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2025年5月16日更新

憩いのリビング|和室をなくして広々としたLDKに|こだわリノベ

築37年のSさん宅は3・4階にSさん家族、2階に両親が暮らす2世帯住宅。4年前に改装、3階の和室を洋室に変更してLDKと一体化して、広々とした空間にしつつ、使い勝手がよく、家族が自然とLDKに集まる工夫が施されている。

リノベーション前

キッチンとテーブルカウンターは横並びに配置することで回遊性を持たせ、パントリーや洗面室、リビングへの動線がスムーズ。洗面室や学習スペースの入り口は三角のユニークなデザイン

 改修前の希望 
部屋数減らして広い空間に
リモートワークができる書斎を


LDKを中心に改装

かねてリフォームをしたいと考えていたSさん(46)。隣の和室を洋室に変更してLDKと一体化してシンプルに広く使いたいと考えていた。Sさんが描いた図面をもとにリノベーションのプランが提案された。LDKの天井には木目調のクロスを貼り、床材を明るめの色に変更することで空間に広がりと明るさを演出。床に座って過ごしたいというSさんの要望で自然オイル塗装の無垢フローリングを施している。Sさんは「以前は床材が黒っぽくて室内は暗い感じがしたが、改装後は明るく広々として居心地のいい空間になった」と笑顔で話す。
 
ダイニングとキッチン。天井の木目調のクロスと明るい色合いの床材が明るく広々とした空間を演出。「家事動線も考えられていて、例えば、キッチンで食器を洗った後、すぐ後ろに収納棚が配置されているので最少の動きで家事ができる」と夫人
 
当初は対面キッチンを要望していたが、キッチンとテーブルカウンターを横並びに配置した。夫人(44)は「キッチンというと対面キッチンしか頭になかったが、使ってみるとこちらの方が回遊性があって家事動線がスムーズで使いやすい」とほほ笑む。パントリーも物がすっきり納められて重宝している。

小学生の子どもたちは学校から帰るとLDKに併設された学習スペースに荷物を置いてそのままダイニングやリビングで過ごす。リビングにしつらえた小上がりの畳スペースやハンモックは子どもたちの遊び場。Sさんもハンモックに揺られて昼寝をすることもある。「LDKが生活の中心になった。自室に戻るのは寝る時くらい」とSさん。

秘密基地のような書斎

3階にはSさんの要望で書斎を設けている。書斎の入り口にあるマガジンラックがスライド式の扉になっていて隠し部屋のような遊び心が見られる。室内はシックな内装で、Sさんの好きなものが詰まった秘密基地になっている。「改装したのはちょうどコロナ禍で、リモートワークができるスペースがほしいというのもあった。今では娘たちに占領されがち」と苦笑い。
 


書斎への入り口はマガジンラックが隠し扉のようになっていて遊び心が感じられる
 

 Sさん宅 リノベのカギ 
家族が自然に集う空間づくり
広さを生かすキッチンの配置


「LDKを広く取り、間取りはこうしたいという施主の要望をもとに、使い勝手が良くて、家族が自然とLDKに集まるような空間を提案した」とCL Planningの吉川潤一さん。

和室をなくしてLDKが広くなった分、パントリーや家事スペースを設けた。キッチンは対面式ではなくダイニングテーブルと横並びのレイアウトにすることで、回遊性を持たせて水回りやダイニング、リビングへの動線をスムーズにした。また、テーブルを作業台として子どもたちと一緒に並んで料理を楽しむこともできる。広い浴室を縮小してトイレを移設。さらに脱衣室と洗面室を分ける事で使いやすくした。「娘さんが2人いるということで、洗面室は利用が集中しがちな朝でも家族が並んで立てるスペースを確保した」
 

リノベーション前

洗面室は改装前より化粧台を広くとっていて、家族が並んで使える。また、洗面ボウルで愛犬を洗った後、そばの台で手入れができて重宝しているという


吉川さんが提案したのは家族が自然に集まるような空間づくり。LDKに半個室の学習スペースを併設することで、子どもたちが帰宅後すぐ荷物を置いて、そのままダイニングやリビングで家族と過ごすというサイクルが生まれるよう工夫した。
 

左はLDKに併設された学習スペース。帰宅後に荷物を置いてそのままリビングなどで過ごせる造りになっている。入り口や窓から中の様子が感じられる半個室になっている。右は家族の身長の記録を刻んだ柱を学習スペースの壁に移設した


「帰宅していったん子ども部屋に荷物を置くという動作が入ると、子どもはそのまま部屋にこもりがちになるので、それを避けるのが狙い」。リビングにはハンモックや小上がりの畳スペースなど、くつろげるアイテムを用意して、家族が集まりやすい環境に整えている。
 

リノベーション前

リビングにしつらえたハンモックや小上がりの畳スペースは子どもたちの遊び場。角のデッドスペースには家事スペースを設置


改装の打ち合わせをした当時はコロナ禍で、リモートワークができる部屋が欲しいという施主の要望で、以前はトイレと納戸だった場所に書斎を設けている。
 

リノベーション前

Sさんの好きが詰まった書斎。内装はシックで落ち着いた雰囲気


一方、寝室がある4階は、トイレをウオークインクローゼットに変更するくらいであまり手を加えていない。

 

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
築年数:37年
3階床面積:約68㎡
4階床面積:約40㎡
工期:4カ月
設計・施工:CL Planning(トーエイ建設産業)
      吉川潤一


[問い合わせ先]
CL Planning(トーエイ建設産業)
電話=098・998・1518


取材/池原拓
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2054号・2025年03月21日紙面から掲載

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