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2020年9月11日更新

高低や明暗でメリハリ|間+impression

[お住まい拝見]|リビング・ダイニングの天井高は5メートルで開放感たっぷり。一方、和室やキッチンはその半分以下の高さで「狭さと暗さが落ち着く」。3層2階建てのTさん宅は高低や明暗のメリハリが効いた、モダンな住まいだ。

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Tさん宅のリビング・ダイニングからキッチンを望む。高さ5メートルの吹き抜けはTさんの要望。吹き抜けを通して2階の子ども室とつながる
 

3層2階建て 広さ・狭さ楽しむ

Tさん宅
 RC造/自由設計/家族4人 

集いも個も快適
玄関を入ると、思わず見上げる天井高。リビング・ダイニング(LD)は5メートルの吹き抜け。庭に面した東側は天井までガラス窓で明るく、抜群の開放感。「伸び伸び過ごしたいから、吹き抜けは絶対条件だった」というTさんの強い要望だった。

一方で、キッチンの天井高は2メートル10センチとLDの半分以下。和室は20センチの小上がりになっていて「包まれているような狭さ、暗さが落ち着く」と夫人。和室の隣はTさん自慢のコレクションが並ぶ「酒蔵」があり、ムーディーな雰囲気を演出する。
この高低、明暗のメリハリがTさん宅の面白さだ。「立体的な楽しい家にしたかった。小上がりは腰掛けることもできるし」。掃除は大変ではないか聞くと「好きな造りだから苦じゃない」と笑顔。

広いLDから、トンネルのように狭まったキッチンを通るとセカンドリビングがある。収納用の「倉」として設けられた天井の低い空間を、Tさんは「秘密基地のよう」と、ソファやテレビを置きセカンドリビングとして使う。


東側一面の窓から光が差し込み、明るく、開放感抜群のリビングダイニング。内装はTさんが希望した打ちっ放しと、夫人が希望した木をミックスした



和室にはTさんの泡盛コレクションが並ぶ。酒蔵も隣接し、おしゃれな小料理屋のよう



既製のキッチン前面に、手元を隠し、ちょっとした物が置ける木製カウンターを造作した。写真右側はセカンドリビングへ続く廊下。天井や床、建具には色の濃いウォールナットが用いられ、落ち着いた印象​


吹き抜けから顔見え
 宜野湾市の土地を購入したのは20年以上前。区画整理事業が進まず、なかなか着工できなかった。その間にあちこちの完成見学会を巡り、「どんどん夢が膨らんでいった。やっと好みが合う建築士を見つけて依頼。いろいろわがままを言った」とTさん。

 要望した吹き抜けからは、2階の子ども室にいる息子たちの声が聞こえ、呼べば顔をのぞかせる。「家族の顔が見える造り、というのもかなえてくれた」。
 「面積的に無理かなと思っていた」書斎も、1・5階に設けてもらった。「家族で過ごす時間も、一人で過ごす時間も快適。家にいるのがとても楽しい」と満足感をにじませた。 


東側外観。写真中央に見えるガラス張りの部分がリビングダイニング上部の吹き抜け。その脇の一番高いところが2階子ども室。左側の少し低くなっている部分が1.5階で、書斎や寝室がある


1.5階にある書斎。机や棚は作り付けてもらった。「家具はほとんど作り付けてもらったので引っ越しは楽でした」とTさん​

ここがポイント 外観低く見せ格好良く
 「一戸建て住宅は、低いプロポーションの方が格好良く見える」。Tさん宅を手掛けた建築士・儀間徹さんは語る。
 一方で、Tさんは高い吹き抜けを要望していた。そこで「道路や隣家に近い部分(玄関や和室)は低く造り、高くする部分は敷地の中央に集約。外から見たときの縦のインパクトを薄めた」。高くする部分を絞ることで、室内では高低のコントラストが生まれた。明暗も付き、それぞれの空間が個性を引き立てている。


北側(道路側)の外観。「住宅は低く見える方が格好いい」と建築士。そのため手前は低く造り、高くする部分は道路から離れた敷地中央に配した


 階高を抑えつつ要望の居室を確保するため、天井の低い「倉」を設け、その上(1・5階部分)に書斎と寝室を配した。収納として蔵を設けたが、Tさんはセカンドリビングとして使用している。
奥まった場所にあり地下室のようなセカンドリビング

 
 吹き抜けで、リビングと2階の子ども室をつなぐ造りは儀間さん得意のスタイル。「プライバシーを保ちつつ、声や気配は感じられる。ちょうどよい距離感」と話す。
 
 また、木とコンクリートをミックスした内装は、夫妻の要望から。Tさんは打ちっ放し、奥さんは木を要望していた。リビングや書斎などTさんの目に付く場所は打ちっ放しに、キッチンなど夫人の目に付く場所は木をふんだんに使用して両方をかなえた。


2階の二つの子ども室の間には、二人の息子が一緒に勉強するスタディーコーナーがある。前面の開口から1階の様子が見える




[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:266.27平方メートル(約80.54坪)
1階床面積:90.83平方メートル(27.47坪)
2階床面積:19.09(約5.77坪)
(1階車庫35.40平方メートル)
容積率:43.66%(許容200%)
建ぺい率52.96%(許容60%)
用途地域:第二種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート
     ラーメン構造
設計:間+impression
   儀間徹、儀間達紀
構造:建築設計庵 長間大輔
施工:(株)沖秀建設 池原元勝
電気:(同)屋宜電気工事 屋宜宗春
水道:(有)ライフ工業 高山佳晃


[問い合わせ先]
間+impression
電話098・892・3635
http://ma-impression.com/


撮影/泉公(ララフィルム) 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1810号・2020年9月11日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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