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2016年4月1日更新

マンションの大規模修繕や未収金問題どう対応したらいいの?|気になるコト調べます!①

今号から始まるこの連載は、住まいや住環境にまつわる気になるコトを、編集部がより深く取材する。第1回で取り上げるのは、マンションの大規模修繕や未収金への対応策。3月13日に開かれた三菱地所コミュニティ主催のマンション管理セミナーから、そのヒントを紹介する。

初期段階の計画・対応がカギ

 「調査診断」で必要性の見極め 
マンションに住む際、安心・安全な暮らしや資産価値を保つために欠かせないのが「大規模修繕工事」。管理組合にとっても最大の事業となるが、スムーズかつ効果的に進めるにはどのような点に注意が必要か? 講師を務めた関西ペイント販売(株)の中野佳成さんは、①工事のパートナー選び、②調査診断、③工事範囲と実施時期をポイントに挙げた。
まず①では、「マンション管理会社」「設計事務所・コンサルタント会社」「工事専門業者」が考えられる。それぞれのマンションで適したパートナーは異なるが、「依頼先は、建物の状態をよく把握していて、維持・管理に関してたけていることが大切です」と中野さんは話す。
大規模修繕工事の目的は実施回数によって変わる。建物の現状を把握し、状態や予算に見合った工事内容、仕様工法を検討する際に重要なのが②だ。傷みの程度や原因を探り、適切な処方箋をつくるのが調査診断の役割。調査には費用がかかるが、「ムダなく、適切な工事ができ、長期にわたる修繕計画が立てやすくなります」。
③ではまず、建物のどの部位に重点を置いて修繕するかを決めること。例えば外壁の水漏れなのか、屋上の防水なのか。修繕の範囲が決まったら、予算や修繕積立金の累計状況を踏まえて、工事の実施時期を検討しよう。

 時効に注意 こまめに督促を 
  管理費などの滞納も頭の痛い問題。滞納が長期になると回収が難しくなるケースも多い。未収金の回収方法と長期滞納させないポイントとして弁護士の野崎聖子さんは、「滞納が長引かないよう、早期に対応できる体制を整えておくことが重要」と話す。
まずは回収手段について。長期滞納の場合、大きく分けて裁判手続きと裁判外手続きがあるが、注意したいのは滞納管理費等には「時効」があるということ。5年で時効消滅する。「滞納金額が大きかったりオーバーローンの場合には、競売などでも回収できないこともあります」と野崎さん。では、滞納を長期化させないためにはどのような方法があるのか? 第1に、滞納を早く発見し、こまめに督促をすること。「電話や訪問による口頭での請求と、請求書や内容証明郵便での督促状の発送を併用するのが効果的です」。
初期段階(滞納1カ月~3カ月)の対応で滞納がなくならない場合は、法的手段も視野に入れた対応を検討。ただ自主管理の場合、管理組合の役員と滞納者が同じ建物に住んでいるため、感情的に対立しないよう注意も必要だ。
弁護士へ依頼する場合は費用もかかる。「滞納金額や滞納者の姿勢、言い分、滞納の原因や回収の可能性を踏まえ、どのように費用をかけ、どんな手段を取るか判断するのが肝心です」とアドバイスした。
 

実施回数にみる大規模修繕工事の目的

 ①築後10~12年 外壁修繕が主体 
外壁改修とその関連工事が主。「みすぼらしくなった建物を、新築時の姿に戻そう」がコンセプト。初期性能の回復
 ②築後24~30年 外壁・屋根・設備 
修繕・改修に加え、設備などの取り替えも必要に。「新しい部材やパーツ」での改良修繕、設備工事も増加。「建物+設備」の改修
 ③築後36~45年 改良・更新 
建物を構成するすべての部材の修繕周期がおおむね一巡する時期。配管など大きな部分の工事が必要に
 ④築後48~60年 改良・更新 
「新築マンションと同レベルまでのグレードアップ」が目標

セミナーの講師
中野佳成さん  関西ペイント販売(株)取締役、建築塗料販売本部長



野崎聖子さん  弁護士、うむやす法律事務所代表


 長期滞納管理費の回収手段 
裁判手続き
◆支払督促 ←簡便ただし、訴訟への移行あり
◆小額訴訟(60万円以下)
◆民事訴訟(通常の裁判) ←一般的な手段
◆先取特権の行使による競売申立(区分所有法59条による競売請求)

裁判外の手続き
◆民事調停(簡易裁判所)
◆弁護士会の調停・仲裁
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1578号・2016年4月1日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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