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2019年10月8日更新

【ひと】沖縄の滑る床なくしたい|金城 一さん(株)一球さん代表

床の滑り止め対策として、現状の美観はそのまま、騒音、ホコリ、臭いがなく、短時間で施工できる新技法を提供する「(株)一球さん」。代表の金城一さん(59)は、「沖縄の歩行空間を快適で安全にしたい」と語る。

床を傷めず美観を維持



―主な業務内容は?
防滑施工専門業者として、さまざまな施設の床に滑り止め施工を行う他、建物内外の頑固な汚れを落とし、新品同様に復元するクリーニング業務も行なっています。

特に防滑施工では、当社が県内唯一の専門店として手掛ける溶剤工法の「スリップガード」がとても好評で、これまでに公共施設をはじめ、大型ショッピングモールや教育・福祉施設など、数多くの実績があります。

―沖縄の現状や課題とは?
厚生労働省の調査では、2017年度に日本で発生した転倒事故の死亡者が9150人と、交通事故の死亡者4927人を大幅に上回っています。そのうち85%が60歳以上の高齢者、転倒の約90%は平らな場所でのスリップやつまずきによるものです。事故増加に比例し、施設管理者に賠償責任を問う裁判も増えています。

多くの人が訪れる施設はもちろん自宅内も、床の滑り止め対策は急務です。4年前に他界した父は、リビングで転倒し、十年近く寝たきり生活でした。このことがきっかけで、防滑施工の事業を始めるようになったんです。以来、事業の意義、必要性を強く感じています。

―今後の目標は?
転倒事故は施設管理者が責任を問われます。その認識と防滑対策の重要性を広めたい。そのため小冊子を作成し、転倒事故による損害賠償裁判の事例など情報提供しています。 

転倒事故が起きないよう環境を改善して、安全・安心に過ごせる沖縄にしたい。長寿県沖縄の復活を足元から支援していきたいと思っています。


新品同様に復元 最新技法をお墓にも

▼施行前

        
▼施行後

施工例。コーティングで防汚と劣化防止になり、お墓も長持ち


(株)一球さんは、床・外壁の研磨コーティング技術を「お墓の復元クリーニング」にも活用。「長期間かけて付着した汚れが落ちるだけでなく、コーティングすることで、汚れにくく、劣化を防ぎ、お墓の寿命が延びる」と金城さん。依頼者は施工後、新品同様になったお墓を見て驚くと同時に、特に高齢者ほど「祖先供養ができたと喜ぶ」と目を細める。

お墓以外にも建物の外壁、玄関のタイル、浴室の天井や壁などにも施工できる。金城さんは「捨てない、買い替えないエコスタイルとして広めたい」と話す。

詳細は同社ホームページ(http://193.okinawa/)。


きんじょう・はじめ/1960年、県系人でブラジル生まれ。10歳のとき引き揚げて沖縄へ。2008年、お墓の販売を手掛ける㈱一球さんを創業。5年前より防滑施工の事業も展開。溶剤工法の「スリップガード」では県内唯一の施工専門店として数多くの施工実績を誇る。(株)一球さん 豊見城市字真玉橋67 098-953-7681


編集/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1761号・2019年10月4日紙面から掲載

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