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2023年6月23日更新

猫思わせるフォルム|アートを持ち帰ろう(27)

文/本村ひろみ

両手で包み込みたくなるマジック

猫を後ろから見た時の頭から背中へのライン、前脚をうまく収めて香箱座(こうばこすわ)りしているポーズ、尻尾をピンと立てて歩いてくる姿、大きく伸びをする時のしなやかな曲線-猫の動きはどれも柔らかく、見ているだけで幸せな気分になる。アーティスト・いのうえのどかの作品を初めて見た時、その形状が猫のフォルムを思い出させた。

日常をちょっと素敵に

手で触れてみたくなるプリミティブで抽象的な形態。展示されていたアイスクリーム店のおしゃれなカウンターに飾られていた作品「群」。解説を聞いていると、深い愛情を持ってこの作品を制作したのがわかった。「自分だけのちょっとしたかわいらしさ、いとおしさを作品に込めるようにしています。穏やかな日常がちょっと素敵(すてき)になるように。その“ちょっと”さが私らしさ。私の作品らしさかなと感じています」。そう話しながらコロンとしたオブジェに触れるいのうえの指先がまるでピアノの鍵盤をタッチするかのように軽やかだった。

この「群」はタイトル通り、いろいろな形の立体作品の集合体。まるで生き物の動きを表現しているようで躍動感がありリズミカルだ。ユニークな形の花器の集合体作品「華を」も壁一面に飾ってみたい。大学を卒業したばかりの彼女は「淡々と続く日常の中で私の作品がある拍子に目にとまり、忘れかけていた温かく柔らかい気持ちを思い出すきっかけになるとうれしい」という。実際いのうえの作品を目にした時、私もそれを両手で包み込みたくなった。なんだろう、このマジック。思わず触れたくなる日だまりに寝ている猫のような作品たち。




“群”
サイズそれぞれ(横・縦・奥行き)
30cm×30cm×5cm
3万~5万円

 

“華を”
4cm×10cm×3cm
5000~7500円


 


作家近況
いのうえのどか
沖縄県立芸術大学 美術工芸学部 デザイン工芸学科陶芸分野卒業。問い合わせ、展示会などの情報はインスタグラム(@nodokadesuyoo)まで
 

本村ひろみ

もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1955号・2023年6月23日紙面から掲載

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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