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2023年12月8日更新

大切な人の年忌法要を記録|知財 この人あの会社⑬

来年のカレンダーや手帳をどうするか考える時節。今回紹介するのは、1年限りでなく、長期に家族で受け継ぎ使用できるカレンダーだ。他界してから一周忌、三回忌~三十三回忌などの年忌焼香(スーコー)と呼ばれる沖縄の習慣を記録できる。周囲からの「こんな商品が欲しい!」の声を受け、実現した。

「沖縄スーコーカレンダー」はB5サイズで、広げて使用する際にはB4サイズとなる ​
「沖縄スーコーカレンダー」はB5サイズで、広げて使用する際にはB4サイズとなる

月のカレンダー各日に故人の名前、命日、享年や年忌の情報などを記入する。曜日の記載がないのでずっと使える

 
 沖縄スーコーカレンダー/水音~SUI~ 山内日登美さん 

大切な人の命日を忘れない

歳を重ねると家族、知人が他界し見送る機会が増えてくる。そのうち、大切な人の命日を失念してしまうことがある。山内日登美さん(49)もそんな一人だった。30代のころ、祖母の命日を忘れてしまい、祖母が静かに夢に現れた経験をして以来、忘れないための工夫が必要だと思ってきた。

嫁ぎ先では義母が親族の年忌管理をしているが、山内さんは「自分にできるだろうか」と不安に思っていた。一般に年忌管理は、手帳やカレンダーに記入している人が多い。しかし新しいものを使うときにはまた書き出さなければならない。山内さんは、同じような悩みを抱えている人は少なくないのではないかと、カレンダーの開発を思い立った。

年忌の情報として必要なのは、故人の名前、命日、そして故人の一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、二十五回忌、三十三回忌がそれぞれ何年にやってくるのか。カレンダーにこれらの情報を記入しておき、毎月カレンダーをめくれば当月にやってくる年忌を見逃さない。

ほかにもいくつかの工夫を盛り込んだ。例えば、カレンダーは毎月1日~末日まであるが、命日が重なった際に使用できるよう予備欄を設け、故人のことを思い出しやすいように干支や享年も記録できるようにした。

山内さんはこのアイデアを保護する方法はないかと、県知財総合支援窓口に相談。これまでにない商品であったため、弁理士からは「意匠権を活用してカレンダーのレイアウトを保護してはどうか」とのアドバイスを受け、実際に意匠登録(第1710902号)を取得した。またユニークなアイデアは、今年の県発明くふう展で、日本弁理士会会長奨励賞(意匠の部)を受けた。
 
商品をアピールする、水音の山内日登美さん。同カレンダーは、ジュンク堂書店那覇店のほか、宮脇書店、TSUTAYA、球陽堂書房、田園書房、ブックスきょうはんの一部の店舗で取り扱っている


家族で受け継ぐカレンダー

山内さんは知人の印刷所、デザイナーの協力を得て「沖縄スーコーカレンダー」を印刷・出版。昨年から県内の書店やスーパーなどで販売している。山内さん自身、ハンドメイド作家「水音~SUI~」として活動しており、カレンダーのデザインに関わった。また、表紙のデザイン画は息子さんによるものだ。仏壇の引き出しに入り、仏壇の周囲に掛けても邪魔にならないよう、畳むとB5サイズ、広げるとB4サイズになる。

購入者からは「便利」という声や、「故人を思い出せる」「自分のことを振り返る機会になる」といった感想も寄せられる。山内さんは「故人に想(おも)いをはせるだけでなく自分のルーツ、先人の智慧(ちえ)、目に見えない世界を感じ想像することで、紡がれる命への感謝とともに今を大切に生きていくことにつながると思っています」と語った。

本商品に関する問い合わせは、水音~SUI~(電話=070-5533-2100)








[執筆者]
宮川準(みやかわじゅん)
1967年、東京都出身。大学卒業後、都内で就職。2012年、沖縄に移住し沖縄県発明協会に入職、以来INPIT沖縄県知財総合支援窓口を担当。

 
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1979号・2023年12月8日紙面から掲載

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