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2021年5月7日更新

13区で東海岸花いっぱいに -名護市久志地区-

[歩いて見つけた!地域の住み心地(地域活動編)-44-]地域を盛り上げる活動を紹介する、「歩いて見つけた! 地域の住み心地ー地域活動編ー」。今回は名護市の東海岸にある久志13区を紹介=エリアマップ参照。フラワーフェスティバルや沿道の美化活動などを通じて、地域の活性化に取り組む。2020年度には、魅力的な地域づくりとして「手づくり郷土賞(国土交通省)」を受賞。地域外の人々との交流が住民の喜びや活力につながっている。




大川 大川公民館近くでは沿道のポケットスペースを花園にしており、見応えがある


交流が住民の活力に

名護市の東海岸、久志区から天仁屋区までを車で走ると、時折、色鮮やかな花々が目に飛び込んでくる。久志地区13区それぞれの住民が、訪れる人を楽しませようと、沿道に植えた花々だ。

住民に活動を呼び掛けるのは、各区の区長で構成された久志支部区長会。「人口の減少、高齢化で地域の活力低下が課題だった。地域、東海岸を盛り上げるため、各区の連携を強めて沿道の美化活動やイベント開催に取り組んでいる」と、前会長の宜寿次聰さん(二見区長)は話す。「活動を通して地域の魅力を発信する機会ができ、足を止めてくれる人が増えた」と喜ぶ。


フラワーフェスティバルは、約7000人が訪れる大イベントになっている(市提供)

2012年から始まった活動は現在も継続中。年2~4回の沿道美化清掃のほか、3月のフラワーフェスティバルでは、オープンガーデン、二見情話大会などさまざまなイベントが開かれる。

オープンガーデンで自宅の庭を公開したことがある、汀間区長の玉城辰彦さん。「手入れを頑張る妻は、地域外・県外から訪れた人たちとの交流が続き、花好きの人たちとつながって喜んでいる」と話す。ほかの区でも住民の交流も深まり、自発的に庭や沿道の手入れをするようになったという。また、フェスティバルに合わせてバーキ(竹製のざる)や野菜を販売するなど、住民総出で地域をアピールする様子もうかがえる。

イベント以外の活動も活発化。特に久志区では、「空き家対策にも自発的に取り組むようになった。雑草駆除などして、すぐ住めるような状態にまで住民で手入れ。最も活性化につながる定住増加に向けて動いている」と区長の棚原憲栄さんは話す。

人が訪れるようになったことで地域が盛り上がる一方、自然の保全などには懸念も。海岸近くの岩山などで見られるグネグネと曲がった特徴的な地層は「嘉陽層の褶曲(しゅうきょく)」と呼ばれる国の天然記念物。その保全指定区域がある天仁屋区では、「海岸でのたき火やごみ放置などマナーの悪さが目立つようになった。自然を傷つけずに生かしたいという区民の思いが訪れる人にも伝わってほしい」と区長の比嘉政昭さんは話した。

去年、今年はコロナ禍でイベントは軒並み中止。「収束したら、また開催したい」と、意気込む区長らは植え付けなど、次回に向けて準備にいそしむ。


嘉陽 嘉陽共同売店近くの民家はコスモスなどを植えたプランターを沿道に並べ、道行く人を楽しませる


三原 三原共同売店近く。三原区長・伊波安志さんは「オープンガーデンにも出る家から、この家の庭でしか見られない草花を分けて植えている」と話す


天仁屋 天仁屋公民館近く。国道から集落に入る道も美化している。これからはマツバボタンやヒマワリが見ごろに


二見 二見区には「二見情話」が流れるミュージックロードがある。時速40キロ以下で走行するとよく聞こえる


久志 久志区の住宅地は沖縄の集落の原風景が残る。まちづくり委員が積極的に空き家対策に取り組むようになったという



活動するのはこの人たち!


久志支部区長会

久志支部区長会は13区の区長で構成され、イベント運営や美化清掃活動を呼び掛ける。前列左から:汀間区・玉城辰彦さん、二見区・宜寿次聰さん、底仁屋区・豊里司さん、辺野古区・古波蔵太さん、三原区・伊波安志さん、大浦区・宮里辰之さん、後列:瀬嵩区・西平伸さん、嘉陽区・神谷秀仁さん、豊原区・宮城直美さん、天仁屋区・比嘉政昭さん、大川区・志良堂清則さん、安部区・比嘉久さん(久志区・棚原憲栄さんは撮影時不在)



衣食住支えた自然学ぶ

大浦川の下流には、東村慶佐次に次ぐ広さのマングローブ林があり、市の指定天然記念物にもなっている。ここでは地区の小中学生を対象に自然学習も行っており、今回の受賞でも評価された活動の一つだ。ガイドの仲村晋さんは、「木は建材に、生息するカニなどは食材にと、衣食住を支えてきた自然をここで学んでもらう。生徒と一緒に参加した親や転任の先生のほうが驚くこともあるほど、知られていないことがたくさん。地元の自然を知って愛着を持ってほしい」と話した。


大浦のマングローブ林。自然学習にも使う水上橋は、重機を使わず手作業で建てられた。長さ約726メートル。入場チケットはわんさか大浦パークで販売


取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1844号・2021年5月7日紙面から掲載

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