特集・企画
2019年2月22日更新
応援!おきなわ技能五輪・アビリンピック2018
23歳以下の若手が技を競う第56回技能五輪の「レストランサービス競技」で金賞を受賞した、ザ・テラスホテルズ(株)の知念栞子(しおこ)さん。8月にロシアで開かれる国際大会の切符も手にした。県勢が国際大会に出場するのは初めて。金賞受賞の感想や国際大会への意気込みを聞いた。また、レストランサービス競技の県代表を指導した同社の比嘉洋さんにも話を伺った。
きめ細かいサービスを
知念栞子さん(21) ザ・ブセナテラス
8月にロシアで開かれる国際大会では、日本の「おもてなしの心」が伝わるよう頑張ります!
技能五輪で金賞! 国際大会へ
-知念さんに聞きました
■金賞、おめでとうございます
ありがとうございます。本番ではミスがあったので、金賞を取れるとは思っていませんでした。
しかし、顔に出さないように気をつけ、目の前のお客さまに集中するよう心がけました。帰り際、そのお客さまに「大満足だったよ」と言っていただき、本当にうれしかったです。
金賞で名前を呼ばれたときは喜びと同時にバックアップしていただいた方々に少しでも恩返しできたかなと思いました。
昨年4月に入社した新人の私のために、上司・先輩が指導係やお客さま役を買って出てくれたり、シフトの調整をしてくれたり、さまざまな協力をいただきました。また、レストランサービス競技には“ワインを抜栓し、デキャンタに移す”“ローストチキンを切り分ける”などの課題もあります。練習にあたり、調理スタッフの協力もあり、多くの料理を準備していただきました。
皆さまの支えがあって金賞を取ることができ、国際大会の切符を手にすることもできました!
■出場のきっかけは
私は沖縄ポリテクカレッジ出身で、学生時代に技能五輪入賞者の講習を受ける機会がありました。その人の立ち居振る舞いの素晴らしさに憧れ、「いつか私もああなりたい」と思っていました。だから、技能五輪が県内で開かれること知り、「出たいです!」と上司に掛け合いました。
技能五輪大会ではギャラリーに見られながら給仕。知念さんは「目の前にお客さまがいれば集中できるので、周りは気にならない」
■金賞を受賞しての変化
「あなたが知念さん?」と声を掛けていただくことが増えました。見られていることを意識し、お客さまをがっかりさせないよう精進していきたいです。
今月22日にはポリテクのホテルビジネス科に講師として招かれました。学生時代に憧れた位置に立てることはうれしいと同時に身が引き締まる思いです。
■今後の目標は
8月にロシアで開かれる国際大会では、きめ細かなサービスを提供し、日本の「おもてなし」の心を多くの方に見ていただきたいと思っています。良い結果を残せるよう、頑張ります!
姿勢・表情にも気を配る
比嘉洋さん(45) ザ・ブセナテラス
温かみのあるサービスが知念の武器。観光立県沖縄で、ホテル業界をひっぱる人材になってほしい!
上司かつ、選手育成専門員から
-比嘉さんに聞きました
■レストランサービス競技の選手育成専門員としておきなわ技能五輪に携わっていたとか
沖縄県代表として出場する5人の選手の育成にあたり、関係者とともに練習を積み重ねてきました。
5人ともポリテクカレッジ出身で仲が良い半面、緊張感を持たせるのが大変でした。互いの競争心をあおったりと、あの手この手を尽くしました。おかげで、学校の先生方の気持ちや大変さも分かりました!
技術の練習はもちろん、給仕中の様子をビデオ撮影して姿勢や歩き方、表情にも気を配らせました。
全員の入賞を願っていましたが、銅賞が二人、知念が金賞を受賞したときは本当にうれしかったです。知念は本番に強く、堂々としていました。ミスはありましたが、笑顔を絶やさず温かいサービスを提供したところが評価されたのでしょう。
■ご自身も「技能グランプリ(※1)」に出場するとか
若手の指導をするにあたり、私自身もスキルを上げなければならないと思い2年前から出場しています。指導者としてのステップアップだけでなく、日々の仕事を見つめ直す良い機会になっています。
ことし3月に兵庫県で大会がありますが、知念の受賞は別として(笑)、私は私で頑張りたいと思います。
■県内ホテル業界の現状
県内ではホテルサービスを学べる学校も多く、若手の希望者は少なくないと思います。ただ、それ以上に求人が急増しています。
ホテルサービスに携わる人間が増える中で、いかにそのレベルを上げていくかが課題。技能五輪への出場はその足がかりになると思います。世界各国から人が集まり、高い接客技術が求められる沖縄。知念には国際大会でも結果を残し、業界をけん引する人材になることを期待しています。
※1:技能五輪が青年技能者を対象とした技能競技会であるのに対し、「技能グランプリ」は、年齢に関係なく熟練技能を競う全国規模の大会。
技能五輪のレストランサービス競技とは
技能五輪とは23歳以下の若手技能者が全国から集まって技を競う大会で、年1回開催されている。2018年11月には初めて沖縄で開催された。造園や左官、洋菓子製造など42種目あり、レストランサービス競技は①テーブルセッティング(フラワーアレンジメントを含む)に始まり、②カクテルの作成③オードブルの給仕④ワインのサービス⑤チキンの切り分け・配膳⑥クレープの仕上げ、の技術を競った。
技能五輪は昨年で56回目となるが、県勢が国際大会へ出場するのは知念さんが初めて。国際大会はことし8月22日~27日にロシア連邦のカザンで開かれる。ぜひ応援しよう!
おきなわ技能五輪のレストランサービス競技でカクテル作りやチキンの切り分けをする知念さん(2018年11月3日、沖縄市)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1729号・2019年2月22日紙面から掲載