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2022年10月7日更新

【プロがつくる庭】沖縄の石・木・瓦で迫力ある琉球庭園

大城正功さん宅の庭(金武町)

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寝る前まで庭眺め

奥行き生む透かし垣と額縁

家の形に沿うように、L字型をしている大城正功さん(64)宅の庭。和風の庭の中央に、5坪ほどの琉球庭園が新たに設けられた。

縁側から延びるのは、琉球石灰岩や御影石、赤瓦が敷かれた延べ段。弧を描きながら、竹製の透かし垣の奥へと導いてくれる。

先へ進むと、水路と水鉢にたどり着く。後ろにそびえるリュウキュウマツの足元から静かに水が流れ、その両側には粗く積まれたような琉球石灰岩の石積みが広がる。大城さんは「規模は小さいけれど迫力がある」と満足そうに話す。

背後の仕切りは一部が抜け、奥にある既存の庭を額縁のように切り取る。透かし垣もそうだが、限られた空間の中で奥行きを感じさせる演出が散りばめられている。

そんな「額縁」の下部、赤瓦をうろこ状に重ねた塀の後ろには、独特な形の岩がちらりと見える。庭を手掛けたナカムラ造園土木の仲村弘喜さんは「シーサーがのぞいているように見えるでしょ」と遊び心も取り入れた。

大城さんは「仕事の後、縁側で庭を眺めて飲むビールが最高。音楽を聞きながら寝る前までここで過ごしている」と楽しんでいる。
 


大城さん宅の琉球庭園。琉球石灰岩や赤瓦、沖縄の植物を使うことで沖縄らしさを演出している。石や木を中央のリュウキュウマツに向けることで全体のバランスも整っている


縁側の前から始まる延べ段は、緩くカーブしながら奥へと続く。透かし垣で奥を見えにくくすることで奥行きを感じさせている

 

粟石(あわいし)の水路から水が流れる。水鉢は古民家の束石(つかいし)として使われていたものを再利用した


重ねて埋めて並べる赤瓦

大きな葉で周囲を目隠し

家が近く、物心がついた時からの友人だという大城さんと仲村さん。既存の庭も約20年前の新築時に仲村さんが石を配置したという。

今回は二人でいる時に琉球庭園の話になり、そのまま依頼することに。大城さんは「信頼しているので全部任せた」と話す。

仲村さんは「首里城にありそうな琉球庭園」をテーマに作庭。植栽はリュウキュウマツやシマヤマヒハツなど沖縄のものを使い、「庭にはあまり使われないヤエヤマネコノチチで、より沖縄らしさを出した」と仲村さんは説明する。

石組みは未加工の琉球石灰岩を組み合わせ、崩れた石が重なったような崩れ積みを採用。石垣のようなダイナミックな印象にした。「石も木も中央のマツに向けて傾けつつ、配置や大きさのバランスをとることで庭に抑揚をつけた」

一方、大城さんが「さすがプロ」と感心したのが赤瓦の使い方。瓦を重ねて塀にしたり、延べ段の一部として地面に埋めたり、地面に並べて仕切ったりと多様な方法で使っている。解体された古民家のものを再利用しており、水鉢も柱を支えていた束石だという。

大城さんは「どんな庭になるか見当もつかなかったけれど、とても気に入っている。今後はテーブルを置いて、夫婦で晩酌しながら庭を楽しみたい」と話した。
 

既存の庭との仕切り。右手のリュウキュウマツと左手のヤエヤマネコノチチの間が抜け、奥の庭の風景を切り取っている。下部には赤瓦がうろこ状に重なった塀があり、シーサーに見立てた琉球石灰岩がのぞいている


仲村さんが竹を裂いて創作した透かし垣。後ろの様子が少しだけ見える


琉球石灰岩を使った、崩れ積みの石積み。荒々しい雰囲気で迫力がある。自然石の形を丁寧に合わせて組んでいった


八重咲きのジャワサンダンカ。ボリュームがあり鮮やか。他にもさまざまな種類や色の花木が庭を彩る


既存の庭。横に長く伸びるリュウキュウマツは、左奥にあるマツの種から大きくなった


(有)ナカムラ造園土木 ☎098・964・4447


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1918号・2022年10月7日紙面から掲載

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スタッフ
出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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