家づくり
2025年5月30日更新
家計を把握し豊かな暮らし描く|お財布とヒトにやさしい住まいのヒント②
当連載では住環境が家計や人間関係、幸福感にどのように影響するかを一級建築士の村山創さんが解説していく。今回は「理想の暮らし」について。「家は理想の暮らしのゴールではなく、手段。バケットリストや毎月の支出を見直しながらライフプランを立てましょう」と村山さんは話します。

文・図表/一級建築士・村山創
当連載では住環境が家計や人間関係、幸福感にどのように影響するかを一級建築士の村山創さんが解説していく。今回は「理想の暮らし」について。「家は理想の暮らしのゴールではなく、手段。バケットリストや毎月の支出を見直しながらライフプランを立てましょう」と村山さんは話します。
家計を把握し豊かな暮らし描く
「家」の前に「人生」家のことを考える前にやってほしいのは「どんな人生を送りたいか」思い描くことです。おすすめなのが「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことをまとめたリスト)」の作成です。
バケットリストとは
死ぬまでにやっておきたいことを書き出したリスト

行きたい場所、始めたい趣味、子どもとの時間、老後にやりたいこと、健康でいたい年齢などを思いつくままに書き出してみます。そして、それらを年齢ごとに分けてみましょう。すると、「今やっておきたいこと」や「早めに計画すべきこと」が見えてきます。
大切なのは「家」はゴールではなく、豊かな人生をつくるための〝手段〟だということです。もし家(住宅ローンや家賃)を優先し過ぎて、旅行にも行けない、趣味も楽しめない…となると、理想の暮らしから離れてしまいます。
次にやってほしいのが、「毎月の支出の見直し」。食費、住宅費、通信費、交通費、保険料、貯金などを書き出してみましょう。住宅費を把握することは返済計画でも重要です。
そうすることでムダが見つかり、節約できるところが見えてきます。例えば、家族の携帯電話を格安SIMに換えるだけでも、毎月の支出がグッと減ります。支出を減らすと、趣味や貯蓄のために使えるゆとりのお金が増えます。
また、「NISA」(少額投資非課税制度)などの非課税の投資制度を使って、お金を「守る」だけでなく「増やす」ことも大事です。長期に続けることで生活の自由度は大きくアップします。
少しずつでも自己資金が増えると、生活の安心感も高まります。住宅購入でも、条件の良いローンが組めたり、住まいの選択肢も広がります。「ためる力」は、暮らしの自由をつくる力です。
何より大事なのは、「今しかできないこと」です。子どもと過ごす時間や家族との思い出は、後から取り戻すことはできません。家だけでなく、人生そのものに目を向け、後悔のない選択をしましょう。 ライフプラン作成は、豊かな人生への第一歩です。ぜひバケットリストづくりや支出の見直しをして、あなただけの暮らしを見つけて下さい。
お金を「守る」だけでなく「増やす」

お金があれば、生活の安心感も高まる。そのため、貯蓄をして「守る」だけでなく「増やす」ことも大切だ。例えば、毎月貯蓄していた2万円を「NISA」で投資し、30年間積み立てると(想定利回り4%)元本672万円、運用収益が614万円得られる=上記グラフ。同グラフは金融庁NISAシミュレーター(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/)で作成できる。興味がある人はシミュレーションしてみよう!

むらやま・はじめ
一級建築士、(株)幸健ホーム設計室長、沖縄木造住宅協同組合事務局長。設計の仕事をしながら、住宅関係の講演会や一般消費者に向けて住宅づくりの情報をSNSで発信している
https://hajimemurayama.my.canva.site/
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2056号・2025年5月30日紙面から掲載