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2023年9月22日更新

良質な電気を供給 高出力で長時間|停電対策「インバーター発電機編」[建材ピックアップ]

前号(9月15日発行)から引き続き電気の備えを紹介。今回はインバーター発電機について説明する。

前回のおさらい 発電機とポータブル電源の違い

ポータブル電源 
持ち運びできる蓄電池。作業音が静かで、室内でも問題なく使用でき、発電機よりもコンパクトな製品が多い。

短所は発電機よりは定格出力が小さい製品が多いことや、蓄電した容量しか使えないこと。ただし、ソーラーパネルで充電できるタイプもある。


発電機
長所は、ポータブル電源よりも定格出力の大きい製品が多いこと。燃料が有る限り使い続けられること。

短所は排ガスが出るため室内では稼働できないことや駆動音が大きいこと。燃料の準備や管理、保管が必要なことなど。
 

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大型家電も使える

持ち運びできるコンパクトな発電機の需要が伸びている。多彩な発電機を発売している沖縄ヤマハでも「良質な電気を供給でき、パソコンなども安心して使えるインバーター発電機が品薄になっている。冷蔵庫など大きめな家電まで動かせるパワーも魅力」と、同社営業部の藤元暁さんは話す。多くの家電に対応するのがインバーター発電機で、安価だが精密機器などは使えないのがスタンダード発電機だ。「家庭で、停電時の使用を考えているならインバーター発電機が断然おすすめ」

ヤマハでは定格出力(安定して出力しつつづけられる電力量)が900VA~5500VAの製品を取り扱う。発電機の定格出力はVA(皮相電力)という、エネルギーとして消費される有効電力と消費されない無効電力を合わせた値で表示される。一般的な電気照明はVA=Wだが、洗濯機や冷蔵庫は1VA=0・7W~0・8Wになる。

VA値が大きいほど大きな家電が動かせる。「1800VAの発電機を所有している家庭では、台風による停電時もクーラーと冷蔵庫を使えて助かったそうです」。ただし、電化製品は起動する際に大きな電力を消費するものもあるため「起動電力の大きい物から順番に付けていくと良い」とアドバイスする。
 

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スタンダードタイプ
シンプルな構造で、耐久性が高い。価格が安く高出力なのも特徴。ただし、パソコンなどの精密機器や、マイコン内蔵の冷蔵庫や炊飯器、洗濯機など使えない家電も多いので注意。

インバータータイプ
インバーターという装置を内蔵した発電機で、家庭用電源(コンセント)に最も近い良質な電気を作る。価格はやや高いが、不安定な電気を使うと故障の恐れのあるパソコンなどの精密機器でも安心して使える


家電の消費電力と起動電力の目安

出典/ヤマハ発電機カタログ、ヤマハホームページより   ※電気機器の消費電力・起動電力はあくまで目安です。使用する電気製品の消費電力・起動電力をご確認ください

出典/ヤマハ発電機カタログ、ヤマハホームページより   ※電気機器の消費電力・起動電力はあくまで目安です。使用する電気製品の消費電力・起動電力をご確認ください


発電機 使用燃料での長短所

ガソリン
インバーター発電機で主流なのはガソリン。発電コストが安く、長時間の連続運転も可能。ただしガソリンは長期保存ができず、6カ月以内程度しかもたない。保管状況によっては劣化したり、揮発性も高いため取り扱いに注意が必要。

 

カセットボンベ
カセットコンロで使うカセットボンベを燃料にするタイプ。スーパーやコンビニで手軽に購入でき、保存期間も長いので買い置きしておける。ただし定格出力が小さく、発電コストが高い。長時間使う場合は大量のガスボンベが必要になる。

 

LPガス
自宅に設置されているガスボンベから燃料を補給できる。燃料を準備する必要がないのがメリット。デメリットはLPガスを使っている家でないと使えないことと、事前に、ボンベと発電機を接続するための工事が必要なこと。
 

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室内稼働は厳禁

発電機の燃料は大きく三つ。主流はガソリンで、カセットボンベやLPガスのものもある。いずれも、使用時の注意点としては、排ガスが出るため「絶対に室内で稼働しないこと。換気の良い屋外で、なるべくぬれない場所で稼働してください」

稼働音にも注意。「ガソリンエンジン式の製品は、近隣の家との距離が近かったり、周りが静かだったりすると音が気になるかもしれない」。

また、どの発電機も燃料があればすぐ使えるわけでなくエンジンオイルも必要。定期的にエンジンオイルを補給するなどのメンテナンスも重要だ。ガソリンやカセットボンベを燃料とする発電機は「車と同じでガソリンを入れっ放しにして何年もエンジンを掛けずに放置すると故障の原因になる」と説明する。今回の台風でも「何年ぶりかに使おうと思ったのに始動しなかった」という問い合わせが何件かあったそうだ。「原因は劣化したガソリンがエンジン内で目詰まりしているものが多かった。できれば月に1回、5分くらいは稼働してほしい。または台風シーズンが終わったら燃料供給を止めてエンストするまで運転させる。燃料を完全に空にして保管し、台風シーズンが始まる前に新たにガソリンを入れてテスト稼働することをすすめる」と話した。

【教えてくれた人】
ふじもと・さとし/沖縄ヤマハ営業部


 

高い技術と品質 種類も豊富

(株)沖縄ヤマハ
定格出力1600VAの「EF1600iS」は高さ45.5センチ、幅49センチ、奥行き28センチ
定格出力1600VAの「EF1600iS」は高さ45.5センチ、幅49センチ、奥行き28センチ


定格出力1800VAの「EF1800iS」は高さ47センチ、幅55.5センチ、奥行き30センチ
定格出力1800VAの「EF1800iS」は高さ47センチ、幅55.5センチ、奥行き30センチ
 
(株)沖縄ヤマハでは、ヤマハエンジンの技術を搭載した多彩な発電機を取り扱う。家庭用として人気なのはガソリン式のインバーター発電機で、定格出力が1600VAのタイプと1800VAのタイプだ。「持ち運びできるサイズながら、大きめの家電まで使える定格出力がある。停電時の備えとしてはおすすめ」と同社の藤元暁さん。「5500VAの製品まで扱っている。使用したい家電を考えて選んでください」と話した。

◆問い合わせ/(株)沖縄ヤマハ(電話=098・866・5353)
 

家庭のLPガスを燃料に

沖縄協同ガス(株)
低圧LPガスを燃料とするインバーター発電機
低圧LPガスを燃料とするインバーター発電機

沖縄協同ガス(株)では、家庭で使っているLPガスをそのまま燃料として利用できる低圧LPガス発電機を販売している。定格出力が900VAの「EU9iGP」と、1500VAの「EU15iGP」がある。

同社の担当者は、「燃料調達の手間がなく、家庭に設置されている20㌔の容器(満タン時)で約40時間の発電が可能です(EU9iGPの場合)」と話す。LPガスを使っている家なら導入可能だが、事前に発電機とLPガスをつなぐための工事が必要。工事をすれば、ワンタッチでつなげる。

◆問い合わせ/沖縄協同ガス(株)(電話=098・998・3000)

編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1968号・2023年9月22日紙面から掲載

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東江菜穂

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週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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