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2018年2月23日更新

自然取り込み地域と調和|気になるコト調べます!㉞

2月26日から「第4回沖縄建築賞」の募集が始まる。過去3回を振り返りながら、選考基準の「沖縄の気候風土を反映した建築」を考える。

選考基準「沖縄の気候風土を反映した建築」とは

第4回沖縄建築賞 2月26日から募集開始

「人や自然に開く建築」​

沖縄建築賞の第1回から3回にわたり、審査委員長を務める古市徹雄氏は、沖縄の建築の魅力を「人や自然に開いていること」と話す。

過去3回の正賞作品にも共通する。それぞれ、立地に合わせた方向から風や光を取り込み、人を誘い、眺望を楽しめる造りになっている。

住宅部門で昨年(第3回)に正賞を取った金城司氏(門一級建築士事務所)の「中村家住宅」は、その代表だ。庭に面した幅10メートルもの大開口が特徴で、生け垣や芝生の気化熱によって冷やされた南風を室内に取り込む。施主が「冷房はほとんどつけたことがない」という通り、人にも環境にも優しいプランが評価された。

第1回の正賞「海をのぞむ家」((株)クレールアーキラボ 畠山武史氏)は、ロケーションの良い東側をできる限り大きく開け、第2回の正賞「Hrf house」(仲間郁代建築設計事務所 仲間郁代氏)は高台の眺望を存分に楽しむべく、大胆な眺望テラスを設けた。いずれの住宅も深い軒で日差しを遮ったり、公私の空間をしっかり分けるなどの工夫も評価された。

第3回の一般建築部門で正賞を受賞した島田潤氏(デザインネットワーク)の「クニンダテラス」は、自然にも人にも開いた造り。「丘を建築する」というユニークな発想で、屋上などを大胆に緑化。後ろにある福州園や前の松山公園と一体化させ、「建物に入る」という感覚すら無くした。

選考基準の肝である「沖縄の気候風土」をどう建物に取り込むか、地域にどう開くのか、県内の建築士は日々、試行錯誤している。それを結実させた建物が「沖縄建築賞」に集まる。第4回の作品にも注目だ。


第1回~3回沖縄建築賞 正賞作品(住宅部門)​


第3回沖縄建築賞 住宅部門で正賞を受賞した「中村家住宅」。住宅密集地に建つが、ヒンプンや生け垣で外部からの視線をゆるく遮り、幅10メートルの大開口を設けた。開け放てば外と中が一体となった大空間となる


第2回の正賞「Hrf hosue」。特徴は施主の一番の希望でもあった深い軒の下にある「眺望テラス」だ


第1回の正賞「海をのぞむ家」。東側の大開口は美しい眺望とともに涼風も取り込む

 

◆第1回~3回沖縄建築賞 正賞作品(一般建築部門)


第3回正賞の「クニンダテラス」。琉球の交易を支えた「久米村」の歴史を学べる展示室やレストランを有する。屋上などを大胆に緑化し、後ろにある福州園や前方の松山公園と一体化させ、観光客だけでなく、地元の人々の憩いの場として利用されている


第2回の正賞「Subaco 名護城公園ビジターセンター」(蒲地史子氏)。


第1回の正賞「SOLA沖縄保健医療工学院」(石川保氏)​


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編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1677号・2018年2月23日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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