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2024年4月12日更新
2024年公示地価|経済の活発化が地価上昇を後押し|変動率11年連続プラス 住宅地は全国トップ
国土交通省は3月26日、2024年1月1日時点の公示地価を発表した。県内は住宅地、商業地、工業地(全用途)の平均変動率が前年比5.5%増となり、14年から11年連続で上昇。上昇率も昨年の3.6%増から拡大し、全国で福岡県に次ぐ2番目の高さとなった。
変動率11年連続プラス 住宅地は全国トップ
2024年公示地価 経済の活発化が地価上昇を後押し
国土交通省は3月26日、2024年1月1日時点の公示地価を発表した。県内は住宅地、商業地、工業地(全用途)の平均変動率が前年比5.5%増となり、14年から11年連続で上昇。上昇率も昨年の3.6%増から拡大し、全国で福岡県に次ぐ2番目の高さとなった。
中でも、住宅地の変動率は前年比で5.5%増と伸び率は全国トップ。観光業を中心に県内の経済が活性化し、住宅購入の需要や投資志向の回復が地価の上昇に影響した。
木造住宅普及も地価に影響
公示地価は固定資産税評価などの目安に使われる。今回の調査は県内21市町村、192地点で行われた。継続地点189のうち、188点が上昇し、1地点が横ばい。下落した地点はなかった。不動産鑑定士の仲本徹氏は「新型コロナの5類移行に伴い、ヒト、カネ、モノが急激に流入し、経済が活発化。住宅購入や投資目的の需要などが地価上昇につながった」と指摘する。
用途別の変動率では住宅地で昨年から1.9ポイント増えて5.5%増、商業地も2.3ポイント上がり5.0%増で、いずれも11年連続の上昇となった。特に、住宅地は全国1位の伸び率を記録した。一方、工業地の変動率は昨年より4.6ポイント低い9.5%増と上昇率は縮小したものの、12年連続で拡大した=表1参照。全用途で最高価格を記録したのは商業地域の那覇市久茂地3丁目1番1で23年連続。1平方メートルあたり204万円で、前年から3.6%上昇した。
住宅地は全21市町村で上昇し、1平方メートルあたりの平均価格は11万4300円となった=表2参照。変動率トップだったのが宮古島市で12.3%増、平均価格は2万6600円だった。上昇の背景には島外資本の流入に伴い、従来の相場を上回る価格で取引される傾向が顕著となったことなどが挙げられる。
続いて、県内で2番目に高い石垣市の住宅地が12.1%増。需要の多い中心市外地での供給不足が影響し、トップだった前年の13.4%から伸び幅を縮小させた。石垣市以降の順位は南風原町7.7%増、与那原町7.4%増、西原町7.0%増と那覇市周辺3町の伸び率が目立った=右下図参照。また、市町村別に見ると、平均価格の1位は那覇市で19万2300円を記録し、全国8番目に高い水準となった。最高価格は13年連続で那覇市おもろまち3丁目6番11。変動率は6.5%増で、41万2000円だった。
仲本さんは「都市部での住宅供給は限定され、“億ション”といったハイグレードの物件が目立つ。一方で、中心部から離れた場所や周辺自治体の需要が高まる傾向があり、木造住宅の普及も住宅地の価格上昇の一因」と分析する。
商業地 宮古島市で12.4%増
商業地も対象の全17市町村で上昇。変動率が1番だったのが宮古島市で、12.4%上昇。1平方メートルあたりの平均価格は8万3400円。新たなリゾート開発など観光客向けの店舗などを中心に需要は回復し、市街地中心では共同住宅との需要競争が地価上昇の要因とみられる。また今回の調査では、2025年に沖縄本島北部で開業予定の新テーマパーク「ジャングリア」が与える影響は反映されなかった。理由は同テーマパークの建設予定地が調査地から距離が離れていたためだ。建設予定地の周辺エリアは次年以降、新たな調査地点として加えられると予想される。
工業地は物流拠点として、倉庫などの需要に伴う地価上昇が続いてきたが、確保できる土地に限りがあるため、変動率の上昇幅が縮小したとみられる。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1997号・2024年4月12日紙面から掲載