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2022年7月29日更新
[沖縄]建築系学科がある専門・専修学校③|パシフィックテクノカレッジ(宜野湾市)
建築業界を担う人材になることを目的に、短期間で専門的な知識や技術を学べる専門・専修学校。建築系学科の特徴や、同学科を有する3校(サイ・テク・カレッジ那覇、パシフィックテクノカレッジ、インターナショナルデザインアカデミー)の特色を紹介する。
施工実習で学ぶ 職人の技と気持ち
パシフィックテクノカレッジ(建築学科)は
◆設計だけでなく、施工の知識や技術も学べる。施工実習では、道具の使い方を学びつつ、木造の骨組みを組み立てるなどして、職人の技術や気持ちも学ぶ。実際の現場を深く理解でき、即戦力になれる。
◆卒業生からの呼び掛けで現場見学なども実施。
◆幅広い分野をバランス良く学べるので、目指す仕事の幅も広い。
※オープンキャンパスは月1~2回開催。8月は6日(土)と20日(土)
過去の進路状況/就職先は、㈱國場組、㈱大米建設、㈱仲本工業、㈱国建、㈱屋部土建、大鏡建設㈱、㈱エー・アール・ジー、㈲アトリエ門口、㈱都市建築設計、㈱宮平設計、㈱かみもり設計、市町村・県職員(技術職)など
◇ ◇ ◇
パシフィックテクノカレッジの建築学科は、設計だけでなく、施工技術も学べるのが特徴。学科主任の具志悦雄先生は「設計と施工の両方を知ることで、実際の現場をより理解でき、即戦力として必要なスキルを習得しやすくなる」と話す。
中でも力を入れているのが施工実習。13年ほど前に学生の要望からスタートした。広々とした実習室で、のこぎりやハンマー、丸ノコ、インパクトドライバーなどの道具の使い方を基礎から学びつつ、実際に型枠を組んだり、コンクリートブロックを積む、足場を組むといった作業を行う。のみで接合部を彫り、木造の躯体を組み立てる実習もある。
「現場監督のように職人を指示する立場を目指すなら、作業内容を100%理解する必要がある。理解することで職人の気持ちが分かる人材にもなれる。これは建築士になる場合も大切なこと」と具志先生。
「施工実習があるから」と同校を選ぶ人も多く、卒業後の進路として約6割が施工現場での就職を希望するという。
幅広い学びで仕事にも幅
2級建築施工管理技術検定の一次試験に合格した伊集さんや与座さんをはじめ、資格取得やインターンシップに積極的な学生も多いという。
卒業生の呼び掛けで現場見学を行い、卒業生が在校生に説明することもある。
具志先生は「設計から施工まで建築を幅広く学ぶことで、設計志望だった子が施工現場での仕事を目指すようになったり、土木や造園に興味を持ち始めるなど志す選択肢にも幅が出る。各分野をバランス良く学べるよう心掛けている」と話した。
わが校のここがイイ!
建築学科2年
伊集海琴(みこ)さん=左、与座誉人(たかひと)さん
◆パシフィックテクノカレッジの建築学科を選んだ理由
(伊集)祖父は建築士、父は型枠工だったので建築には興味があった。他の学校とも迷ったが、施工実習があったり、卒業後も2級建築士の資格取得サポートがあると聞き、ここを選んだ。
(与座)建築の仕事をする父の姿を小さい頃から見ていた。設計よりも施工を学びたかったし、説明会に何度か参加するうちに親しみがわいた。
◆大変なこと、良かったこと
(与座)ゼロからのスタートな上、宮古島出身で友達もいない環境だったので不安だったが、同じ目的の仲間がたくさんいるしイチから教えてもらえるので頑張れる。
(伊集)専門的な内容が多く理解するのが大変。だけど実習の授業などで実際の建設現場を訪れ目の前で作業を見せてもらえたおかげで、理解が深まった。
◆将来の夢
(伊集)建築士の資格を取得し、デザイン性がありながらも住みやすい家を設計したい。
(与座)まずはしっかり働いて、2級建築施工管理技士の二次試験合格。将来的には施工の技術者として宮古島に戻り、自分の関わった建物で島をいっぱいにしたい。
設計事務所で働く卒業生
當間雄介さん(建築学科2022年卒)
勤務先:建築設計室TEE1(てぃーち)
現在は図面の手直しや、部材・建具の詳細図の作成業務などを行っている。設計事務所で使っている設計ソフトが、授業で使っていたものと同じだったので、すぐに作業を始められた。実習の授業で部材や道具などを実際に見たり触ったりできたのもよかった。今は2級建築士の二次試験に向けて勉強しているところ。将来は、お客さんの要望に応じられる意匠設計の道に進みたい。勤務先:建築設計室TEE1(てぃーち)
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建築系学科がある工業高校
取材/東江菜穂・出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1908号・2022年7月29日紙面から掲載