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2022年4月22日更新

空間に動き生む沖縄の花鳥風月|アートを持ち帰ろう(13)

文/本村ひろみ

空間に動き生む沖縄の花鳥風月

食卓の上で揺れるモビール 春の風感じて

まだ春寒い3月、アトリエひと匙(さじ)の「Ryukyu Botanical - 装身具と金継ぎ」に出かけた。開催場所はライフスタイル&グリーンmärch(マーチ)。


会場にはシルバーや真鍮(しんちゅう)のアクセサリー、金継ぎの器などが展示され、その一角には木彫の塔“somewhere”が配置されていた。沖縄の植物とコラボした作品で、1本のクスノキからできた塔は森の精霊が現れたように神秘的な印象を醸し出していた。

視線を上げると塔の頂上近くの窓から光が注がれ、そこには舞い散る花をイメージしたモビールがゆっくりと回転していた。彫刻家・濱元朝和の沖縄を題材にしたモビール。丸い月、ブーゲンビレアの赤い花、紅型の意匠で吉祥として描かれるツバメがモチーフになり、そこに風が加わる。作品名は“花鳥風月”。彫刻家として文化財の復元事業にも携わってきた濱元の「カルチャーをもっと生活に取り入れてほしい」という思いから、身近なアート作品として空間をデザインするモビールの展開も始めた。



モビール「花鳥風月」
H40cm×W50cm×D5cm 38,500円~



空間の広さによってサイズが変えられるモビールは、例えば春は花を増やしたり、渡り鳥の季節にはツバメの数を増やしたりと自由自在に楽しめる。ブーゲンビレアの色は、「緋(ひ)銅」という日本古来の着色技法で、高温で熱し溶ける寸前の金属そのものの自然な色だという。自然光でも部屋の明かりでもその緋色は柔らかい。

そんな花鳥風月モビールで春の風を感じたい。食卓テーブルの上で揺れるモビールは、朝の空気を軽やかにしてくれるに違いない。



木彫作品
「somewhere」
素材はクスノキ
H230cm×W45cm×D45cm 77万円



 
作家近況
濱元夫妻のユニット「アトリエひと匙」。妻・香織さんが金細工、朝和さんが金継ぎ担当。
「日々の暮らしをほんの少し変えるひと匙のスパイスを」との思いが由来。

【ホームページ】https://ryuzoryukyu.net/atelier-hitosaji
【インスタグラム】https://www.instagram.com/accounts/login/?next=/atelier_hitosaji/



もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1894号・2022年4月22日紙面から掲載


 

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本村ひろみ

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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