作って伝える|アートと暮らす[6]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2021年3月12日更新

作って伝える|アートと暮らす[6]

[アートと暮らす|文・写真 青木嘉一郎]このコーナーでは、アートショップを営む青木嘉一郎さんに工芸やアートを日常に取り入れる面白さを教えてもらいます。

仲間と作った舞台と絵本

私は中学を卒業後、知人の紹介で「劇団木馬座」に入団した。映画好きだったこともあり、劇団の活動はとても興味深かった。そこの代表は日本の影絵の第一人者、藤城清治氏だった。影絵劇とぬいぐるみ人形劇の2本立ての公演で、東京、地方を回った。

作者がベニヤに描いた線を糸のこで切ってセットを組み立て、劇で使う人形も作った。かなり大きなセットから、テレビなどの小道具も作って操作した。作った人形たちが動いて物語になっていくプロセスが楽しい。とても懐かしい思い出である。その後、舞台監督となっていろいろなジャンルの舞台を手掛け、海外公演で50カ国へも行った。

絵本出版し読み聞かせ

同時に、静岡県富士宮市の企画ギャラリーも妻と共に営んできた。あるイラストレーターの展示会の際、絵本を作ろうということになり、文章を書いてくれる人を探して創作の絵本を作った。毎週メンバーが集合して、タイトル、内容などのディスカッションを繰り返した。仲間と共に作品を作るのは、苦労もあるが刺激的で充実した日々だった。絵本は自費出版。記念パーティーではイラストをスライドで写し、文章を書いた人が絵本を読み聞かせした。たくさんの人たちが集まり、読み聞かせを楽しんでくれた姿に感動した。


4月に開催する影絵劇「ごぐうちゃんのちいさなおうち」の稽古の様子


客席側から見たスクリーン舞台。セットからキャラクター、物語まで全て手づくり

静岡で企画ギャラリーをしていた頃に自主制作した絵本「ちんじゅうくん」

ページのどこに文章を配置するか、イラストの構図などを調整しながら一つの作品をつくるプロセスを楽しんだ

アートでつながる楽しさ

4年前、沖縄に移住し、縁あって「沖縄物語」というカフェの1部屋でアートショップを経営している。沖縄の人にも神秘的な影絵の世界を楽しんでほしいと、「藤城清治影絵版画展」を開くことになった。3月はプラザハウスショッピングセンター、4月にはアートショップで開催する。それを記念して店で影絵劇をやろうということになり、店のオーナー夫妻、常連、われわれ夫婦でオリジナルの影絵劇を作って稽古に励んでいる。スクリーンも手づくり、人形も手づくり、脚本も書き、作る楽しさを味わっている。たくさんの人に見ていただける日を楽しみにしている。=おわり


繊細かつ鮮やかさが特徴的な藤城氏の影絵。3月24日(水)〜沖縄市プラザハウスショッピングセンターで展示会を開催する。藤城氏は人気人形劇「ケロヨン」の原作者でもある

 
あおき・よしいちろう/1947年、川崎市出身。舞台監督として、78年「沖縄歌舞団太陽の燃える島」にも携わる。静岡県で妻・容子と企画ギャラリーを運営し、2016年に移住。北中城村のレストラン沖縄物語内の「アートショップ蓉(よう)」で、作品の展示販売を行う
 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1836号・2021年3月12日紙面から掲載

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