家づくり
2023年10月20日更新
高齢者の安心・元気に 見守りツールを活用[建材ピックアップ](30)
旧暦の9月7日(今年は新暦の10月21日)は、数え97歳を祝う「カジマヤ―」。長寿を祝うパレードが各地で開かれる。元気にカジマヤーを迎えるためには、日々の体調管理や安心・安全な暮らしが欠かせない。そこで、高齢者の健康や安全を見守るサービスを紹介する。
同居でもニーズ
少子高齢化が進む中で、高齢の親との生活について不安を抱える人も多い。そんな中で注目されているのが、離れて暮らしていても生活状況を確認できる高齢者の見守りサービスだ。
こうしたサービスは、1人暮らしの高齢者が対象というイメージがあるが「実は夫婦で暮らしている方や、子や孫と同居している方でも『別階に住んでいる』『日中は一人になるので心配』というニーズも意外と多い。利用者世帯の構成比は、1人暮らしが約半数だった」とおきでんCplusCの上原康志ゼネラルマネージャーは話す(2021~22年度に同社が行った実証のアンケートより)。
人手不足で悩む介護事業者が取り入れるケースも増えており、その需要は伸び続けている。
センサー型が主流
見守りサービスを選ぶ際、何を使って見守るか、というのが重要だ。
カメラを使ったサービスなら、リアルタイムで生活状況をしっかり見ることができるのがメリット。しかし、「監視されている」と感じやすいのがデメリット。
昨今はプライバシーに配慮したIoT(モノのインターネット)やセンサーを利用したサービスが人気だ。
IoTを用いたサービスで有名なのが電気ポットによる見守りサービス。ポットで給湯すると家族に通知する。20年以上前から提供されているサービスだが、手軽さや、ほどよい距離感などが支持されている。ほかにも冷蔵庫の開閉や電気のオンオフを通知する見守りサービスもある。
そして現在、見守りサービスの主流となっているのが、日常生活に影響なく溶け込む「非接触センサー」だ。
セコム琉球の宇田文徳専務は「従来の防犯サービスは、センサーが侵入者を感知して異常信号を送信していたが、見守りサービスでは逆転。一定時間、センサーの前を人が通らなければ異常として通知します」と話す。カメラなどは意識してしまう場合があるが、非接触センサーだと普段通りの生活と見守りの両立がしやすい。
おきでんCplusCは、最先端のWi-Fiセンサーで人の動きや睡眠時の胸の動きを検出。それをAIで分析して、活動や睡眠状況を家族に通知する。同社の上原さんは「あまり眠れてないとか、活動量が少なくなったなども分かるので、状態が悪化する前に対処できる」と話す。
進化を続ける見守りサービス。今や「万が一への備え」というだけでなく健康長寿もサポートする。
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24時間365日 家もシニアも守る
セコム琉球(那覇市)
「ホームセキュリティ」の第一人者であるセコムは、その技術を見守りにも活用している。「特にシニア向けのサービスは、通報で緊急対応員が駆けつけるものから、センサーでゆるやかに見守るものまで、多彩に用意しています」とセコム琉球の宇田文徳専務は話す。
「セコム・ホームセキュリティ」は、空き巣や火災などに備えて家を見守るほか、看護師による「電話健康相談サービス」を24時間365日いつでも受けられる。
さらにシニア向けオプションとして、トイレなど必ず通る場所にセンサーを設置し一定時間動きがない場合、セコムに自動で通報される「安否みまもりサービス」や、手のひらサイズの屋内専用救急通報ボタン「マイドクター」もある。ペンダントのように身に着けられる。
「安否みまもりサービス」は生活動線上にセンサーを設置し、一定時間動きが無い場合はセコムに自動通報
握るだけで通報できる屋内専用救急通報ボタン「マイドクター」。生活防水仕様で浴室にも持ち込み可
新しいオプションサービス「YORiSOS(よりそす)」は、Apple Watchによるケアとセコムへの通報サービスを融合した新アプリ。万が一のときはセコムにSOS通報が出せるほか、不規則な心拍や転倒も検知してフォローする
◆問い合わせ/セコム琉球㈱(電話=098・862・1500)
活動だけでなく睡眠まで分かる
おきでんCplusC(宜野湾市)
おきでんCplusCは、住まいに手のひら大のセンサーを数個置くだけで在宅・外出・睡眠などの状況を把握できる“やさしいみまもり”サービスを提供している。「カメラやマイクは使わず、最先端のWi-Fiセンシング技術を用い、家の中での活動だけでなく睡眠時の呼吸も検知します」と同社の上原康志ゼネラルマネージャーは説明する。
検知した状況は、家族のスマホなどでいつでも確認できる。当人(高齢者)もタブレットで確認できるため、「自分の生活を振り返れて良い」という声も多い。「睡眠時間や活動状況などが分かるので、状態が悪くなる前に対処できる」と話す。実際、離れて暮らす親の睡眠時間が極端に少なくなったことに気づいた家族が病院に連れて行ったところ、肺炎になりかけていたというケースもあったそうだ。「単にみまもるためのサービスではなく、自助・共助・公助を促すサービスとして全国に広げていきたい」と話した。
みまもりセンサー(右)とみまもりタブレット(左)
家族はスマホなどで、活動や睡眠状況をいつでも確認することができる
※おきでんC plus Cが提供する“やさしいみまもり”サービスは、内閣府や県の補助事業を活用している。
現在は国頭村・大宜味村・東村・伊江村・石垣市在住の65歳以上の方はサービス利用料(月額980円)、インターネット環境利用料(月額650円~)が2024年2月まで無料。それ以外の市町村に在住でも利用できるので、まずは問い合わせを。
◆問い合わせ/㈱おきでんCplusC(電話=0120・425・065)
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1972号・2023年10月20日紙面から掲載
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。