庭・garden
2021年8月6日更新
【プロがつくる庭・番外編】庭の台風対策|風・雨・揺れを最小限に
木を倒したり、折ったりと大きな被害をもたらす台風。そんな台風から大切な庭を守るため、今回は、日本造園組合連合会沖縄県支部の仲村弘喜支部長に、庭の台風対策について教えてもらった。ポイントは「風圧を軽減すること」だ。
枝葉減らし風圧軽減
庭に対する台風被害の主な原因は強烈な風。仲村さんは「木が受ける風圧を軽減するのが、台風対策の一番のポイント」と話す。
例えば、一般的な樹木の場合は、剪定によって枝や葉を少なくする。風や雨が当たる面積を減らすことで、倒れたり、枝が折れるといった風圧による被害を軽減できる。さらに、台風時の雨風に含まれる塩分が葉や枝に付く量も減るため、塩害防止にもつながるという。
支柱で揺れを防ぐのも、倒木などを防ぐのに有効。「今回紹介するのは『八つ掛け支柱(三つ足)』といって簡易的な方法だが、根が短い木などもしっかり支えられる」。
対策用の材料は基本的にホームセンターでそろう。仲村さんは最後に「台風後は水洗いするのも忘れないで」と呼びかけた。
一般的な樹木
剪定で枝や葉を減らし、風を抜けやすくする。風圧によって木が倒れたり、折れたりする被害が少なくなる。塩害も軽減するほか、周りに枝や葉が飛んで排水口が詰まるなどの二次被害防止にもつながる。
Before(サルスベリ)
After
剪定後。隣の木と枝同士が当たらないようにも配慮する
サルスベリの場合
樹種によって剪定方法は異なるが、サルスベリの場合は新しい(細い)枝を残して、太い枝を切る。剪定方法が分からない場合や、高所作業が必要な場合などは造園業者に相談を
枝が細く、軟らかい木
葉や幹を束にして、雨風が当たる面積を最小限にするとともに、強度も上げる。さらに上から防風ネットをかけ、支柱も添えれば、被害はより少なくなる。
Before(ナンテン)
広がっている葉や幹をビニールひもで束ねる
防風ネットを巻く
After。木を中心に、三角形になるよう支柱を配置。できるだけ木の上の方で支柱を固定すれば、より揺れにくくなる
根が短い・少ない木
根が短い木や、根が少ない木は風で倒れやすいため、支柱を設ける。枝が傷つかないよう、支柱と当たる部分には杉皮などを巻いておく。
Before(イペー)
木に支柱を立てかけ、ひもで仮止め
支柱の位置や角度などに問題なければ、地面に穴を掘って支柱を埋める
仮止めのひもを外し、針金で支柱を固定
枝に杉皮を巻き、支柱と一緒にひもで縛る。ひもは横方向だけでなく、縦方向にも巻くことで強度が増す
鉢植え・低木
鉢植えは室内に入れるのが基本だが、入らなければ、屋外で倒しておいても良い。低木などは防風ネットを全体的にかけ、ネットが飛ばされないよう重りで押さえる。
Before
葉が広がっている鉢物はまず、葉を束ねる
防風ネットを巻いて、鉢ごと倒しておく。防風ネットを巻く代わりに、右写真のネットの下にまとめて入れておいても良い
After
コンテナ・プランター
植栽用のコンテナやプランターの植物は、風が直接当たらないよう防風ネットをかける。骨組みがあれば、ネットと植物が擦れ合うのも防げる。
植物を囲むように骨組みを設置する
After。上から防風ネットをかけ、ひもで固定する。ひもは、コンテナの下を通しながら、全体をぐるりと回すように。プランターの場合も方法は同じ。コンテナ用の骨組みは県緑化種苗協同組合で購入できる
台風が去ったら必ず水洗い
台風時の雨や風には塩分が含まれているため、放っておくと木に塩害や病気が発生することがある。
そのため台風後は、葉の表側だけでなく、裏側や幹、根元にも丁寧に水をかけ、塩分を洗い落とすことが重要だ。鉢植えも、倒したままだと葉が腐ってくるので、台風後はすぐに起こして洗おう。
取材協力/(有)ナカムラ造園土木 ☎098・964・5670
取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1857号・2021年8月6日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
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- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。