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2022年10月21日更新

【第8回沖縄建築賞】古谷誠章審査委員長から総評

古谷誠章氏による、第8回沖縄建築賞の総評を掲載する。


古谷誠章審査委員長(建築家・早稲田大学教授)

「沖縄建築」切り拓く力を内包

今年は沖縄の復帰50周年ということで県外の建築士も参加できるようになり、これまでにも増して多様で質の高い作品の応募がありました。ただ沖縄らしいというだけでなく、次世代の沖縄の建築を生み出そうとする意欲的な作品に幾つも出合えました。


作品ににじむ情熱、個性

住宅部門の正賞は「400」で、敷地の法的制約を乗り越えて新しいピロティ空間を生み出していました。沖縄建築を象徴するコンクリートとブロックのみで構成され、外観の抑制の効いたデザインと、内部空間の居住性の良さの組み合わせが際立っていました。

一般建築部門の正賞「那覇文化芸術劇場なはーと」は大作で、首里織をモチーフとした外観には作者の並々ならぬ情熱が感じられます。「ウナー」と呼ばれる吹き抜けを介し巧みに構成された劇場空間は、沖縄に根ざした造形を取り入れたというレベルではなく、近年の全国の公共ホールでも出色の作品です。

タイムス住宅新聞社賞の「宜野座ヌルドゥンチ」は、正賞作品とは対照的に極めて用途もスケールも限られた小作ながら、ここにしかない強い個性を放ち、村の神聖な場所の象徴として重要な役割を果たしています。

奨励賞を含めた他の作品も、沖縄の気候風土の特性を生かしつつ、新たな沖縄の建築のポテンシャルを切り拓くものとして、高く評価したいと思います。


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1920号・2022年10月21日紙面から掲載

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