建築
2023年6月23日更新
国際建築・建材・建築システム専門見本市「BAU 2023」リポート
[寄稿/下地鉄郎]
今年4月、世界最大規模の住宅・建築関連の見本市「BAU 2023」がドイツで開かれた。会場を訪れた建築士の下地鉄郎さんが、その様子や気になった製品などを紹介する。
進化する断熱技術 3Dスキャンロボも
バウメッセの会場内。日本の電動工具メーカーなども出展していた
49カ国から2260社
「国際建築・建材・建築システム専門見本市 BAU」(バウメッセ)は、住宅建築に関する世界最大規模の見本市。2年に1度、ドイツのミュンヘンで開催され、建築関係のあらゆる製品や工法が一堂に会する。今回は、世界49カ国から2260社が出展、約19万人が来場した。
私は、断熱などの居住環境技術レベルが高いヨーロッパの最新動向が知りたくて訪問。2日間かけて、東京ドーム4個分の巨大な展示会場を回った。
持続可能性のブランド化に成功し取り組みを紹介している企業があったり、電動工具のメーカー「マキタ」など日本からの参加も見られた。デジタル化を先取りし、3Dスキャン機能搭載の4足歩行ロボットと連携した3DCADなど、興味深いものがめじろ押しだった。
日本で日常的に目にするものは多くないが、今後、日本でも需要が増えるであろう製品や工法などの情報も得られ、とても有意義だった。
広々とした会場入り口。たくさんのゲートが並ぶ
下地さんが気になった製品・風景
3Dスキャンロボ犬型ロボットと3Dスキャン装置を組み合わせた製品。現場内を歩き回りながら、レーザーを使って地形や建物を立体的に読み取ることができる。3DCADとの連携も可能で、シミュレーションや施工管理など多くの場面で活用される。既に実用化されているという。
商談風景
会場内では、いたるところで売り手と買い手(バイヤー)が商談する姿が見られた。製品の特徴や価格などについて、それぞれ真剣に話している様子だった。
断熱素材いろいろ
「ヨーロッパでは、居心地の良さを前提としながらも、エネルギー効率を重視した材料や工法が日本よりもかなり進んでいる」と聞いていたが、実際にそう感じた。居心地の良さを生むための断熱の仕様や空調機器などの環境技術系の製品は、日本でも需要が高まってきている。そのため、先進的な材料や工法を参考にしようと、日本から視察に来ている関係者も多く見られた。
断熱性の高い樹脂サッシの実物断面。中空部は木材と組み合わせたり、発泡材が充填(じゅうてん)されている
遮音性と水密性の高い木製サッシ。まだ高価ではあるが、日本でも今後増えていくであろう製品の一つ
分厚い繊維系断熱材(グラスウール)。厚みを任意で決めることができ、既存の建物への断熱リノベーションにも使える
屋外に取り付ける遮熱ブラインド。シェードタイプもある
断熱材が充填されたレンガブロック。沖縄でよく使われるコンクリートブロックにも応用できそう
断熱性と施工性に優れているという外壁パネルユニット
太陽光パネルの下でも育つという屋上緑化用の天然芝
太陽光パネルの下でも育つという屋上緑化用の天然芝
ミラノサローネも訪問
バウメッセの後、「ミラノサローネ」にも訪れた。毎年、イタリア・ミラノで開催されるインテリア全般の展示会で、見て回るだけで勉強になる。ミラノの街中でも展示されているので、数日をかけて楽しむのがオススメ。インテリア好きな方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。ミラノサローネの入り口
会場内には多様な家具や照明などが展示されている
沖縄出身の家具デザイナー・大城建作氏のオリジナルランプも展示されていた
スペインの家具メーカーの展示。カラフルで、見ているだけで楽しくなる
しもじ・てつろう/一級建築士、㈱クロトン代表取締役、既存住宅状況調査技術者
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1955号・2023年6月23日紙面から掲載