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2020年7月31日更新

耐久性高く 多彩なRC住宅

インフラ整備や住宅など私たちの暮らしに欠かせないコンクリート。だが、その歴史や品質については知らないことも多い。そこで県内のコンクリート事情を沖縄県生コンクリート工業組合の照喜名武さんと建築士の金城司さんに聞いた。

県民の暮らし支えるコンクリート


県内に現存する最古の鉄筋コンクリート造建造物「大宜味村役場旧庁舎」。建築家・清村勉氏が手がけた。清村氏は北部地域を巡って建築物を調査し、台風やシロアリ、火災に強い鉄筋コンクリート建築こそ沖縄に適していると考えた。


高い耐久性 多彩なRC造

県内に現存する最古のコンクリート建造物は、1925年(大正14年)に落成した大宜味村役場旧庁舎だ。設計者は、県内コンクリート造の草分けである建築家・清村勉氏。「清村氏は県内の建物を調査し、当時主流だった木造より、台風やシロアリ、さらには火災にも強いとして鉄筋コンクリート(RC)造を推し進めたそうです」と県生コン工業組合の照喜名武さんは話す。

その後、米軍統治下時代にコンクリートブロック(CB)造をへて、RC造が急増した。「高い耐久性が注目を集め、さらに行政の政策もあってRC造に移行していきました」

72年の本土復帰に伴い、その需要は加速度的に増す。特に75年に開かれた海洋博覧会前は建築ラッシュだった。「その際に一部、質の悪いコンクリートが出回り、それが早期劣化。耐久性に負のイメージを付けてしまいました」

先の大宜味村役場旧庁舎はもうすぐ築100年を迎える。「品質の良いコンクリートを用いて、きちんとメンテナンスすれば長持ちすることは証明されています。悪いイメージを払拭すべく、県内の生コン業界は品質管理と技術力の向上に力を注いできました」

各生コン工場には試験室があり、資格を持つ技術職員が「JIS規格」に基づいて日々品質管理を行っている。また、95年からは、行政も参画する「全国統一品質管理監査」を毎年実施している。「これにより高品質の生コンを安定供給できるようになりました。そして、それをうまく使ってくださる建築士や建設業界の方々がいるからこそ県内のRC造文化は進化してきたのだと思います」


沖縄に適した住まい
金城さんが設計したRC造の「中村家住宅」。第3回沖縄建築賞の正賞を受賞した。夏に涼風を目いっぱい取り入れる、沖縄に適した造りなどが評価された。


建築士の金城司さんは「多様なRC造が立ち並ぶ沖縄独特の風景は、世界に誇れる。それぞれの建築家が『沖縄らしい建築』を考えた結果が、そこに表れていると思います」と力を込める。


復帰後、急速にRC住宅が増えた。今ではずらりと立ち並ぶRC住宅が沖縄ならではの景色となった。


 耐久性が高いことはもちろん、暑さ対策も「コンクリート造だからこそやりやすい」と話す。「RC造は大空間・大開口が設けやすい。つまり風を取り込み、熱気を逃がす仕組みを作れば熱環境をコントロールできる」

金城さんは広々としたLDKの南側に大開口を設けた「中村家住宅」で第3回沖縄建築賞の正賞を受賞している。「夏の南風を目いっぱい取り込み、人と外(地域や庭)とつながる家を考えて成った形」と話す。実際、施主は夏場も冷房要らずだと話している。

25年以上、県内で住宅建築に携わる金城さん。「沖縄は家造りにおいて恵まれている。駐車場付きの平屋が建てられるのですから。そのメリットを存分に生かすことができるのがRC造だと思っています」

RC造は費用が高いという声もあるが、「耐久性が高く、きちんとメンテをすれば長持ちする。長い目で見るとコストパフォーマンスが高いと思います」と話した。


 

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