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2021年5月7日更新

【プロがつくる庭】楽園に漂う日本風樹種や色味で表現

vol.13 このコーナーでは、プロが作った庭を紹介する。海が見える小高い丘。河野哲昌さん(48)とこずえさん(45)夫妻が営む「はらいそ」は、外人住宅を改装したギャラリーショップだ。

開放的な芝庭と密度高い小庭
Gallery はらいそ|(うるま市石川曙)


芝庭。左手の琉球石灰岩はもともとあったものを自然の岩のように組み直した。大きく葉を揺らすアレカヤシや、地表近くで幅広の葉を伸ばすアガベとともに、赤い小花(拡大写真)が咲くテイキンザクラを配したことで、楽園の中に和を感じる



ヤシとサクラを同じ場所に

海が見える小高い丘。河野哲昌さん(48)とこずえさん(45)夫妻が営む「はらいそ」は、外人住宅を改装したギャラリーショップだ。

道路に面した広い芝生には、島が浮かぶように、琉球石灰岩で囲まれた部分がある。そこではアレカヤシやアガベとともに、テイキンザクラも枝を伸ばす。

庭を手掛けた岩村浩生さんは「店名の由来となった『パライソ』はポルトガル語で『楽園』という意味。それをあえてひらがなで表記していることから、楽園感の中に『日本風』を織り交ぜ、樹種や色味で具現化していった」と話す。

入り口へと歩を進めると、和を感じる砂利が敷かれた小さな空間。そこにブーゲンビレアやフウリンブッソウゲ、メデニラ、アナナス、センネンボクなど、たくさんの種類の植物がぎゅぎゅっと集まる。芝庭の開放感とは対照的な印象だ。背の高いものや低いもの、丸い葉や細い葉、薄い緑や濃い緑などがリズム良く並ぶ中で、赤色の花や葉が楽園のような彩りを添える。



アレカヤシは右手の室外機を隠す役目もある



葉の色や大きさ、形が異なる、いろいろな種類のセンネンボク。「娘が習っていたフラダンスの衣装や飾りに使おうと育てていた」と河野夫妻



ツワブキやグラジオラス、サシグサでさえも、岩村さんは「かわいい花が咲くものは残しながら管理する」


施主の鉢植えで庭づくり
水鉢生かし水辺の雰囲気

植物のほとんどは、もともと河野夫妻が集めていたもの。やんばるを訪れた際など、目に留まって「いいな」と思ったものを購入し、鉢植えで育てていた。

それを岩村さんが、成長の早さや樹形など、数年先の姿を見据えながら植栽。こずえさんは「地植えにすることで、メデニラの花が咲くようになった。年中何かしらの花が咲くので、季節も感じられる」と笑顔を見せる。

河野夫妻は水鉢もいくつか持っていたため、岩村さんはそれらも活用。入り口前の庭では、水鉢の周りにサガリバナやハナチョウジなどを使って水辺の雰囲気をプラス。植物の影になる部分には、ヤブランやオオタニワタリ、ツワブキなど日陰でも育ち、水辺にあっても違和感がないものを選んだ。

岩村さんは「やちむんや織物、琉球ガラスなど工芸品を扱う店内の落ち着いた雰囲気に合わせ、ハイビスカスなどではなく、あえて渋めの華やかさを加えた」。

その効果もあってか「庭の写真を撮る人が多くなった」と哲昌さん。店の魅力の一つに、庭も加わっているようだ。
  
      

建物と犬走りの間にある植物は、大きくなり過ぎないよう夫婦が整えている


入り口前の庭。多種多様な植物が密集しているが、落ち着いた色の植物が使われている上、きれいに手入れされているため、雑多な感じはしない。砂利を敷いたことで日本風になるだけでなく、雨の日の歩きやすさにもつながっている
      


入り口前の庭は水鉢を中心に、細く柔らかい葉のハナチョウジなどを使うことで、水辺の雰囲気を演出。水面に向かって垂れるメデニラ(下写真)の赤色がアクセントになっている      
      

店内から入り口前の庭を見る。店内にはうるま市内の作家による藍染めや紅型の織物、やちむん、琉球ガラスなどが並んで落ち着いた雰囲気。この雰囲気に合わせ、庭も落ち着いた印象になっている


Gallery はらいそ|うるま市石川曙1-9-24|☎098・989・3262

設計・施工/庭と建築 ハーベストハイ


編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1844号・2021年5月6日紙面から掲載

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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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