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2024年9月13日更新

[お住まい拝見]眺め堪能リゾートハウス|(株)ワールド設計

[2階にはインフィニティープール]
Aさん宅は糸満市の住宅街に建つ。「ここに住む友人宅からの眺望に感動した」ことがきっかけだ。3階リビングの曲線状に連なる窓や、2階のインフィニティープールの向こうに、ほれこんだ景色が広がる。

LDKは最も眺望の良い3階にある。展望台のようにカーブを描く連窓からの大パノラマは圧巻。家具はお気に入りの「アルフレックス」で統一した(矢嶋健吾撮影)

保養所としても利用

Aさん宅
 RC造/自由設計/家族5人 

県外在住だが「沖縄が好きで、よく家族で来ていた。いつかは家を建てたいと思っていた」と話すAさん。2年前に完成した沖縄の住まいは3階建てで、1階は駐車場と玄関、2階は寝室四つとプール、そして最も眺望の良い3階にLDKがある。

3階のリビングは圧巻の大パノラマ。9枚の窓が曲線状に連なり、糸満市の街並みと緑、その先に水平線が広がる。


3階のLDKは仕切らず一体的になっていて、どこにいても景色が楽しめる

「この近くに住む友人の家の眺望がすごく良くて、『近所で売り地が出たら教えてね』とお願いしていたんです」と夫人。運よく土地を購入でき、その友人宅を建てた建築会社に依頼した。

建築士との打ち合わせはLINEが中心だったが「丁寧に対応してくれた。好みの空間の写真をやりとりしてイメージをすり合わせたので、対面じゃなくてもスムーズに家作りができた」と話す。

内装は白とライトグレーで統一されており、上品で優しい雰囲気。室内の色味を抑えたことで空や海の青、豊かな緑、そして夕日も映える。


3階のキッチンは「対面式が良かったけど、レンジフードで眺めを邪魔したくなかったのでIHだけ壁付けにした」と夫人


キッチンに隣接するテラスでは友人たちとバーベキューや晩酌を楽しむ


プールは海と一体化

「この家は家族で過ごすだけでなく、友人を招くことも多い。また、私の会社の保養所や研修施設としても利用している」とAさん。

リゾート感にもこだわった。2階のプールは、外縁から水があふれ景色と一体化するインフィニティー型。脇にはジェットバスも備える。キッチンの隣にはテラスを設けて「皆でバーベキューをしたり、サンセットを見ながらお酒を飲んだり、2階のプールを見守ったり」と、室内外で楽しめる空間づくりをした。

寝室は4部屋。そのうち2部屋は壁を外して、約25平方メートルの一部屋にすることもできる。「10人以上での会議や研修などにも対応できるようにしている」とAさん。

だんらんにもリゾートにも仕事にも対応する、フレキシブルな空間だ。
 

キッチン横のテラス(写真奥)から直接、浴室や洗面室へも行ける


ここがポイント
眺望と機能性を両立


2階の眺望の良い南西側にはインフィニティープールを設置。あふれ出る水が外縁をあいまいにし景色とプールを一体化させている。サイズは3メートル×5メートルで深さは1メートル

A邸のポイントは、「眺望を堪能できる造りと、安全・快適性の両立」と、ワールド設計の平良さんは話す。

まず3階のリビングは、眺望の良い南西側に張り出させたことで、目の前に大パノラマが広がる。

窓を曲線状にしたのは夫人の要望。平良さんは「直角にすると、角にあたる部分の眺望が見づらくなる。カーブにすることで、展望台のように稜線(りょうせん)や水平線を堪能できる」と説明する。

使用したのは9枚の既製窓。「見た目だけで言えば、大窓にして数を減らす方が景色が映える。だが、台風対策や施工性を考えて既製の窓を並べる形にした」。

2階のプールも眺望の良い南西側に配置。プールのそばにあるジェットバスは、張り出した3階の下に配置。それが庇となり、日差しを遮る。

リビングのカーブは外観にも生きている。3階建てでボリュームがあるA邸だが、曲線的なデザインが圧迫感を和らげる。「外観はコンクリート打ち放しを希望されていたが、汚れやすいというデメリットがある。そのため、自分でもメンテナンスできる1階付近だけを打ち放しにし、上階は塗装にした」。


3階建てでボリュームがある建物だが、曲線的なデザインが圧迫感を軽減している

また「将来的にエレベーターを設置できるよう1~3階を貫く空間を設けた。今は各階ごとにベニヤ板で床を作って収納として使えるようにしている」。

大変だったのは「施主が県外にも拠点があり、行ったり来たりの生活のため、メールやLINEでのやりとりが主だったこと」。写真でイメージをすり合わせたほか「空間を立体的に見られるフリーの3DソフトをAさんにもインストールしてもらって、平面・立面を確認しながら共有した。設計に約2年と時間はかかったが、納得していただける家になった」と話した。


3階リビング。ソファ背面にガラス窓を設けたのは「キッチンからリビングの様子が見えるようにしたい」という夫人の要望


2階には寝室が四つある。そのうちの二部屋は、稼働式の壁で仕切られていて、大きな1室にすることもできる。「10人程度での会議や研修の利用を想定した」とAさん


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:272.45平方メートル(約82坪)
1階床面積:174.20平方メートル(約52.7坪)
2階床面積:125.39平方メートル(約37.9坪)
3階床面積:93.48平方メートル(約28.3坪)
建ぺい率:60.64%(許容70%)
容積率:115.42(許容200%)
用途地域:無指定
躯体構造:鉄筋コンクリートラーメン造
設計:(株)ワールド設計
   平良進、親里尭志
施工:(株)高安工務店
電気:(株)きんでん
水道:三建設備工業(株)


問い合わせ
(株)ワールド設計
電話=098-875-3388
https://www.world-sekkei.com


撮影/矢嶋健吾 文/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2019号・2024年9月13日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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