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2022年1月14日更新
[沖縄・住宅の保険]知っていますか? 住まいの保険⑩|地震保険④「保険金」
執筆/松代貴志(日本損害保険協会沖縄支部 事務局長)
地震保険④「保険金」
損害の程度は4段階に分類
地震や津波などによる損害を補償する地震保険。4段階に分けられた損害の程度によって、支払われる保険金の額は変わる。また、その額は、大規模な地震が発生しても支払いに支障が出ないよう設定されている。
保険金支払いを迅速に生活支える資金として
火災保険は、保険の対象である建物や家財に損害が生じた場合、それらを損害発生直前の状態に戻すための損害額を補償します。
一方、地震保険では、損害の程度に応じて「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四つの区分に分類し、契約金額の一定割合が保険金として支払われます=右表。これは、地震保険が被災後の当面の生活を支えるための保険であり、大規模な地震が発生した場合でも迅速な保険金の支払いを実現するためです。
また、地震保険の契約金額は、火災保険の契約金額の30%~50%の範囲内で設定し、建物の場合は5千万円、家財の場合は1千万円が限度額となります。したがって、地震保険だけでは住宅を建て直す費用として足りないこともありますが、生活再建に大切な役目を果たします。
住宅ローンを抱えている方は、地震により家が倒壊すると、地震前のローンに加え、建て直す際のローンを抱える可能性があります。このような場合、地震保険金で住宅ローンの負担を軽減できるのです。
大地震でも契約通りに総支払限度額12兆円
近年大きな地震が発生していることもあり、大地震で損害額が巨額になった場合、地震保険金は契約どおりに支払われるのか気になる方がいるかもしれません。地震保険では、1回の地震等によって支払う保険金に総支払限度額が設けられていますが、関東大震災クラスの地震が発生しても保険金の支払いに影響が出ないよう設定されていて、必要に応じて見直されています。
現在の総支払限度額は12兆円となっています。万一、この額を超える損害が発生した時は保険金が削減されることがあります。
まつしろ・たかし/(一社)日本損害保険協会沖縄支部事務局長、琉球大学客員教授
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1880号・2022年1月14日紙面から掲載