2022年11月18日更新
[沖縄]家を建てる② 家づくりは想定外と決断の連続|女性のための不動産navi⑦
文・内田志保 (有限会社とまとハウジング不動産売買エージェント)
前回、自宅用の敷地を購入し、ざっくりと建物デザインのイメージをつかんできたところまでをご紹介したのに続いて、今月は間取りを考えるところからスタート。間取りは「朝日が差し込む寝室っていいな」「トイレの位置は風水を気にした方が良いか」など優先順位をつけ、図面に反映させていきました。
家づくりは想定外と決断の連続
前回、自宅用の敷地を購入し、ざっくりと建物デザインのイメージをつかんできたところまでをご紹介したのに続いて、今月は間取りを考えるところからスタート。間取りは「朝日が差し込む寝室っていいな」「トイレの位置は風水を気にした方が良いか」など優先順位をつけ、図面に反映させていきました。
建物の全体像が決まってきたころ、その建物が安全に建築できるか、地盤調査が入りました。結果は一部が“豆腐”につき地盤改良を要しました。豆腐は安くて好みの味にカスタマイズできる好物ですが、こと地盤となると話は別。“豆腐地盤”の改良費用は高かった…。土地購入の場合、事前に売主が地盤調査をしていることは少なく、地盤リスクを買主が理解した上で購入することがほとんどです。「じゃぁ、どうすれば」と思った方へ参考までに、事前に地盤について情報収集する方法をご紹介させていただきます。
①建築士(建築会社)に聞く
②地盤改良サポートなどのサイトを利用する
建築士なら、地盤調査会社とのつながりで近隣データの共有が可能だったり、地形から推測したり、ある程度の予測を立てることはできます。ただし、最終的には「地盤調査をしてみないとわからない」につきますので、土地購入の際は地盤改良に対応できる予算と心の準備をしておくことをお勧めします。
想定外の出費はこれだけではありません。狭小地で部屋数を確保するため、予定していた木造2階建ては3階建てに変更。木造でも一定規模以上の場合、建築基準法により構造計算書の添付を伴う確認申請が必要とのことで、これまた追加費用が発生しました。
「人生には三つの坂がある」という結婚式で使われるスピーチは家づくりにも当てはまる「坂」で、感情の起伏に加え「まさか」にはたくさん遭遇します。とにもかくにも、既に走りだした家づくりはそのまま続行です。
「こんなイメージが好き」が活躍
間取り・寸法といった家づくりの「ハード部分」が定まったところで次は家づくりの「ソフト部分」、つまり内装や家具家電の配置プランです。さまざまな項目を各サンプルやカタログから選んでいきます。ここでも、最初に集めた「こんなイメージが好き」が大活躍です。
部屋の印象を決定的に左右する壁紙を、小さいサンプルから部屋全体に広げてイメージすることや、コンセントや照明の配置を決めることは少々難しい作業でした。素人なりに想像力をフル回転させて、細かくしっかりとしたシミュレーションを繰り返しながら、決断の連続…インテリアコーディネーターというお仕事の大切さを痛感しました。
工事中はちょくちょく現場へ行きました。これからお世話になるおうちの骨組み=躯体は、壁を張る前にしか見ることができません。勇ましく建つ木に触って「よろしくね」とごあいさつしました。
こうして着工から数カ月後、図面上でのわが家が立体となって目の前に…感動です。これまでの紆余(うよ)曲折なんてものは、もう、この感動に薄れていきました。「ふつつかな娘ですが、どうぞよろしくお願いします」と娘を送り出す気分な棟梁(とうりょう)に「大事にさせていただきます」と娘さんを迎え入れる気分でお答えし、無事に新居の引き渡しを受けました。
ひたすら図面と向き合おう
妄想の域を出て実際に家に住むと、さまざまな「まさか」が待ち受けていました。どうしても見つからない脱衣所の電気スイッチが、脱衣所のスライドドアの向こうに隠れていたり、サッシの色が違っていたり…。ハプニングをへて家具家電がそれぞれの配置に収まった今では愛着たっぷり、快適に過ごしています。
数々の家づくりの「まさか」を経験した私から、これから建築される皆さまへお伝えしたいことは「ひたすら図面と向き合おう!」ということ。「こんな家具や家電を入れたいので部屋(階段)の寸法はこれだけ必要!」といえるほど、設計時から積極的に参加し、そこに住む自分を想像してください。私史上、最高額のお買い物である家づくりの経験が、少しでも皆さまのお役にたてば幸いです。
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「住宅の新築や売買、不動産投資、相続、不動産業界で働く女性たちの話題まで、女性の視点で解説! 女性不動産エージェント集団「とまとハウジング」の社員が、自身の経験談なども交えつつリレー形式でつづります。
執筆者
うちだ・しほ
沖縄で生まれ、中学卒業までを香川で過ごし、その後再び沖縄を満喫中。外語専門学校を卒業したことをすっかり忘れ、建築会社勤務を経て、23歳の時にとまとハウジング入社。以来、あっという間の16年目を迎えています。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1924号・2022年11月17日紙面から掲載