大型動物に愛嬌 名前もつけて|アートを持ち帰ろう(35)|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2024年2月23日更新

大型動物に愛嬌 名前もつけて|アートを持ち帰ろう(35)

文/本村ひろみ

大型動物に愛嬌 名前もつけて

ゴリラはたかし、ワニはそうすけ、マナティーはハル

アーティスト・田渕美里の木彫『ゴリラのたかし』は、実際に作品を目の前にしたときのインパクトが大きかった。「うわっ!でかっ」って思わず声が出るくらいの印象。展覧会の会場に置かれたその塊(かたまり)は、まるで本物のゴリラのような存在感だった。
 
「ゴリラのたかし」樟(くすのき)2023
W500×D750×H700mm ※価格は要相談


「どこまでも自分流に」

田渕は、ゴリラの他にもカバ、ワニ、マナティー、カピバラと大きな動物を好んで制作している。そして名前も付けている。ゴリラはたかし、ワニはそうすけ、マナティーはハル。現実には恐れられている生物も作品では愛嬌(あいきょう)のある表情に加えて名前もあるので、笑みがこぼれてしまう。丸みを帯びた柔らかい形は、絵本の世界から出てきたように愛らしい。

聞けば、高校の卒業制作でサイを手掛けたのが大きな動物を作るきっかけだったという。「人物を作っていると“誰かを作っている”ということを意識してしまい悩むけど、動物や野菜、果物はどこまでも自分流に作ることが可能だった」と。そして「大学では広くて良いアトリエを使うことができ、そのおかげで大きな作品を制作できた」と田渕は感謝の言葉を述べた。「体力があるうちにと思って大きな作品ばかりになってしまったので、これからは小さな作品も作っていきたいです」と語る。

できれば私は田渕の大きな作品に、通りや街角で不意に出逢いたい。ぬくもりのあるその存在は、置かれた空間に優しさを添えてくれるはず。この3月でアトリエから旅立つ彼女の作品たちに新しい住処を与えられますようにと、切に願っています。
 
「親カバ子カバ」樟 2022
W820×D1500×H530mm W350×D800×H250mm ※価格は要相談
 
「ある日のそうすけ」樟 2024
W350×H370×D350mm 20万円
 
ワニのそうすけと、田渕さん
 

作家近況
今後の情報はインスタグラムにて発信
https://www.instagram.com/misatsuchi20/

本村ひろみ
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1990号・2024年2月23日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

キュレーター
本村ひろみ

これまでに書いた記事:37

ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

TOPへ戻る