家づくり
2021年3月19日更新
建材ピックアップ|コロナ禍で製品増加 抗ウイルス仕様の内装材
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨年以降「抗ウイルス」への関心が高まっている。建築業界でもニーズの高まりとともに壁や床、塗料などに抗ウイルス機能を付加し商品展開をしている。
壁紙や床材で感染対策
(株)サンゲツ沖縄同社では、新型コロナウイルスが拡大する前から抗ウイルス加工を施した建材を提供してきた。「今までは医療・福祉施設で使われることが多かったが昨年以降、住宅に使いたいという方が増えた」
ニーズの高まりから同社は昨年11月、抗ウイルス商品をまとめたパンフレットや特設サイトを発表。「従来品でも改良したり、積極的に『SIAA抗ウイルス加工=下マーク』の認定を受けるなど、根拠を明確にして提供している」
「SIAA(抗菌製品技術協議会)」は国内外の抗菌・防カビ・抗ウイルス製品を製造するメーカーや試験機関から成る団体。抗菌・抗カビ・抗ウイルス加工製品に関する品質や安全性のルールを整備し、SIAAマークを認証している
2020年11月にサンゲツが発売した抗ウイルス機能を持つ床材「消臭レストリューム」。消臭機能もあり「トイレなどにおすすめです」と林社長
よく触れる場所に使う
「抗ウイルス床材でおすすめなのが、消臭機能がありトイレにも使える『消臭レストリューム(4800円/㎡=上写真)』」。防滑性があり、ぬれていても滑りにくいので介護をしているお宅にも良い。「手頃な価格で消臭や抗ウイルス機能付きの床材『抗ウイルスマーブル』(3300円/㎡)も人気」だそう。
抗ウイルス壁紙は、「通常の壁紙と変わらない価格(1090円/㎡)なので取り入れやすい。よく触れる場所に使うのがおすすめ」と林社長。
例えば「靴を着脱するときに手をつく玄関の壁、触れる頻度の高いスイッチ回り、LDKの壁などは抗ウイルス壁紙にすると衛生的」
家にいる時間が増えているからこそ、感染リスクを減らし、安心して過ごせる環境を整えよう。
「抗ウイルス壁紙」は、写真のパステルブルーなど優しい色が12色そろう。以前は医療・福祉施設などのニーズが多かったが「昨年以降、住宅に取り入れる人が増えた」
「新しい生活様式」で変化 「自然感じる色・柄が人気!」
多彩な内装材を取り扱うサンゲツ。コロナ禍で、消費者のニーズに変化があったそう。「今までは落ち着いた色や柄が人気だったのですが、一部を黄色や緑などポップな色や柄にする方も増えています。オウチ時間を楽しく過ごしたいというニーズが反映されていると思います」とショールーム担当の座間味しおりさん。太陽のような黄色や、さわやかな緑色など「自然を感じる色が人気」と話す。
要望の変化を捉え、サンゲツは昨年、ユニークな床材を発売した。その名も「SHIBAFU」。青々とした芝生を再現した床材で「部屋にいながらアウトドア気分を味わえるデザインです。部屋の一部や収納の中などに使う方もいらっしゃいます」と話した。
爽やかな黄色や緑など、「元気が出る色や柄の需要が伸びている」と座間味さん
実際の芝生を撮影し、草1本1本のリアルさにこだわって製作したという床材「HM10005」
DATA
㈱サンゲツ沖縄
宜野湾市大謝名215レキオススクエア宇地泊(ショールームは2階)
0570・055・138
https://www.sangetsu.co.jp/okinawa/
(抗ウイルス製品特設サイト https://www.sangetsu.co.jp/pickup/antiviral)
注目集める光触媒や漆喰
㈱仲里ペイント仲里ペイントで販売しているフッ素系光触媒コーティング剤「NFE2」。代表的な光触媒物質「酸化チタン」に銅と銀を掛け合わせ「抗菌・抗ウイルス機能を強化した製品。PIAJ(光触媒工業会)会員企業技術で作られています」と新里さん
コロナ禍でよく耳にするようになった「光触媒」。光が当たると触媒作用(化学反応を促進)を発揮して汚れ、菌やウイルスなどを分解するとして注目を集めている。
仲里ペイントの新里早苗さんは「コロナ禍で光触媒の製品はかなり増えた。きちんと根拠があるものを選ばなくてはいけない」と注意を促す。
「通常の光触媒反応により生成される過酸化水素は、汚れを付きにくくしたり消臭機能は十分にあるが、抗ウイルス機能については、ほかの成分の助けが必要。また、紫外線が当たりにくい室内での利用も難しい」
その弱点を補うため、銅や銀などを組み合わせた製品が登場しており、公的機関によって抗ウイルス作用も確認されている。
仲里ペイントで扱っている「光触媒コーティング剤NFE2」は、光触媒(酸化チタン)に銀と銅イオンの両方を掛け合わせて「光の当たりにくい室内でも抗ウイルス機能を発揮する。昔から銅は高い殺菌力・消毒力があり、感染菌やウイルスを不活性化すると言われている」。無色透明で「ガラスや鏡以外ならどこにでも塗れる。また、光触媒や銅、銀イオンは時間の経過で機能が落ちることはなく長期間抗ウイルス効果が期待できる」と話す。
消費者ニーズにマッチ
古くから用いられてきた「漆喰」もニーズが高まっている。主成分の消石灰が水と反応して強いアルカリ性を示し、「菌やウイルスが生育しづらい環境をつくる」。
「調湿効果もあり、室内の環境を快適に整える。住まいの感染リスクを下げつつ、より快適にしたいという、今の消費者の声にマッチしていることから需要が伸びている」
仲里ペイントがおすすめする漆喰製品は「『アレスシックイ琉球』。県産の消石灰を主原料にしていて、2016年には県推奨の優良県産品に選ばれた」という。
抗ウイルス機能を持つさまざまな建材。上手に使おう。
県産の消石灰を主成分にした「アレスシックイ琉球」。ローラーやはけで塗れることから「DIYもできる」と新里さん
アレスシックイ琉球は15キロで2万1000円。3キロで6800円(税別)
漆喰用いたお手軽製品も 漆喰の抗ウイルス機能に着目した製品も続々登場している。上写真右側のアレスシックイをコーティングした接触感染対策シート(1400円・税別)は、ドアノブや手すりに貼って感染対策。左側は、漆喰を塗布したマスクケース(1700円・税別)。「マスクのにおいや付着したウイルスを低減させる効果が期待できる」と新里さん
DATA
㈱仲里ペイント
豊見城市真玉橋131-2
098・856・8500
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1837号・2021年3月19日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。