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2018年10月26日更新
[マンション特集2018年] 沖縄のマンション事情
[マンション特集2018年・沖縄のマンション事情]マンションの建築ラッシュが続いている。本紙では、今号で紹介する販売業者(3~5面、8~11面掲載)に、この1~2年に販売するマンションについてアンケートを実施。回答を得た=下に抜粋。さらに県内のマンション事情について、設計を手掛ける(株)デザインスタジオ琉球樂団の伊佐真吾専務と、施工を手掛ける(株)謝花組の長嶺直樹生産事業部部門長にインタビュー。「価格・仕様ともに多様化」「地価の高騰などから、戸建てよりも割安感を感じる人が増えたのでは」と話す。
価格・仕様ともに多様化
戸建てより割安感
住宅着工統計(政府統計ポータルサイト「e-Stat」)によると、昨年の県内のマンション着工戸数は1624戸。2009年以降、増減はあるものの、おおむね右肩上がりで増えている=下グラフ。
「需要も増加している」と両者。その理由について「県内は地価が高騰している。県民の平均所得から仮に住宅取得費用を3千万~4千万円と考えた場合、建物は2千万円台で抑えたとしても、予算内で欲しい地域に欲しい広さの土地を探せるかどうか。立地が良く利便性がいいマンションに割安感を感じる人が増えているのでは」と長嶺さん。伊佐さんも「マンションの建築費用は、2年前と比較しても恐らく2~3割は上昇。ただ物件数が増えているため、価格・スタイルともに選べる幅が出て、これまで手が出なかった若い子育て世代も購入しやすくなったと考えられる。また都心のマンションがかなり高騰していて、この2~3年は県外からの需要の伸びが顕著。セカンドハウスや投資目的の購入者も一定数いる」と話す。
資金繰りの要となる住宅ローンが組みやすくなっているのもニーズを後押し。金利が下がり、融資期間が最長50年の商品も登場している。
県内のマンション着工戸数の推移
郊外・小型が増加
建築地域や価格、仕様はどうか?
都心に集中していた以前に比べ、近年は郊外型が増加。「50戸、100戸の大型マンションを建てるとなると、まとまった土地が必要になるが、那覇近郊はそもそも土地がない上、高い。残っているのは斜面など開発前の工事負担がある場所」と伊佐さん。長嶺さんは「土地取得が難しいようで、郊外の小さな土地に建てる業者が増えている。うちが施工した物件も、郊外で一棟20~30戸が多い」と話す。
価格・仕様は、ともに多様化。アンケート結果を見ても、「ローンの返済額がアパートの家賃並み」と手ごろ感をアピールする物件から、ターゲットを富裕層に絞った高級志向型まで幅広い。「価格は手ごろでも、キッチンを使い勝手良くコンパクトにまとめてリビングを広く見せるなど、どこも工夫を凝らしている」と長嶺さん。設備類は「全館に浄水システムを入れたり、災害への備えや電気自動車に対応したり」(伊佐さん)と健康志向や省エネ、防災と世情を反映。県内特有として挙がった「駐車場保有数」は、200%をうたう物件も登場している。
伊佐さんら(株)デザインスタジオ琉球樂団が設計したマンションのイメージパース。キッチン上部の照明にスピーカーが組み込まれており、携帯電話での操作ができるようになっている。「見た目も機能も充実した設備が増加。それらをうまくデザインに落とし込むことで“かゆいところに手が届く”仕様に」と話す((株)大成ホーム提供)
[マンション紹介]
・(株)デザインスタジオ琉球樂団
ティアレ北谷シーサイド・アラハ(北谷町 北前)
・ アーキ・ドゥ(株)
ルピナス高原オーシャンビュー(沖縄市 高原)
・(株)ミルコ
ミルコマンション名護宮里(名護市 宮里)
・ 大晋建設(株)×あなぶき興産(株)
ミオビエントアルファ山下(那覇市 山下町)
・(株)ホーム21
クレアレーベン南上原(中城村南上原)
・(株)大成ホーム
リゾートテラス伊祖(浦添市 伊祖)
・ グランマーレ東浜ワイズ(与那原町 東浜)
編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1712号・2018年10月26日紙面から掲載