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2020年4月24日更新

敷地の高低差生かした平屋|コモドハウス

[お住まい拝見〕|前面道路と最大1.8メートルほどある高低差を生かした平屋を建てたMさん(33)。「清潔感重視で、白をベースに選びました」という室内は、黒をアクセントにしたシックな空間だ。 


白と黒のモノトーンでまとめた1階のLDK。家具だけでなくサッシも黒にこだわった。南側の前面道路(写真正面)より高い位置にあるため、外からの視線が気にならない

 

モノトーンで上品に

Mさん宅
 RC造/自由設計/家族6人 


南側の大開口から、光と風がたっぷり入る1階のダイニングとキッチン。北側(写真右手)に隣接する子ども室は、間仕切り戸をはめこめば3室に。キッチン脇の廊下の先に寝室と玄関、水回りがある


インテリアにこだわり
南城市の緑豊かな住宅地に建つMさん宅は、横に長い平屋。白を基調にした外観は、スギ板で模様づけした打ち放しの壁が目をひく。「打ち放しの雰囲気が好きで、どうしてもどこかに取り入れたかった」とMさん。
室内も白が基調。アクセントカラーを黒に統一し、モノトーンでまとめた。「シンプルなのが好き。家具や建具はもちろん、玄関ドアの鍵や取手、サッシと細かい部分まで黒にこだわりました」
LDKは22・1畳と広々。北側に接する子ども室の引き戸を開け放てば、30畳を超える大空間になる。「子どもが4人いるので、リビングダイニングを広くとりたかった。子どもたちが巣立った後は、子ども室に畳を敷いて、仏間として使う計画です」
リビングは、「ゴージャスな雰囲気にして、空間にメリハリをつけたい」というMさんのこだわりで、床を20センチ下げてタイル張りにした。8歳の長男を筆頭に、次男5歳、長女3歳、三男1歳と子どもたちはまだ幼い。「タイルだと滑りやすいので心配でしたが、子どもたちもすぐに慣れて、意外と平気でした。縁に腰を掛けて座れるので、ちょうどいい遊び場になっています」と夫人(33)は笑う。


床を20センチ下げて、タイル張りにしたリビング。縁は子どもが腰掛けるにはちょうどいい高さ。南側(写真右手)は壁だが、東側に設けた高窓からの光で明るい


実家とも密に交流
長男が生まれた後、Mさんの実家を増築して両親と一緒に暮らしていた。次男、長女が生まれ、手狭になったことから、実家に隣接し、畑として使っていた土地に、家を建てることにした。
設計は、見学会に参加して気に入った建築会社に依頼した。南側の前面道路と、最大1・8メートルの高低差がある敷地。「背後(北側)にある実家の敷地と同じ高さで建てるプランを提案してもらったので、行き来しやすい」とMさん。
実家との間に塀を設けないことで生まれた共有スペースは、子どもたちの格好の遊び場に。程よい距離で、家族の密なつながりが育まれている。


白でまとめた、さわやかなキッチン。大開口のそばにあるため開放感も抜群。収納は天井までたっぷり設けた


ここがポイント
高い位置に建物配置
道路からの視線遮る

敷地の南側が、坂道になった前面道路に接するMさん宅。東西に長い台形状の敷地は南から北に向けて高くなり、高低差は最大1・8メートルあった。
その高低差を生かしながら、「横長の平屋」というMさん夫妻の希望を実現するため、設計を手掛けた建築士の金城良さんは、敷地の一番高い位置に合わせて建物を据え、南側の一部を地面から浮かせるプランを提案した=断面図参照。地面に接していないのは奥行き1・4メートルほど。ポーチやバルコニーなどで、あまり荷重がかからない空間になっている。
室内は、建物中央に配置した寝室を軸に、東側にパブリックスペース、西側をプライベートスペースに分けた。LDKはバルコニーに面して南側に配置。リビングからダイニングにかけて設けた幅5・4メートルの大開口から、光と風を取り込む。「道路から2メートルほど高く、バルコニー東側の袖壁も目隠しになるので、大きな掃き出し窓でも外からの視線をあまり気にすることなく過ごせます」と金城さん。
リビングは南側が壁になっているため、東側に高窓を設け、視線を遮りながら光を取り込む。また、天井や床の高さを変えて圧迫感を軽減することで、空間に広がりをもたらした。
LDK北側には子ども室を横並びで配置した。1室は3・8畳の個室。LDKと一体的に使える11・8畳のオープンスペースは、引き戸で仕切れば個室と同じ広さの3部屋になる。子どもの成長に合わせて、使い方は自在だ。


家族全員の衣類を収めるウォークインクローゼット。中央に4人の子どもたちそれぞれの収納をまとめて設け、ぐるりと回遊できるようにした。湿気の多い地域のため、クローゼット内にエアコンを設置して、除湿できるようにしている


ウォークインクローゼットの脇にある屋根付きの干し場。天窓から光を、格子をはめた壁から風を取り込む。外への出入り口も設けられていて、向かいに建つ実家との行き来に重宝している。手前は洗面室


寝室はちょうど、打ち放し壁の部分にある。あえて大きな窓を設けず、日中でも薄暗い空間に。子どもたちが昼寝をしやすい環境になっている。


南側の外観。白をベースに、スギ板模様の打ち放し壁をアクセントにした。手前のバルコニーやポーチの部分だけ、地面から浮かせている。


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[DATA]
家族構成:夫婦、子ども4人
敷地面積:545.1㎡(164.9坪)
1階床面積:110.03㎡(33.3坪)
建ぺい率:30.77%(許容70%)
容積率:22.52% (許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)コモドハウス 金城良
構造:(株)濱川構造設計
施工:(株)コモドハウス
電気:大琉電気
水道:(有)スイケン


[問い合わせ先]
株式会社コモドハウス
098-898-0293
https://comodohouse.jp/


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1790号・2020年4月24日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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