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2021年8月6日更新

[沖縄・お住まい拝見]室内でバドミントン|コバヤシ401.Design room(株)

[RC壁+木造屋根で安心・快適]
家族で熱中する「バドミントンスペースが室内にほしい」。その希望をかなえた堀さん(35)宅。コンクリート(RC)造の壁に木造の屋根。両方の良さを組み合わせたオープンな平家で、伸び伸び暮らす。

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家の中心に設けられたバドミントンスペース。天井高が4.55メートルあり打ち合いも思い切りできる。玄関フロアより2段低くなっていて、段差を利用して腰掛けることもできる
家の中心に設けられたバドミントンスペース。天井高が4.55メートルあり打ち合いも思い切りできる。玄関フロアより2段低くなっていて、段差を利用して腰掛けることもできる


家時間を満喫

堀さん宅
 混構造/自由設計/家族5人 


天井、床と、木の風合いが豊かな室内。家の中心にあるのは、夫妻が学生時代から続け、長女・次女(7)も始めたバドミントンスペース。組み立て式のネットを広げ、家族でプレイを楽しむ。

「部屋にこもらず、みんなで集えるように」と、オープンな造り。引き戸を開ければ家全体が見渡せる。

鉄骨製の階段から上り下りするロフトを、寝室として使う。「LDKと階高が違うので、子どもたちが寝た後に家事をするのも楽になりました」と夫人(38)。

子どもたちは活発で、長男(4)も一緒になって階段やキッチンの壁を使って懸垂をしたり、思い思いの場所で勉強し、本を読み、伸び伸び過ごす。夫人は「狙い通り」とニッコリ。

ユニークなのは、堀さんの書斎だ。出入り口が可動式の本棚の裏にあり、一見、存在に気が付かない。「ここだけは、好きなように造らせてもらった。広くはないけど、ゲストルームとしても使え、気兼ねなく趣味を楽しめます」

天井の太い梁(はり)が印象的なLDK。南・北・西3面の上部はガラス張りで、光がたっぷり入る。キッチンからはテラスや庭を含め、家全体に目が届く
天井の太い梁(はり)が印象的なLDK。南・北・西3面の上部はガラス張りで、光がたっぷり入る。キッチンからはテラスや庭を含め、家全体に目が届く
 

大きな軒で覆われたテラス。LDK南側にあり、「風が強くなければ、大雨でもバーベキューが楽しめます」と堀さん。眺めもよく開放も抜群

子ども室上部にあるロフト。以前住んでいたマンションでの使いづらさを踏まえ、階段や高さを工夫。屋根の一番高い場所に設けることで、大人が立って歩ける高さを確保。キッチン上部の三角窓から、海と緑も見える
子ども室上部にあるロフト。以前住んでいたマンションでの使いづらさを踏まえ、階段や高さを工夫。屋根の一番高い場所に設けることで、大人が立って歩ける高さを確保。キッチン上部の三角窓から、海と緑も見える


いいとこ取りで快適

「木造のナチュラルな雰囲気が好き」な夫人に対し、「コンクリートで頑丈に」という堀さん。普段は趣味の合う2人だが、「建てたい家はびっくりするほど違った」。

実家の隣地を購入。住宅展示場や見学会をいくつも回ったが、思い描く家には巡り合えず。足を運んだ建築家展で「親身に話を聞いてくれて、こんなに可能性が広がるのだと感じた」建築士に出会い、設計を依頼した。

「2人の思いをくんで、どちらも納得できる家をつくってくれた」と感謝する。テラスでバーベキューを楽しみ、庭は自分たちで芝を張り、植物も育てる。「人がたくさん集まれる家にしたい」と、楽しみを膨らませる。

子ども室。個別収納を設けないことで、個室感のないオープンな空間になっている。出入り口や照明は、将来、3部屋に仕切って使える仕様にしている
子ども室。個別収納を設けないことで、個室感のないオープンな空間になっている。出入り口や照明は、将来、3部屋に仕切って使える仕様にしている
 

書斎。広さは約4畳。トレーニングだけでなく、趣味のマージャンを楽しめるよう、出入り口を2重扉にして防音にも配慮している

書斎。広さは約4畳。トレーニングだけでなく、趣味のマージャンを楽しめるよう、出入り口を2重扉にして防音にも配慮している
 

家族全員の衣類を収める家族収納。正面の扉からはテラスへ、逆サイドの扉からは脱衣室へ抜けられ、洗濯から収納がスムーズにできる

家族全員の衣類を収める家族収納。正面の扉からはテラスへ、逆サイドの扉からは脱衣室へ抜けられ、洗濯から収納がスムーズにできる
 

三角屋根に白壁の愛らしい外観。大きく取ったひさしが日陰を生み、室内外に涼をもたらす


ここがポイント
RCと木の良さ融合 趣味空間軸に区分け

「室内にバドミントンスペース」「木を使ったナチュラルで明るいインテリア」が、前提条件だった堀さん宅。設計のポイントは、躯体構造と空間構成の2点にある。

躯体は、壁がコンクリート(RC)造、屋根は木造。施主のイメージは、内外観ともに木造だったが、設計を手掛けた建築士の小林進一さんは、沖縄の気候やメンテナンスを踏まえ、混構造を提案した。RC造の壁で、湿気による腐食や強度への安心感が得られる一方、屋根を木造にすることで室内のデザインや熱環境の利点に。

「梁(はり)を見せることで、木の柔らかな表情をそのまま内装に用いることができた。断熱性も高く、室内の暑さも和らぎます」と小林さん。躯体も軽くなるため、地盤補強などの費用も抑えられる。

また、壁と屋根の間にはガラスを使用。コンクリートと木の構造的な切り替えを明確にしながら、光と外の景色を取り込む。

空間構成は、バドミントンスペースを軸に展開。「シャトルを打ち合う高さを考え、天井が最も高くなるように、家の中心に配置。その両サイドにパブリック空間とプライベート空間を据えました」

室内は、ワンルームのようなオープンな造りにすることで、「子ども室など、将来の可変性を高めた」。どの場所からも家全体に視線が届き、家族の気配も感じられる。また、大きなシューズクロークや家族収納など、収納はまとめて設けた。整理しやすく、建築費を抑えることにもつながる手法だ。



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:434.72平方メートル(131坪)
1階床面積:96.44平方メートル(29.17坪)
ロフト階床面積:18.31平方メートル(5.53坪)
建ぺい率:30.38%
容積率:22.19%
用途地域:指定なし
躯体構造:混構造(鉄筋コンクリート造+木造屋根)
設計:コバヤシ401.Design room(株) 小林進一
構造:コバヤシ401.Design room(株) 
施工:(株)大興建設(旧ASJ沖縄北スタジオ)
電気:知花電設
水道:島設備 

問い合わせ
 コバヤシ401.Design room
  電話098・923・2439
  http://kobayashi401.com/


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1857号・2021年8月6日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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