沖縄建築賞
2019年2月22日更新
From沖縄建築賞[6]第5回沖縄建築賞 募集始まる
「第5回沖縄建築賞」の作品募集が始まった。そこで今回はその概要を紹介する。また、第4回で正賞を受賞した漢那潤さんと大嶺亮さんに、受賞後の変化や沖縄建築賞に対する思いを聞いた。
第5回沖縄建築賞 募集始まる
◆3月22日まで受け付け住宅や公共施設など、県内の優れた建築物や建築士を表彰する「第5回沖縄建築賞」(主催・同実行委員会)の作品募集が始まっている。実行委員長は(一社)県建築士事務所協会の野原勉会長=下写真=が務める。実行委員会は同協会と、(公社)県建築士会、(公社)日本建築家協会沖縄支部、(株)タイムス住宅新聞社の4団体から構成される。
実行委員長・野原勉氏
住宅建築部門と一般建築部門があり、いずれも県内で過去5年以内に建てられた建築物が対象となる。作品の提出は、直接持参または郵送で、3月22日(金)午後5時まで(必着)。そのほか募集要項の概略は下記を参照。詳細はタイムス住宅新聞ウェブマガジン(sumai.okinawatimes.co.jp)で確認できる。応募書類の様式なども同サイトからダウンロードが可能。
入賞作品の発表は、書類での1次審査、現地審査を行う2次審査をへて、5月24日(金)の新聞紙面上、または同サイト上で行う予定。
応募された作品はすべて5月25日(土)から5月30日まで、タイムスビル2階のギャラリーで展示される予定。さらに、入賞作品については韓国済州島建築士会の設計展への出展も予定されている。
昨年は住宅建築部門18点、一般建築部門10点の応募があり、その中から6点が正賞をはじめとした各賞に選ばれた。
第4回の受賞者(前列)と審査委員
実行委員会が応募呼びかけ
「沖縄建築賞」実行委員会は2月18日、県庁で記者会見を開き、同賞への応募を呼びかけた。
実行委員長の野原勉氏は「前回は一般建築部門の応募数が減少。県内景気も良く、業務で多忙だと思う。県内で活動している建築士にとって、県民に広く作品を見てもらえる唯一の機会なので、若手はじめ多くの方に応募してほしい」と語った。
提出方法は、県建築士事務所協会(浦添市西原)に提出書類一式を持参、または郵送となっており、前回から変更となっていることに留意。
応募を呼びかける(左から)実行委員の石川達也氏、當間卓氏、野原氏、西里幸二氏
第4回(2018年)正賞受賞者に聞く沖縄建築賞
住宅部門正賞 本部町の新民家
漢那 潤さん/ISSHO建築設計事務所
業界内のつながり増
沖縄建築賞の「気候風土を反映」「時代性」などの審査・選考の評価基準は、伝統と近代建築の融合という自分の活動領域とぴったりだったので絶対に取りたい賞でした。
正賞をいただいたことで、これまで協力してくれた方たちが喜んでくれたのはもちろんですが、一番の大きな変化は県内でたくさんのつながりができたこと。
木材業者など業界の人に声をかけてもらうことが増え、研究データを交換したり、情報の共有などもできました。以前は東京で活動していたため、シロアリ・台風・カビといった木造の課題や、沖縄独特の状況があることなどを教えてもらえたのはありがたかったです。そのつながりから、今後の活動に向けた体制づくりも徐々に進められています。
現在、この賞は建物単体が評価対象になっていますが、いずれはもっと広い視点で、まち全体を巻き込むような賞になってほしい。沖縄建築賞にたくさんの作品が出品され、議論の場となることがその一歩のようにも思います。
一般建築部門正賞 FFD unit
大嶺 亮さん ファイブディメンジョン一級建築士事務所
挑戦で若手の刺激に
普段からちゃんとしたものをつくり続けたいという思いはあるけれど、沖縄建築賞が励みになっているのは事実。
特に、3度目の参加だった第4回では、アウトリビングの考え方や可変性のある空間などで、「アパートでも建築として関わる余地があるんだ」という自分たちの思いを、審査員の方々にしっかり評価してもらえたのがうれしい。
「コスト」や「借りてもらわなければならない」などの制約により、一般的なアパートでは正面の外観デザインや設備に手を加える程度なのに対し、建築の手法で競えることが示されたような気がします。
また、県内だけで開かれる建築賞は珍しく、他の地域からするとうらやましがられるぐらい。昨年は韓国の済州島で発表し、世界にアピールする機会もいただけました。
人材不足が業界として楽観視できない状況ですが、この賞が刺激になって若手育成につながることを期待します。そのためにも、ぜひ多くの建築士にチャレンジしてもらいたいですね。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1729号・2019年2月22日紙面から掲載