インテリア好きな女性が建てた、南欧テイストの木の家|(株)ARCHISS[お住まい拝見]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2023年1月20日更新

インテリア好きな女性が建てた、南欧テイストの木の家|(株)ARCHISS[お住まい拝見]

「インテリアが好きで家は絶対欲しかった」とTさん(34)。木造ながら塗り壁やれんが、グレージュカラーのキッチンにアンティーク調の照明など、好きな物だけ詰め込んだ。

好きな物だけ詰め込んで|(株)ARCHISS[お住まい拝見]
白を基調に、キッチンカウンターのグレージュカラーや木を効かせセンス良くまとめた1階LDKと和室。LDKはソファを置かず広々過ごしたいと、和室は小上がりにし、腰掛けられるようにした。写真の左手前には腰掛け兼収納の出窓も設けられている


急な来客でも大歓迎

Tさん宅
木造/自由設計/家族4人

スペイン瓦が映える白壁に緑が揺れる琉球石灰岩の玄関ポーチ。木造らしからぬ外観は「住み心地を考えると実家と同じ木造がいいけど、本物の塗り壁にしたかった」と話すTさんのこだわりだ。

「古くて温かみのある雰囲気が好き」とSNSでイメージに合う物を検索し、家中に反映。例えばアンティーク調の照明はSNSで探してサイズをオーダー。アイランド型のキッチンカウンターは、グレージュカラーでインテリア性を持たせつつ手元も隠せるオリジナルだ。玄関ホールには家族の写真や季節の雑貨を飾れるディスプレー用の棚を造作。「ハロウィーンやクリスマスなど子どもと一緒に飾り付けています」と楽しげだ。

「片付けやすい造り」も譲れなかった点の一つだ。「子どもたちが走り回れるように」と夫(31)の希望で取り入れた回遊性は、家事のしやすさにも直結。収納は物の出し入れや管理がしやすいよう扉を省いて手が届く奥行きにとどめたり、洗濯関連は西側にまとめた水回りや物干し場で完結できるよう工夫した。Tさんは「人を招くのは好きだけど、アパートのころはそのたびに片付けるのがストレスで。今はダイニング脇に収納があるから散らからないし、洗濯物はファミリークローゼットに置いておけるから、いつでもスッキリ。急な来客も大歓迎」と喜ぶ。

好きな物だけ詰め込んで|(株)ARCHISS[お住まい拝見]
キッチン。カウンター上に取り付けたペンダントライトは夫人のお気に入り。写真右手にあるのがデッドスペースを活用した収納。扉代わりにレースのカーテンで目隠し

好きな物だけ詰め込んで|(株)ARCHISS[お住まい拝見]
白壁にスペイン瓦が映える外観。夫の祖父に手掛けてもらったという植栽や琉球石灰岩のポーチが彩りを添える。写真右手、手前に飛び出している1階部分は、西日対策を兼ねた物干し場

好きな物だけ詰め込んで|(株)ARCHISS[お住まい拝見]
和室。リビングに隣接するため小上がりにしてソファ代わりに。正面に見えるルーバー状の木扉の奥は収納。扉は使う木材の太さや間隔も細かく調整した


「最高の家」

家づくりの際は、設計事務所だけでなく建売、マンションまで「夫婦であちこち見て回った」とTさん。決め手になったのは相談のしやすさ。「実は26年前に私の実家、その3年後には祖父母の家も手掛けてくれた担当者がいる業者。3代にわたりお世話になれたのもご縁」。夫も「打ち合わせにとことん付き合ってもらって、言いたいことを全部言わせてもらったからか、こうすれば良かったが全くない。最高の家」と満足そう。

昨年は長男(0)も誕生。新居に越して3カ月がたった。長女(3)が友だちと走り回ったり、家族や地元の仲間と念願のバーベキューを楽しんだり。庭とつながる開放的な住まいは、家族の「やりたい!」気持ちを後押しする。



ここがポイント
色・質感・収まり 細かく調整

「家事のしやすい家」がTさん夫婦の要望。設計を手掛けた末吉正志さんと、企画・デザインを手掛けた玉城賀之さんは、「共働きのため、回遊性のある動線で家事の負担を減らすよう計画した」と話す。

生活の中心となるLDKや水回りは1階に配置。末吉さんは「水回りは西日対策を兼ねて西側にまとめ、階段周辺やキッチン周りとあわせて回遊できる造りにした=右ページ図面参照。これにより、洗濯動線や身支度も移動が少なくスムーズに。効率のいい家事動線となっている」と説明する。

Tさんこだわりの設備やインテリアを引き立たせる内装・外装計画も重要だった。その一つが照明。例えばシャンデリアやペンダントライトを取り入れたLDKは「天井をスッキリさせつつ必要な明るさを確保できるよう、埋め込み式の小型照明や間接照明を採用した」と玉城さん。キッチンの前面には造作でカウンターも取り付け。「現場に木材を運び、使い勝手のいい高さや室内に溶け込む色味をTさんと相談しながら作り上げた」。そのほか左官仕上げの外壁や和室の収納扉、階段にいたるまで、質感や色味、サイズ、収まりを細かく調整。図面で分かりづらい所は、100枚以上のスケッチやパースでイメージを共有した。

玉城さんは「Tさんは以前、私が担当して新築したご夫婦の娘さん。当時小学生だったTさんの家づくりに携われて、本当にうれしかったですね。建てて終わりではないのが家づくり。ご家族の成長を見守りつつ、メンテナンスに改築にと、今後も長いお付き合いをさせていただくのが楽しみです」と話した。

1階ホール。壁を彫り込むように設けたディスプレー棚の曲面とグレージュカラーの木扉、暖色のダウンライトが優しい雰囲気

 

1階ホール隣にある来客用手洗い場。鏡は切り抜いた段ボールをTさんが現場に持ち込んで大きさを確認・調整した特注品

 

2階。階段手すりは木とアイアンで軽やか。窓から差し込む光や気配を1階に伝える役割も

 

1階ファミリークローゼット(FC)から脱衣室、浴室を見る。右手勝手口の先が物干し場。取り込んだ衣類はFCに掛けておける。キッチンや玄関へも行き来が可能

 

掃除しやすいようキッチンの床はタイル仕上げに。夫婦で並んで立ってもゆとりのある広さを確保している




[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:237.98平方メートル(約71.98坪)
1階床面積:91.52平方メートル(約27.68坪)
2階床面積:56.0平方メートル(約16.94坪)
建ぺい率:44.2%(許50%)
容積率:62.02%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:木造軸組
企画・デザイン:TAMA design 玉城賀之
設計・施工:(株)ARCHISS 末吉正志
構造・基礎:南城設計 福原英樹
構造・躯体:イノスグループ
電気:旭電気
水道:功設


問い合わせ
(株)ARCHISS
 電話098・870・0595
 https://archiss.co.jp/


撮影/比嘉秀明 取材/徳正美・市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1933号・2023年1月20日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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