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2022年9月2日更新

【プロがつくる庭】観葉植物・石張りで 地中海リゾート風

城間悟さん・えり子さん宅の庭(那覇市)

家族で集いバーベキュー

家族写真の撮影場所

那覇市内の住宅街、背の高いバナナの木が手招きするように葉を揺らしている。城間悟さん(60)・えり子さん(60)宅だ。

左官仕上げの黄色い壁に沿って奥へ進むと、クォーツサイト(石英岩)が張られた庭がある。琉球石灰岩の縁石で囲まれた部分には、アレカヤシやセローム、ふ入りのゲットウ、ドラセナのソング・オブ・インディアなど、南国の雰囲気が漂うさまざまな植物が並ぶ。コンセプトは「地中海リゾートの中庭」だ。

「背景がいいので家族写真の撮影場所にもなるんです」と話すのは悟さん。その庭で息子家族らとバーベキューをしたり、夜にライトアップしてお酒を飲みながらくつろぐ。本当にリゾートにいるかのような過ごし方をしている。

庭に面した建物の1階は、家族や友人が集まることから、悟さんが「あじまぁ(十字路)」と名付けた憩いの場。大きな窓からは庭も見える。キッチンで作業するえり子さんは「アレカヤシの葉の揺れ具合で、風の強さなど外の雰囲気が分かる。室内にいても気持ちがいいですよ」。中も外も、時間帯も関係なく楽しめる庭になっている。

Before▼


以前の様子。コンクリート土間の奥に菜園もあったが、大きな木があって暗い印象だった

After▼

城間さん宅の庭。家と家に挟まれた限られた空間だが、縁石が曲線を描くことで奥行きや広さを感じる。左端のクロトンは壁の黄色に映えるよう、葉の色が異なるものを寄せ植えしている

ライトアップ時の様子。家族が集う時以外も、悟さんは毎晩ここで過ごしているという(城間さん提供)


石張り。室内から見た時に外が全部石張りに見えるよう、建物側よりも塀側の方が石張り部分の面積が広くなっている

日常消すため塀を塗り壁に

大きな葉で周囲を目隠し

家のリフォームを機に、庭のリフォームを決意した夫婦。悟さんが仕事で知り合った、繁樹園の當間嗣泰さんに相談した。黄色い壁に鮮やかなブーゲンビレアが映える、地中海沿岸の街の写真を見せてイメージを伝えた。

1階キッチンから見た様子。大きな窓の向こうに庭が見える。家族が集まる際は、外と中を行き来しながら一体的に使う

最奥から見た庭。大きな葉が、周りの風景をほどよく遮っている。遠くには敷地入り口のバナナが見える

依頼を受けた當間さんは「非日常のリゾート感を出すために、いかに日常を感じさせるものを消していくかを意識した」と話す。例えば、ブロック塀は黄色い塗り壁に。風合いを出すため、左官のコテによる凹凸も残した。


植栽は、子株だけでボリュームをキープできるアレカヤシなど、大きさをコントロールしやすい観葉植物を使ってリゾートの雰囲気を演出。大きな葉は周りの住宅を見えにくくする効果もある。當間さんは「植栽部分と石張り部分をはっきり分けることで葉が落ちても散らかりにくい」と手入れのしやすさにも配慮した。ブーゲンビレアもあるが、現在は広い壁の方へと枝を誘引させている途中。色付けば、當間さんに見せた地中海の街の写真のように壁を彩るという。

今の庭になって約2年。えり子さんは「二人とも退職して家にいる時間が長くなったけど、庭で癒やされている」と満足そう。悟さんは「コロナが落ち着いたら、また友人たちとも宴会したいね」と笑顔を見せた。

敷地入り口にある植栽。琉球石灰岩を粗く積んだ土台にバナナ、クロトン、アメリカンブルーなどが植えられている


インドシクンシ。鉢植えだったものが自然に根付き、大きくなった。
家の外壁によく映えており、こちらも地中海リゾートの雰囲気が漂う



インドシクンシの花

設計・施工/繁樹園 ☎098・854・7672


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1913号・2022年9月2日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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