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2018年4月6日更新

考えよう!沖縄の省エネ住宅[09]|通気層と断熱材のダブルで断熱 夏の室内 体感で2度マイナス

一戸建てを含むすべての新築の建物で電気やガスなどの消費量を減らす「省エネ住宅」とすることが求められる「建築物省エネ法」。2年後にはその義務化が予定されているが、蒸暑地域の沖縄では独自の基準策定を求める声が上がっており、不確定要素も多い。そこで今後は「沖縄の省エネ住宅」づくりに役立つ工法や建材、取り組みを幅広く網羅。今回は夏場の室内の体感温度が2度下がるという(株)新洋の「おきなわクール住宅」を取り上げる。

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工法/(株)新洋「おきなわクール住宅」

「熱の上昇」利用し排熱

「おきなわクール住宅」の特徴は、「通気層」と「断熱材」を用いたダブル断熱と、開閉可能な「給換気口」の組み合わせにある。

そもそもコンクリートは木に比べ蓄熱しやすく、外気温が下がると熱を放出する(輻射(ふくしゃ)熱)性質がある。日差しが強い沖縄で夏の夜、コンクリート住宅内に熱気がこもるのはそのためだ。「おきなわクール住宅」では、この輻射熱をまず通気層で受け止め、断熱材も用いてダブルで遮断。これにより真夏の夜でも熱気がこもらず、冷房効率が上がる。同社建設事業部・住宅営業部の上原明治部長は「断熱材にはグラスウール系、スチレン系などさまざまな素材があるが、素材そのものの力はもちろん、どれも多孔質にし空気を含ませることで高い断熱効果を上げている。その点から考えても通気層による断熱は理にかなっている」と説明する。

通気層内の空気を常に対流させているのもポイント。そのカギとなるのが床下から伸びる高さ2メートルほどのルーバー「エコーラ」だ。室内だけでなく、壁内の通気層や床下へも風を取り込むことが可能。これにより室内、通気層内とも「熱せられた空気は上昇する」という原理を利用し排熱できるというわけだ。「熱の上昇を利用した自然換気は中村家住宅にも見ることができるつくり」と上原部長。先人の知恵も生かされている。


夏が涼しいのは…「熱せられた空気は上昇する」という原理を利用し、室内の熱い空気もコンクリートから通気層に至る熱も上昇させて排熱する。


冬が温かいのは…断熱材で室内全体を包み込むことで生活熱が保たれる。床下にも断熱材が入っているため足元からの冷たさもシャットアウトする。
 

給気・換気を分け冬温かく

「同工法は琉球大学工学部の堤純一郎教授にも加わってもらい開発したもの。台風にも耐えるコンクリートの強い構造体の中で、いかに涼しく過ごせるかを考えた」と上原部長。1989年に建て始めて以来、1500棟以上の実績を持ち、改良を重ねてきた。

当初より「夏場の冷房設定は28度で省エネと言われるが、女性の施主からは『30度でも十分。2度くらいは体感温度が違う』と言われるほど」と効果を実感。「かえって冬場は寒いくらい」との声を反映し、6年前には給換気口となるルーバーを室内側と、壁内・床下側で分けて開閉式に変更。冬場は室内側は閉じて冷気を遮断しつつ、壁内・床下側は開けることで湿気がたまらず結露しにくくした。さらに断熱材も入れることで冷暖房効率もアップ。「冬場の寒さも軽減し喜ばれている」。

2020年の建築物省エネ法の義務化に向けては、3年ほど前からメーカーや各種協会の勉強会に参加し準備を進めてきたという同社。プランニングの概ねの方向性は見えてきているという。「まだ不確定要素も多いが、沖縄の気候風土を考慮しつつ暑さ寒さを制御していくことを考えると、今後は機械換気の導入も検討する必要がある。自社の強みを生かしつつ、時代と沖縄の特性に合わせた住宅づくりを模索し続けたい」と話した。


図はすべて(株)新洋提供図


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1683号・2018年4月6日紙面から掲載

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