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2024年10月25日更新

コンプレッサーの省エネ対策がカギ|省エネ診断⑩

文・写真/名嘉光男(NPO法人 沖縄県環境管理技術センター)

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コンプレッサーの省エネ対策がカギ

中小企業のエネルギー使用状況を調査し、省エネの工夫を提案する「省エネお助け隊」。県内でお助け隊として活動するNPO法人・沖縄県環境管理技術センターの名嘉光男さんが、実際の調査結果を基に省エネのヒントを紹介する。


今回の省エネ診断事例は
琉球造船鉄工(株)(浦添市伊奈武瀬)

工場全景


◆琉球造船鉄工の現状


同社の工場には、溶接設備や加工機械、エアコンプレッサーなど多数の機械がある


工場に多彩な機械

今回は船舶製造・修理業の琉球造船鉄工株式会社の省エネ診断です。島しょ県で離島も多い沖縄は船舶による移動も多く、造船業はインフラの構築を担う貴重な業種です。 

同社の建物は主に事務所棟、工場棟、倉庫棟の3棟です。工場内には加工機械、荷役運搬設備、溶接設備、エアコンプレッサーなど多数の機械が配置されています。 

溶接作業が多いため「現状の発電機を使用しての溶接と、電力会社からの電力供給による溶接とでは、どちらが省エネになりますか」との相談がありました。診断の結果、現場の状況に合わせて使い分ける方が省エネになることが判明しました。 

空調システムは、業務用のパッケージエアコンと、住宅用のルームエアコンの個別空調方式です。空調機は順次高効率型へ更新しています。照明設備のLED化はおおむね済んでいます。エネルギー管理体制は構築していません。


電力と燃料を見直し

本事業所で使用しているエネルギーは電力(81%)、軽油(17%)、アセチレン(2%)です。他業種より軽油の使用量が多いのは、溶接用の発電機と構内のフォークリフト車や重機の燃料に使用しているためです。とはいえ、一番多いのは電力です。

本事業所では、特に溶接作業とエアコンプレッサーの電力使用量が多いです。産業分野では、利便性の高い動力源として圧縮空気が幅広く使用されています。一般的な製造工場では、電力消費の20~25%がコンプレッサーの消費電力と言われており、コンプレッサーのエネルギー使用状況の管理は重要です。
会社全体の電力消費量を監視、低減するためのデマンド監視装置の導入も重要です。

運用改善として、エアコンプレッサーの吐出圧の低減や、デマンド監視装置の導入、燃料(軽油)使用量の見直しなどを提案しました。それらを実行することで予想される削減金額は、年間で45万8千円/年です。



◆省エネ診断による提案事項
①冷房設定温度の緩和
②空調機フィルター清掃(室外機フィンの洗浄含む)
③エアコンプレッサーの吐出圧の低減
④燃料使用量の見直し
⑤デマンド監視装置の導入

提案事項の実施における予想エネルギー削減は2.35キロリットル/年、予想削減金額は45万8000円/年です。



省エネ診断の補助事業(中小企業向け)

事業所のエネルギー使用状況を把握し、省エネできる項目の洗い出し、改善策について提案するのが省エネお助け隊による「省エネ診断」。中小企業は国の補助(地域プラットフォーム構築事業)により、1割負担で診断を受けられる。診断は6640円~(税抜き)。詳細は「省エネお助け隊ポータル」で検索。

▼詳細はこちらをクリック。




執筆者
なか・みつお
NPO法人沖縄県環境管理技術センター理事長、エネルギー管理士、一級管工事施工管理技士。
電話=098・853・3739

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2025号・2024年10月25
日紙面から掲載

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