視線抜け明るく広々|(有)武一建設|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2021年5月7日更新

視線抜け明るく広々|(有)武一建設

[変形地生かして開放的に|お住まい拝見]
メガホンのような形の土地に建つKさん宅は、アーチ型の仕切り壁が印象的な平屋。「明るく、家事もしやすい」という理想通り、光と視線が抜け、キッチンからは家中が見渡せる。

キッチンから東側の室内を見る。テラスからの光で明るいリビング・ダイニング、その奥にある和室までひと目で見渡せるため、家族のコミュニケーションも取りやすい


家事楽で家時間を満喫

Kさん宅
 RC造/自由設計/家族4人 

漆喰(しっくい)仕上げの白壁。ドアや小窓には、ステンドグラスがはめ込まれ、曲線を描く壁が柔らかな印象をもたらす。

室内は、キッチンを中心に、東側にリビング・ダイニングと和室、西側に水回りと個室がまとめられている。「明るい家にしたかった」と話すKさんの希望通り、テラスに面したLDKは光も風もたっぷり入り、開放的だ。

キッチンに立つと正面にはテラスと庭が見渡せ、子どもの遊び場と家族の勉強の場を兼ねた和室まで目が届く。夫人は、「家族がどこで、何をしているか把握しやすい。休日はお菓子を焼いたり、キッチンでのんびり過ごすのが楽しみ」とうれしそう。

キッチンから洗面所、家事室までは仕切りがなく一直線につながり、廊下にも回遊できる。廊下に設けられたウオークスルー収納で、家事・片付けもスムーズだ。

「行き止まりがないので、子どもたちは家中をぐるぐる走り回って楽しそう。庭ではプール遊びやBBQもできるので外出も減り、家での時間を満喫しています」


和室からLDKを見る。壁に丸みをつけて、柔らかな雰囲気に。掃き出し窓の外にはテラスがあり、その奥には子ども室として使う個室が見える
 

小上がりの和室は棚とデスクスペースを造りつけ。アーチの仕切り壁が目隠し替わりに
 

 

オープンなアイランドキッチン。奥にはパントリーと水回りがあり、仕切りなく一直線に行き来できるから家事もスムーズ

 

屋内外で緑楽しむ

長女の小学校入学をきっかけに、家づくりを検討。住んでいたうるま市内のアパートの近くで、両親が畑として使っていた土地を譲り受け、新築した。

設計は、結婚当初から夫人が心に留めていた建築会社に依頼。「白ベースで、アーチのあるかわいい雰囲気が私の好みで。家事がしやすく、子どもの様子がすぐに分かる間取りをお願いし、回れる家事動線を提案してくださって、とてもよかった」

趣味がなかったというKさんだが、「家を建ててから、庭いじりが好きになった。雑草を抜くのも楽しい」と笑う。庭に植物を植え、手入れをするだけでなく、白壁に緑が映える室内にも鉢植えを増やして楽しむ。

夫人は、「外から家を見るのが好き。夜になると、ステンドグラスから明かりがもれて、きれいなんです」と、満足そうにほほ笑んだ。
 

部屋の角を曲線にした寝室。家族4人分のベッドを置いてもゆったり。広く取り、将来は2部屋に仕切ることが可能な造りになっている
 

廊下に設けられたウオークスルー収納。色違いのドアが個室の出入り口で、部屋に向かいながら、物が片付けられる仕組み
 

天窓からの光で明るい洗面室。奥には家事室が続き、洗濯して干す、畳む、収納、アイロン掛けまでが一気にできる


アーチと石張りの階段が印象的な外観。駐車場から雨にぬれずに家に入れるよう、玄関前のポーチにも屋根が設けられている


ここがポイント
放射線状に視線抜ける

敷地は住宅街の角地にあり、間口が広く、奥に行くほど幅が狭くなる変形地。さらに、東側の前面道路は緩やかに傾斜し、南側道路と敷地は約2メートルの高低差があった。

設計を手がけた末松渚さんは、土地の形状と向かいの家の玄関の位置を考慮して、建物の配置と形を決定。緩やかにくの字を描く建物の中心にキッチンとテラスを据え、東と西でパブリック空間とプライベート空間を分ける間取りを提案した。

南に開いたテラスを囲むように、LDKと子ども室を配置。「放射線状に視線が抜けるため、実際よりも広く感じられます。LDKや個室の窓が南側の道路と並行にならないよう工夫したことで、道行く人の視線があまり気にならない間取りになっています」と末松さん。

共働きのKさん夫妻のために、家事、片付けがしやすい動線を重視。キッチンと水回りを一直線に並べて回遊できるようにし、洗濯機を置いた家事室には、干し場と収納を設けた。また、各個室の収納は、廊下側から開け閉めできる造りにし、部屋に向かいながら物を片付けられるウオークスルー収納にした。「個室側は、収納扉を開けたときに生まれるデッドスペースがなくなるため、ベッドや机も配置しやすくなります」。

土地に合わせて間取りを構成したことで生まれた、デッドスペースも有効活用。リビング東角にある壁掛けテレビ裏に設けた隙間収納のアイデアがそれだ。「テレビ下にはAV機器を収められるようにし、和室側にはおもちゃなどを片付けられるオープン棚を仕込みました」

子どもたちの年齢を考慮して、個室の設け方も工夫。「小さい間は家族一緒に眠るため、個室は1部屋だけにして、寝室を広く取りました」。子どもが成長し個室が必要になったら、寝室を仕切って使うという考え方で、窓とドアを2カ所に設置。「子どもたちが巣立った後も、空間使いの自由度が高まります」と末松さんは話した。


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:351.46平方メートル(106.50坪)
1階床面積:145.38平方メートル(44.05坪)
建ぺい率:43.24%(許容60%)
容積率:33.10%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居
専用地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート
設計:(有)武一建設 末松渚
施工:(有)武一建設

問い合わせ
 (有)武一建設
 電話098・965・3001
 http://takeichikensetsu.com/


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1844号・2021年5月7日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

キュレーター
比嘉千賀子

これまでに書いた記事:146

編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

TOPへ戻る