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2019年12月13日更新

ビンテージ感漂う新築|LSDdesign(株)

[お住まい拝見|旧家の趣残し 味のある内装]祖母の家があった場所に新築したMさん(42)宅。祖母の家にあった仏壇の一部を生かしたり、ビンテージ感のある建材をチョイスしたり。新築ながら、リノベのような味わいも漂う。


和室からLDKを見る。実家をリノベーションして住むことも考えたが、大人数が集う広い空間などを確保するため、ここに建っていた祖母の家を建て替えた。仏壇扉を再利用したり、ビンテージ感のある建材を選んで、新築ながらリノベのような味わいを演出

つながりの家

Mさん宅
RC造/自由設計/家族5人
「コネクトハウス(つながりの家)」。建築士はMさん宅をそう名付けた。ここに建っていた祖母宅の仏壇扉を再利用していたり、隣接する実家と駐車場を共有したり、親戚などが集まる家であることにも由来する。


Mさんは当初、実家2階のリノベーションを考えていた。「デザイン性が好みだった」建築会社に依頼したところ、「大人数が伸び伸び過ごせる空間を設けるには新しく建てる方が良いとアドバイスされて」、新築を決意。

使い込まれた雰囲気が好みで、「新築だけどリノベっぽい感じにしてほしい、とお願いしました」。床や壁、建具には木目のはっきりした落ち着いた色の材を多用。造り付けた収納棚や家具も、木と黒アイアンを組み合わせたビンテージ感のあるデザインだ。

最も好みが反映されているのは1階、Mさんの書斎=下写真。内装のデザイン、色、質感、どれもビンテージ感全開。窓からは駐車場で遊ぶ子どもたちが見える。隠れ家ながら、家族とのつながりも感じられる「最高の空間」と話す。


Mさんの好みを思いっきり反映した1階の書斎。内装の色や床の張り方、棚や照明など、ビンテージ感全開

小上がりキッチン
LDKは2階。畳間やバルコニーまで一体となる造りだが、ダイニングキッチンが40センチほど小上がりになっているのが特徴。小上がりの和室はよく見かけるが、キッチンはなかなか珍しい。「来客が腰掛けられる場所と収納がほしかった。畳間はリビングと一体的に使うことを想定してフラットにした」


家族や来客が腰かけられるよう小上がりにした2階のキッチンとダイニング。床下には収納があり、畳間に置かれているテーブルがもう二つ収められている。高い位置から家を見渡せるキッチンは、Mさん宅の“司令塔”

もう一つ、キッチンに珍しいスペースがある。洗濯機と乾燥機が隠れている。夫人(34)は「洗濯干し場がキッチンの隣にあるので、動線を考えて設置してもらった。家事を一気に進められ、なかなか便利ですよ」と話す。

新築だがリノベっぽく。キッチンが洗濯室でもある。固定観念にとらわれないMさん宅には、「その手があったか!」が満載だった。


中央の照明はMさんお気に入りの逸品。「この照明からキッチンの色や内装デザインを決めた」と話す。キッチンの隅には洗濯機と乾燥機が収まっている。隣に洗濯干し場があることからここに設置した


ここがポイント
外観に有孔折板 内外つなぐ
設計したLSDデザインの平良玄峰さんと施主のMさんの趣味は釣り。その共通点からインパクトある外観が生まれた。2階テラスの目隠しに用いたのは、漁港の防風柵などにも用いられる「有孔折板」。「北部の漁港にあるフェンスを使ってみようと提案したら、すんなりOKだった」と平良さん。小さな穴が空いた金属板は光や風は通しても視線は遮る。建材用のルーバーなどより少し値は張る。だが独特のジグザグデザインで、外と中を穏やかにつなぐ。


漁港の防風柵などにも使われている「有孔折板」を使った外観は、アコーディオンのよう。目隠ししながら、風は通す。Mさん宅の裏側には実家があり、駐車場は共有している

有孔折板の存在感をさらに際立たせているのが、2階を張り出させた造り。デザインの面白さもさることながら、「大人数が集える空間を確保することにつながった」と、同じく設計を手がけた同社の山岸広幸さんは説明する。

「Mさん宅は、実家と2件分の駐車場に挟まれており、使える敷地が限られていた。そこで、2階を1階より大きくして、広々とした集いの空間を設けた」。張り出した2階は、駐車場の屋根にもなっている。

また、Mさんが希望した「ビンテージ感」はメリハリを付けて反映した。「親戚など老若男女が集うお宅なので、好みを思いっきり反映するのはプライベートスペースの1階に、2階はマイルドに反映した」。家族にも来客にも優しい住まいにすべく配慮した。


2階リビング。ソファなどは置かず、ハンモックでくつろいでいる。畳間やバルコニーと一体になる造り。「リビングまでテーブルをつなげて使えるようにした」とMさん。写真奥は有孔折板で目隠しされたバルコニー


玄関を入るとヘリボーン張りの壁が出迎えてくれる。造り付けの靴箱には、Mさんの要望で手洗い場を設置した


右が好みを思いっきり反映した1階のトイレ、左が皆が使いやすいよう配慮した2階のトイレ


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:153.09平方メートル(約46.30坪)
1階床面積:72.56平方メートル(21.94坪)
2階床面積:74.46平方メートル(22.52坪)
建ぺい率:58.53%(許容60%)
容積率:96.02%(許容150%)
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
用途地域:第一種中高層住居専用地域
設   計:LSDdesign(株)
      平良玄峰、山岸広幸
施   工:LSDdesign(株)
構   造:アサヒ建築設計所
電   気:東洋電気工事(株)
水   道:(株)Hys企画



[問い合わせ先]
LSDdesign(株)
098-894-4282
http://www.lsd-design.co.jp


撮影/ララフィルム・泉公 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1771号・2019年12月13日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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