろい。天井が約5㍍と高く変形した広いリビングに比べ、個室はこじんまりとしており雰囲気も異なる。「好きなときに、好きな場所で思い思いの時間を過ごせる。シェアハウスみたい」と妹。
キッチンは、主に使う母の身長に合わせて設定。「とても使いやすい。料理しながら、窓の外の公園の緑を見るのが好き」と話す。
家全体が色鮮やかな絵画のようで「建築士の遊び心が感じられる」と満足げなIさん。これからも生活スタイルに合わせて、さまざまな色が加えられていくだろう。


玄関側から見た1階LDK。写真奥から手前に向かって徐々に高くなる天井が空間に奥行きと広がりを与える。大きな窓の外にはデッキが続き、その奥には隣接する公園の緑が見えて、外とのつながりも感じる


長男の部屋。扉はリビング側は黄緑と茶のチェック柄、室内側は茶一色で、ドアを閉じたときに落ち着いた空間になるよう工夫。壁は全面マグネットペイントが塗られ、お気に入りの布などは磁石で貼り付けている


ここがポイント
家族の個性を意識

「常に心掛けるのは家族の性格や関係性を知ること。家族の肖像画を描くつもりで設計します」と建築士の岡本哲也さん。設計時、一家から特に要望はなく、「互いに他の家族を優先してほしい雰囲気だった」ため、雑談や表情などからそれぞれの性格や関係性をくみ取り、設計に反映させた。
最も気を配ったのは家族の距離感。例えば控えめな性格のIさんは、最も奥まった西側に部屋を配置。その隣を長男の部屋にして親子のゾーンに。犬を世話する姉妹は犬小屋のある南東側、両親は西日が当たらないよう北東側にゾーニング。それらの中心にLDKがある。「一人、ペア、家族でと、それぞれがほどよい距離感で過ごせるよう配慮した」。
みんなで集まりたいとき、一人でのんびりしたいときなど、気分やシーンに合わせた居場所を提案。天井が高く変形したリビングと、家中に散りばめた色で、その幅を広げた。同様に、各部屋のドアは表裏で色や模様を変え、部屋に入る時と出る時で気持ちが切り替わるよう配慮。それぞれが好きな色を選んだため個性も出ている。
そのほか、足腰に負担をかけないよう床材には柔らかい杉の足場板を使用。安価で手に入りやすく、商品が廃版にならない上、経年変化も楽しめる。
個室の壁やドアには、つや消しや耐久性を高めるためチョークボードペイントを塗装。磁石がくっつくマグネットペイントを一部に施すことで、穴を開けずに壁が飾れる。
リビング壁面は、家族が両親の健康を気遣っていたことから、調湿機能のあるしっくい仕上げに。シックハウス防止や汚れをつきにくくするため、光触媒も噴霧した。


外観。玄関ポーチの壁はイニシャルの「i」の形にくり抜かれており、大きなサインになっている


キッチン。左側の収納の引き戸はフレームをオレンジや黄緑に塗装。冷蔵庫や食品ストックなどを隠せる


Iさんの部屋。アンティークのランプやスピーカーなどは、何度も会って話した建築士の影響。建築士も「親戚のおじさんになった気分」とIさん家族との交流は今でも続く


トイレ。マーブル調の丸いタイルや手洗い鉢は家族で選んだもの。妹は「建築士にアドバイスをもらいながら、決めていくのが楽しかった」

[DATA]
家族構成:両親、姉、妹、本人、子ども
敷地面積:330.95㎡(約100坪)
1階床面積:158.1㎡(約48坪) 2階床面積:15.39㎡(約4.7坪)
建ぺい率:48.7%(許容50%) 容積率:52.5%(許容100%)
用途地域:第一種中高層住居地域
躯体構造:補強コンクリートブロック造
設 計:S.EEE.D 岡本哲也
構 造:(株)濱川構造設計
施 工:(有)エヌ・シー・エス
電 気:電光
水 道:(有)技研管理 
キッチン:(株)クチーナ沖縄
外 構:(有)アートーン
[設計・問い合わせ先]
S.EEE.D (シード)
090-4220-3365
http://seeed.ti‐da.net
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1547号・2015年8月28日紙面から掲載

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