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2015年3月27日更新

夫婦 違うこだわり 室内と躯体に反映|アトリエ・ネロ

沖縄県本島中部、浦添市のIさん(45)宅は、夫人(41)がキッチンや収納、Iさんは躯体に、それぞれのこだわりが反映されている。コンクリートの打設作業にも参加した。住んで3年半。天井や壁の漆喰は白く、ヒノキのフローリングはあめ色へと変わり、温かみのある雰囲気を醸し出している。

住むほどに増す温かみ

Iさん宅(家族4人 自由設計 RC造)


1階リビングから、ダイニング・キッチンを見る。天井や壁の琉球漆喰(しっくい)が、優しい雰囲気を感じさせる。ヒノキのフローリングには、木の呼吸を妨げず汚れも防ぐオイルを、夫婦で塗った

収納工夫しすっきり
Iさん宅は、学生の行き来で朝夕にぎやかな住宅街に建つ。2階建てで、1階にLDKや和室、水回り、2階には寝室や子ども室がある。Iさん家族にIさんの母親の4人が暮らす。
家づくりでは夫人はキッチン、Iさんは躯体にこだわりを反映させた。
オーダーメードのキッチンは、リビング・ダイニングと向き合う「対面式」。リビングからは手元が見えない造りにした。シンクの上には、布巾の収納に便利な物干し棒を造り付けた。階段下には引き出し収納を仕込んでもらった。夫人は「今まで住んだ家や、雑誌で見つけたアイデアのいいとこ取り」とほほ笑む。
コンクリート打ち放しの躯体は、打設に手間暇をかけ、ひび割れないよう頑丈に仕上げてもらった。「室内がどんなに快適でも、躯体がしっかりしてないと長く住めませんからね」とIさん。
建築士から「やってみる?」の一言もあり、Iさんはコンクリートを締め固めるための機械を手に取り、作業に参加した。「家づくりの大変さが分かり、勉強になりました」。
室内を温かみのある雰囲気にしているのが、天井や壁に施された琉球漆喰だ。工業高校教諭のIさんは教え子たちを誘い、壁を塗った。「生徒たちも、『いい思い出になった』と言ってくれました」。

高い耐久性を求めて
家づくりが本格化したのは、7年ほど前。離島での勤務を終え、夫人の両親から土地を提供してもらったのを機に、県外に住む母親を呼び寄せて、建てる決心をした。
設計の依頼先は、夫婦ともに一致。「僕は耐久性の高い躯体で造ってくれる建築士、妻はシンプルで優しい雰囲気のデザインをする建築士で探しました。不思議と同じ建築士にたどり着きました」。
住んで3年半。漆喰は白く、ヒノキのフローリングはあめ色へと変わった。ヒノキのサラッとした踏み心地も健在だ。
「母も孫と暮らすようになって、元気になりましたね。大切に手入れしながら暮らしたい」。夫婦は目を細めた。


1階キッチン。レンジフードは従来のつり下げ型ではなく、火元の近くで換気するタイプにし、室内を見渡しやすくした。火元は、ラジエントヒーターを使っている


シンク上に用意された物干し棒。散らかりがちな布巾やざるを片付けるのに重宝している


キッチン隣の階段下収納。電気ポットや子どものおもちゃなどが、引き出せるようになっている


ここがポイント
仕切りを造作で 間取り変え容易

Iさん宅の敷地は建築前、北側に道路、東・西側に住宅があった。南側は学校の敷地に面していたが校舎とは離れていた。そこで、南側にLDKを置き、Iさん夫婦の要望だった「南もしくは東向きの家」が実現した。
Iさんがこだわった躯体は、直方体に近い形で、シンプルかつコンパクトに設計。
設計したアトリエ・ネロでは8年前から、ひび割れのないコンクリートの工法を独自に研究、実践している。同工法の特徴である、セメントや砂、砂利や水の配合の検討、バイブレーターと呼ばれる機器を入れてのこまめな締め固め、入念な養生などを、Iさん宅でも行った。
生活スタイルに合わせて、間取りを変えられるようにするため、住宅内部は、本棚や押し入れ、クロゼットなどの造作で仕切っている。
母親との同居は、住宅の規模を考え、玄関やキッチンを共有し、内階段で行き来する造りにした。根路銘安史・水上浩一建築士は「生活パターンの違う家族にとって、息抜きの場があった方がいいと考え、2階にはデッキテラスを設けた」と説明する。
根路銘さんと水上さんは「施主が作業にかかわることで、コストが抑えられ、住まいに愛着がわく。そんな家づくりを大切にした」と話した。


2階デッキテラス。ベランダは芝生で緑化している。現在は息子の野球の練習スペースとして使っている


コンクリート打ち放しの外観。曲面にデザインした庇(ひさし)や、木の格子手すりが優しい印象を添える


玄関。カリンの引き戸が味わい深い。


戸を閉めると、青や赤、黄色の琉球ガラスがカラフルな光を室内にもたらす


琉球畳が敷き詰められた1階和室。仏壇を造作に組み込んで仕上げた

[DATA]
家族構成:夫婦・子ども1人、母親
敷地面積:160.3㎡(約50坪)
1階床面積:80.33㎡(約24.3坪) 2階床面積:71.51㎡(約21.6坪)
建ぺい率:53.67%(許容60%) 容積率:91.86%(許容200%)
用途地域:第1種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設 計:アトリエ・ネロ 根路銘安史、水上浩一
構 造:パス建築研究室 新川清則
施 工:(有)友建産業 玉城真人
電 気:(株)大幸電設 知念清明
水 道:(有)共和設備 照屋宏幸
キッチン:(有)モブ 照屋涼子
玄関扉:まっくる屋工房 伊礼聡、新垣範雄

[設計・問い合わせ先]
設計・問い合わせ先
アトリエ・ネロ
098-889-0103
http://www.a‐nero.com
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1525号・2015年3月27日紙面から掲載

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